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宣戦布告


どうにか彼女を送り届け

「でわ!」

とだけ言って僕は自分の教室へと早歩きで向かった。もちろん学校でまでの道のりで会話なんてほとんどしていない。ここで会話をしてしまえばそれこそ奴の術中にハマってしまう。僕はそんなにバカではない。きっと彼女も無愛想だと思ったに違いない、校内ですれ違っても話しかけてくる事なんてないだろう。そう、僕は勝ったのだ。僕のぼっち人生を脅かす脅威からこの人生を守り、勝ち取ったのだ。

さあ、そんなことを考えてる間に教室だ。今日もゆっくりこの僕の机、僕のテリトリー、誰にも邪魔されないこの場所でゆっくり寝よう。人生を勝ち取った僕にはなんて清々しい気持ちのいい睡眠だろうか。



「今日から転校生がうちのクラスに入ります」

そうですか、僕には関係ない話だ。とにかく僕に関わってくれなければそれでいい。おやすみなさい。


「よろしくお願いします。瀬戸 美鈴っていいます。人見知りなんで慣れるまで時間かかるかもしれませんけど…よろしくお願いします」


ちょっと待て落ち着くんだ。この声は聞いたことあるような。そう、今朝。さっきださっき。いや待て待て、そんな今の時代にそんな朝会った子が転校生だなんてそんなベタベタな恋愛漫画みたいな事があるか?そんなことがありえるのか?いや、ないだろう。そんなどこの90年代のベタベタな恋愛漫画だ、馬鹿げてる。そうだ、ここは相手に悟られないようまずはターゲットを確認しなければならない。そーっと…そーっとだ。


やつじゃないか!


いや待て焦るな自分、ここで動揺してしまえば相手に僕はここにいますと教えているようなものだ。ここは落ち着くんだ。見間違えかもしれない。そもそも人見知りだと言っていたじゃないか、人見知りの人間が人に道を聞くなんて事は出来ないはずだ。きっと見間違えだろう。もう一度ターゲット確認!


はっ!!


目が合ってしまった!まずい!これはまずい!そして何だ、その目が合った瞬間のハッとした顔は!クラスの数人がその顔と同時に僕の方を向いたじゃないか!なんてことだ、囲まれた…逃げ場はない。いや、違う。僕は違う。人違いだ、決して話しかけてくるんじゃない。そしてクラスメイト達よ、今まで僕に話しかけてこなかったように今日も明日もそしてこれからも僕に決して話しかけないでくれ。

いや、話しかけないでください。



それにしてもまさかここまで潜入してくるとは。奴は言うならばスパイ、いや、殺し屋、いや、とにかく敵だ。とにかく奴の動きを監視するんだ。

そうだ、そう、何もなかったかのように教師の指示に従って着席するんだ、そしてそのまま前だけを見ていればいいんだ。


チラッ…ペコ


何をしてくれているんだ、ちらっぺこじゃない、何故目を合わせて会釈をするんだ、ありがとうのつもりか、むしろ僕からしたら宣戦布告としかとれない。そして、またクラスメイト達がこちらを見たじゃないか、さっきよりも多い人数だ。敵が増えたじゃないか。

だが僕は僕の人生を守る。勝ち取るのだ。僕の平和なぼっち人生をかき乱さないでくれ。

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