敵…現る
今日も僕は一人で学校に通い、一人で授業中に寝て、一人でお弁当を食べ、一人で帰る。そして家に帰ってひたすらゲームをする。いわゆるぼっちとかいうやつだ。だからと言って別に寂しいとかそんな気持ちはない。
友人の誘いに付き合いや人数合わせの為に外に出たり、行かなければ付き合い悪いだとかいわれたり、そんな面倒な事はごめんだ。一人でいるのが楽だから一人でいる。人の付き合いが増えれば増えるほど、生きてくのが面倒だ。いちいち人の顔色うかがったり、そんな事はしたくない。口は災いの元と言うし、人と会話をすればそれだけ誤解も生じるし、このままでいいしこのままがいいんだ。
深く狭くの関係、そんな言葉もある。でも深くなんて入ってきてほしくない、いくら仲良くなったところで僕の深くまでなんて知れるわけがない。
きっと人はこんな僕の事をひねくれてると言うのだろうが、どちらかと言うと僕は前向きな性格だ。そんな人生でも楽しいと思っているし、別に悲観的に物事を考えてるわけでもないんだ。自分にとって一番楽しい人生の使い方、それが僕にとって一人でいる事なんだから、それはそれでいいじゃないか。このままぼっち人生を謳歌しようじゃないか。みんなで楽しく友情に明け暮れる、そればかりが青春じゃないし、こういう生き様もあるんだぜって生き方を僕が証明してやろう。なんて思う位に僕はこのぼっち人生に誇りを持っているんだ。
今日も当たり前のように僕は一人で学校へと向かう。好きな音楽を聴きながら学校へ向かう。自分の好きな音楽を聴きながら向かえる。なんて素敵な事なんだろう。おはようの挨拶で邪魔される事もない。
「すいません、ちょっといいですか?」
誰だ僕の邪魔するやつは…。頼むから寄らないでくれ寄らないでくれ聞こえない、僕はヘッドホンで耳を覆ってるんだ、聞こえないんだ。
「あの…」
おい頼むから肩を叩くなよ、無視できなくなるだろ。
振り返ると女子高生が目の前にいた。
マジかマジかマジか、女性との関わりはぼっちの僕には必要ない。ぼっち人生を狂わす敵でしかない。頼むから早く用件だけ言ってさっさと立ち去ってくれ頼む。
「△高校に行きたいんですけど…」
おいそれうちの高校じゃないか、これは高校まで一緒に行かなければいけない流れじゃないか…いや待てよ、ここで無視なんてしたら学校であいつは悪いやつ呼ばわりで変ないじられ方をしたり女子からバッシングを受けるに違いない、それこそぼっち人生の終わりだ。いや、でも待て待て、送ってなんて言ったらそこからありがとうとかなって話しかけてくるパターンでは…。いやでも僕はそんなイケメンなんかではない、送ったところでその先があるわけがないじゃないか。そうだ、ここはさっさと送って、さっさとこの話を終わらせよう。
「僕と同じ高校なんで教えますよ」