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なんだ!?この世界は!?

魔法同士がぶつかる中俺と彼女はその中でひたすら戦っていた。

「雅紀、上から来る!」

「あっ、ヤベー」

上を見上げると自分を貫こうと迫り来る光魔法『ソニック』が迫り来ていた。

「だが、遅い!『スノーカット』」

すると目の前でその光は跡形も無く消え去った。

「ふう~、危なかった危なかった」

「いやいや、危なかったと言えるレベルじゃなかったでしょ!私が気づかなかったらもしかしたら死んでたかもしれないんだよ!この間抜け野郎!」

俺からすれば、さっきの『ソニック』よりも今の彼女の方が怖いのだが…

「まあまあ、結果オーライってことで。それよりもこんなことしているとより危ないぞ」

こんな激しい戦いの中、こんなふうに言い争っている奴なんてほかにいないだろう。というか、周りからすれば「こいつらバカじゃね」とか思われ集中攻撃されかれない。すると、彼女もそれに気づいたのか顔を赤らめながら

「そ、それもそうね。こんなアホ野郎と一緒にされたくないしね」

「ちょっと待て、希。さっきから俺を侮辱しすぎじゃね?まぁ、これについては後できっちりと話し合おうな。」

俺はキビを返し、戦場へと足を向けた。希もやれやれといったような表情を見せたが、俺の後に続き

「あなたが生き残ってたら、ね?」

俺は、ニヤッと笑って、希と向き合った

「バーカ、俺は死なねーよ!あいつを見つけてさっさとあの世界に帰るんだ!俺はそれまでは絶対にこの世界で死にはしない」

そう、俺はあの世界に帰るまでは絶対に死ねないのだ。この世界で妹を見つけるまでは…



あれは夏休みの終わり頃だったか。俺こと相沢雅紀(あいざわまさき)都立桑島(くわしま)高校通称クワ高に通っていた"普通"の高校生であった。ぼさぼさ髪で、容姿はそこそこ。クラスの中で中間に位置する地味キャラだった。夏期講習が前の日に終わり、疲れをとるために9時まで寝込もうと思っていた俺。が、急に黒髪ロングの優等生みたいな容姿の少女が俺に覆いかぶさり肩を揺すりながら

「起きてください。起きてください。」

いや、これは夢だろう。俺の家には今誰もいないからな。知り合いにもいないし。うん、これは夢だ。

「お・き・て!」

うるさいな…俺はまだ寝るんだから寝かせろよ。

「もう!起きろって言ってんだろうこのくそ野郎がーーーーー!!!!」

「グハッ!な、なにするんだテメー」

「ふん!あなたが起きないから、トルネードスクリューを喰らわせただけですよ~だ」

「はっ!?ふざけるな!俺はまだ寝たいんだよ!というかお前は誰だ!どこから入ってきた!」

彼女は一瞬はっとした顔をしたが、すぐに執事のようなポーズをとり

「相沢雅紀、あなたを迎えに参りました。」

「………へっ?どういうこと?」

「はー、だから迎えに来たって言っているじゃないですか。あなたのその脳は飾り物で中身はすっからかんなのですか?」

「いや、一応学力はある方だと自負しているのだが…」

俺は目の前に起きていることがさっぱり理解できなかった

「とにかく、こちらの世界に来てもらえればすべてわかります。」

すると、突然彼女の後ろにある窓がグニャリと歪み、暗黒の世界が見えた。

「さあ、行きましょう。」

「いや、ちょっと待てよ。こ、心の準備がま…」

「そんなの必要ないでしょ?それでも男なのですか?」

彼女は後ろから俺の背中をドカッと蹴り、俺を暗黒の世界に無理矢理飛び込ませた。

「ちょ、ちょっと待てやーーーーーーーー」


ドサッ

「いっっっってーーーーー!!!!」

お尻から急降下して、地面にぶつかったダメージは半端なかった。このような事故が起きた元凶であるあいつを探すと上の方から

「かっこわる~傑作だわ~」

「痛いものは痛いんだ……」

気づけば俺は口をあんぐりと開けていた。なぜなら、彼女は"空中"に浮かんでいるからだ。

「何その顔~それも傑作なんですけど~」

「お、お前なんで浮かんでいる?」

「ん?あっ、そうか!お前、いままで魔法を見たこと無いんだったな。こりゃ、驚かせてしまった。失敬失敬。」

彼女は笑いながら、地上へ降りてきた。

「まだ、自己紹介してなかったな。私の名前は常盤希(ときわのぞみ)、これから君のパートナーを務める。よろしく。」

「あ、ああよろしく。ってなんだよ急に!魔法!?俺のパートナー!?というかまずここはどこだよ!」

俺はかなり動揺していた。誰だって、急に変な場所に連れていかれて、さらに現実的にありえないものを見せられたのだ。驚かない奴がいたら紹介してほしいものだ。希は呆れた顔をして

「ここはあなたがもといた世界とは別の世界です。あなたの世界で言う異世界や平行世界(パラレルワールド)といったところでしょうか。」

俺はふむふむとうなずきながら次の言葉を待った。

「そしてパートナーの件は、私自身は望んではいなかったのですが上からの命令ですので仕方なくってところです。なぜ、こんなやつのパートナーに私がならなければならないのでしょうか…」

ーこいつとは仲良くなれそうにないな…

彼女の仕草を見る限り、本当に望んでなかったことが見て取れる。

「はぁ~、そこはいくら考えたところで変わることは無いので開き直るとしますかー」

ーこいつ超ウゼー。何このお嬢様みたいな言い草は。俺だって望んでなかったよ。まっぴらごめんだね。

「最後に魔法についての件ですが…」

ゴクリッ

俺の緊張度のメーターがMaxを振り切った。

「あなたはもともと魔法使いの素質を持っていました。だから、連れてきた。ただ、それだけのことです。」

・・・はっ?俺は耳を疑ってしまった。

「なんだよその意味の分からない理由は!そんな理由だったら別に俺がこの世界に来る必要性なんて微塵もなかったじゃないか!」

彼女はむっとほっぺたを膨らまして

「だから、私だってあなたをこの世界に連れてくることは気乗りしてなかったの!だけど、上からの命令だから逆らえるわけないでしょ!」

俺はふとさっきからでてきている「上」という言葉が気になった。

「さっきから、お前が「上」って言ってるやつらってどんな奴らなんだ?」

「上とは、この世界にある7つギルドのマスター7名のことだ。彼ら7名の会議で、お前を連れてくることが決まったから、7名のうちの1人ヘスト・ヴァイシュ様の部下である私が迎えに行ったのだ。」

「なんで、俺はそのお偉いさんたちの会議でこの世界に連れてくることが決まったんだ?」

彼女はもうこれ以上説明するのは面倒だという顔をし

「続きは、私たちのギルド『エルドラド』についてからにしよう。これ以上ここにいると、魔獣が集まってきてしまう。さっさと私の後をついてこい!」

「はあ」

「ぼさっとするな!死ぬ気か!」

俺はその言葉に思わず身震いをし、彼女の後を追っかけた。すると、彼女は突然止まって振り返り

「そうそう、忘れるところだった。この世界には君がずっと探していた妹がいるよ。どこかにね。」

「えっ?」

突然希の口から発せられた言葉を理解できず、立ち止まってしまった。やれやれといった顔で希は俺の手をとり強引に引っ張って

「詳しい事はあとだ!さっさと行くぞ!」

果てしなく広がる草原の中、俺と希は目的地に向かってひた走った。そんな彼らの様子を『ヴィジョン』で見ているものが一人いた。

「フフフ…待っていたわよ、雅紀」

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