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伸ばした手

作者: 半月

 何を思ったのか、私はかけ出した。駆け上がった先で、屋上の空の広さと青さと、風の強さをこの身に受けた。

 どの季節も大っ嫌いだ。春は花粉が飛ぶし、梅雨はジメジメしてる。夏は暑苦しくて、秋は寂しい。冬は寒いし、どの季節もろくなことがない。だけど、どんな季節も空は美しい。鈍色の雲がかかっても、雷鳴が轟いても、どんなに荒れても、青い空はどこまでも突き抜けていく。そんな感覚が好きで、ひたすらに私は外へと足を運んだ。

 大人と呼ばれる存在になってから思う。

 大人ってなんだろう。私はこんなにまだ子供であるのに。

 死にたいと思って生きることを学ぶ。傷だらけになったこの体に、それでも生をつなぎとめて。

 人は空を見ない。見上げる人を、間抜けと蔑む人さえいる。足元ばかり見て楽しい?私にはわかるはずもなかった。だって、私は私で、その人ではないのだから。

 歳ばっかりとって、中身は子供のまんまだけど、私はそれでいい気がした。それがいいと思ってる。

 届くはずもないのに空に懸命に手を伸ばした。

 その時ふと、宇宙の中に生きてる、と思った。

 私は強くない。弱いし、脆いし、儚い。けど、だからこそ生きているんだと思う。人生、疲れるし、めんどくさいし、楽しいことばっかりじゃない。それでも、生きることをやめようとすることはない。死にたいと思ったことなら何度だってあるけど、その度、足で歩いてきた。口で、鼻で、お腹で呼吸をしてきた。生きることの意味なんかないし、楽しみがどうとかあるわけじゃないけど、私はそうであるからこそ、生きる意味も、楽しみも見つけられると思った。

 伸ばした手は、指は空を切り、何も掴みはしなかったけど、私はにんまりと笑って両頬を両手で叩いて、「よっしゃ!」と言った。

違うだろ、と思う人もいるかもしれませんが、あくまで一個人の考えですので、ご了承ください。

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