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短編

学校

作者: RK

 昔、虐められていたことがありました。

 環境もあるのでしょうけど相談することを、助けを求めることをためらってはいけないと思います。

 拙い文章で何処まで私の気持ちを伝えられるか分かりませんが。


 僕は学校で社会不適合の烙印を押された。

「キミはもっと場の雰囲気を考えた方がいい」

 先生にそう言われたような気がする。

「しらけるからやめろよな」

「あーあ、お前のせいで面白くなくなったじゃん」

 僕の言葉が行動が周りの全てを台無しにしてしまったのだろう。

 それゆえに僕は協調性のない、社会不適合者の烙印を押されたのだろう。

 それから、僕は虐めの対象になった。

 靴を隠され、閉じ込められ、集団で暴力も振るわれた。

 以前は友達面をしていた同級生達も虐めに加わった。

 先生はそれを見ても僕に言うのだ。

「キミは協調性がないな」

 協調性とはなんだろうか?

 場の空気とはなんだろうか?

「先生、それなら僕は協調性なんていりません」

 放課後、僕は先生に宣言した。

 先生は驚いて目を見開いていた。それから顔を真っ赤にして烈火のごとく怒りだした。

 僕は先生の罵倒を背に教室を後にした。

 自分のクラスで虐めが起きていると言われると給料等に影響する。

 故に先生は僕を問題児として扱う。

 問題児という免罪符を。

 本当はそんなの免罪符にもならないというのに。情報を隠匿して明るみに出た時に知らぬ存ぜぬを押しとおす。それが大人になると言うことなのか?

 学校は社会の縮図と言う。

 言いたいことも言えない。存在すらも否定される。暴力が全ての世界。

 それなら僕ははみ出していた方がいいのではないか?

 僕はそう考えた。

 でも不登校は負けだ。相手から逃げると言うことは相手の意思に負けてしまうことだ。

 逃げることは悪いことではない。だが、この虐めに関しては逃げたら負けだと思うのだ。

 我慢も負けだ。

 だが、どうしたらいい?

 一人でどう立ち向かったらいいんだ?

 僕は屋上で一人頭を抱える。

「ねえ」

 そんな時だ。突然声を掛けられて僕は反射的に身構える。

「あ、ごめん…。驚かせるつもりじゃなかったんだ…」

 そう言って謝る。制服のリボンから判断するに僕と同じ2年生。ふと顔を見るとどこかで見覚えのある顔だった。どこでだろうか?

「私の事、覚えてない?」

 僕は「ごめん」といって首を横に振る。

「そっか…」と残念そうに彼女は言った。

 僕に対しての虐めが始まって以来、僕は人と話す機会は無くなった。クラスメイトの顔は既に忘れている。思い出したくもない。

 でも彼女の場合は違う気がした。

「あ…」

 記憶が繋がる。僕が虐められ始めた原因。だが、僕はそれを責めるつもりはない。彼女は正しいのだ。

「あのときはありがとう。私、嬉しかった」

 彼女は当時、虐められていた。僕がそれをやめさせようとした。それが原因で僕が虐めの対象に移ったのだ。

「別に…」

 僕にとっては当然のことをしたのだ。社会の縮図である学校ではそれは過ちなのだろうが。

「あの…、私に出来ることはありますか?」

 目の前の少女は言葉は小さく、だが、その表情はしっかりと意思を持ったものだった。

「気にしないでいい」

 僕は突き放す。一人で出来ることなんて限られている。彼女が何かしたってどうにも変わらない。

「貴方は私に言ったじゃないですか…!」

 何をだろうか?

 僕は首を傾げる。少し前の事なのに思い出せない。

「辛かったら辛いって言えばいい!悲しかったら悲しいって言えばいい!痛かったら痛いって言えばいい!」

 彼女は堰を切ったように捲し立てる。

「助けてほしかったら助けてって言えばいい!一人じゃなにも変わらないかもしれないけど…!二人なら変わるかもって…言ったじゃないですか!こいつら馬鹿なんだからとも!」

 そう言えばそんなこと言ったかもしれない。

「何悲劇のヒロインぶってるんですか!?貴方男ですよ!?ヒロインって柄じゃないんです!立ち向かって下さいよ!私の時みたいに!腐ってるだけじゃ何も変わらない!どんどん腐ってくだけですよ!」

 ああ、確かに僕は言ったような気がする。いまじゃ僕が言われる立場になっていたのか。

 立ち向かう?一人で立ち向かうのは蛮勇だ。いままで僕は何を言っていた。現実もろくに見れていない。現実から目を背けていたじゃないか。負けたくないなんて笑ってしまう。すでに考えから負けていたじゃないか。

 世界の見方が変わった。今まで黒く淀んでいたように見えた世界は少し、本当に少し、変わったように思う。

 なんで僕は相談しなかったんだろうか?

 なんで僕は打ち明けられなかったんだろうか?

 なんで僕は助けを求められなかったんだろうか?

 卑屈になっていた。迷惑を掛けたくないと思った。これ以上酷いことをされたくなかった。

 でも、行動しなければ結局結果は同じだっただろう。

 緩やかに進むか、一気に進むかの違いだ。

 だから親に相談しよう。

 虐めに負けて等いられない。

 これが、ここが社会の縮図って言うなら、僕は社会から外れたっていい。

 人を追い詰めるのが社会ってものなら僕はそんな社会から外れてやる。

 とりあえず、最初の一歩を踏み出さないと。

「僕を助けてください」

「はい…!」 

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