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終わりの始まり  作者:
4/5

今回も読んで頂けたら幸いです。

12月


だんだん寒くなってきたある日。


『ねーねー。思うんだけどー。』


私は座って漫画を読んでいる緋依に声をかける。


『んー?』


一瞬だけこっちを見上げて生返事を返してきた緋依に向かって言う。


『緋依はさー他に行くとこ無いわけ?』


『んー‥‥。』


また生返事が返ってきた。

『他にも屋上とか場所色々あんじゃん。』


『んー。』


『最近寒いからさぁ学校の中とか入った方が良くない?』


また生返事が返ってくると思った。


けど今度はちゃんと私の声に応じてくれた。


『そうだけどさぁー』


『そうだけど‥‥何?』


『オレ他のとこ行ったら弥代ひとりになっちゃうじゃん。』


緋依が私に向かって言った。


その目と言葉に一瞬不覚にもドキっとしてしまった。

『べっつに緋依なんか居なくてもなんともないもん。』


『そーかー?』


また漫画の方に目を戻して言った。


『そうだよ!』


ふーんって緋依が言った。

『けどさ‥‥』


『けどさ、弥代はさぁオバケなってから、ここから動けなくなっちゃったんだろ?』


私はコクンと頷いた。


私はずっとここに縛りつけられている。


たぶんこれからも‥‥


なんでかは分からないけどプールからは外には出られない。


もし緋依がここに来なくなったら暇だし何より‥‥寂しい。


さっきなんともないって言ったのは私のつまんない強がり。


『‥‥しろよ。』


緋依が何か言った。


私はびっくりして振り向いた。


『えっ?何。』


『おいおい。聞いてなかったのかよ。』


緋依は困ったように言った。


もう一度言うのは恥ずかしいらしい。


『何か言ったならもっかい言ってよ。』


私は緋依に言葉をうながす。


『えーっとだから‥‥』


言葉を濁してからもう観念したかのように一気に言った。


『だからオレはこれからもここに来てやるから安心しろよって!』


私は緋依の言葉を聞いて嬉しかった。


『なっ、なんでよ。』


私はついそっけなく言った。


本当は嬉しくてしょうがないのに。


『良いだろ。オレが来たいって思ってるんだから。』

『えっ‥‥なっ、なん』


なんでと言おうとしたら言葉を遮られた。


『だってさぁ、屋上とか人いて息苦しいんだもん。』

私は肩をおもいっきりおとした。


またドキッとした私が馬鹿だった。


まぁまたこれからも一緒にいられるからいっか。


私は心の中で呟いたのだった。

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