ゲーム
高校生で普通に暮らしてればいい。
「今日、ゆみと野球部の練習見に行ったよー」
「うぁ?まじでー??おれ気づかんかった。ごめんなー。」
あやと翔はプリンのスプーンを加えて、二人してプレステに夢中だった。
「だって、翔ちゃん練習中はまじめにやってるもん。だからわたしはそれでいいの。」
一瞬だけスタートボタンを押し、ゲームを一時停止させて翔のほうを見て言う。
あまりにあやが真剣な顔で自分の顔を見たものだから、翔はふっと笑ってしまった。
「なーんだよー照れちゃうじゃんか。」
ゲームのコントローラを白いフカフカのマットの上に投げ出して、横にいるあやを無造作に抱きしめた。
「うぁ。」
急に横から手が伸びてきて、それが自分をすっぽりと覆ったため、あやは少しびっくりして首をすくめた。
あやよりも大きな翔の腕と体はあたたかくて、不思議と心をあったかくさせる。
どうしてこの人は私のそばにいても、こんなにほかほかでいられるんだろうかと思う。
だってあやの手はすごく冷たいのだ。
それなのに、手をつないでも、抱き合っても、翔の体は冷たくならない。
「しょーちゃん??」
あやの耳たぶの横に顔をうずめたまま、翔は返事をする。
「んー??」
「体、ひえない?」
自分を抱きしめている翔の指に自分の指をかさねてみる。
「すっげーあったまる。っていうかなんで??」
かさねた指が、下からからめられて、にぎられる。
「だって、あたしの手、つめたいでしょ?」
確認するように、翔の指があやの指をにぎりなおした。
「んー・・・冷たいっていっちゃぁ冷てー。でも別に俺は平気だけど。」
そういって顔をあげ、あやを自分のほうに向かせて、つけたした。
「っていうか、俺、あやのこと、こーしてっとあったまるし。」
ぎゅっと手をにぎり、あやを安心させようと、翔は必死だった。
もし、あやがまた入院してしまわないように、安心させることで必死だった。
「あたしもあったかいよ。」
顔をくちゃっと緩ませて、あやは笑った
「ねぇ、翔ちゃん。あとでコンビニ行こー。」
翔の大きなベージュのセーターの裾をひっぱって言った。
「おー。んじゃ30分はこーしててな。」
「うん。いいよ?」
ほっぺをピンクに染めて、うなずいた。
さっきまでの翔と同じように、耳たぶに顔を埋めて。
いつもと違う感じです。たまにはこーいうのも出してみたり。どうですか?