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黒の幻想、白き刃  作者: 腐れ紳士
第一章 ~召喚篇~
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その0 プロローグ・召喚

「よくぞきた! 異世界より訪れし勇者たちよ!」


 豪奢な衣装に身を包み、豪奢な椅子に座って高所から睥睨する王様。その視線の先で言われたとおりの作法に従って礼を取ってる二人の男。つまり俺+α。

 さて、何でこんなことになったんだろうか……?




 まあ、まずは自己紹介をしよう。

 俺の名は山岸啓太やまぎしけいた。そして隣にいるのが幼馴染である藤咲守飛鳥ふじさきもりあすかと言う。ともに17歳の高校生だ。

 飛鳥、と言う名前から女と間違われることが多いが、こいつは立派な男だ。身長175センチ。決して大柄・長身と言う背ではないが、平均よりは確実に高い。全体的に細身だが、腕に触れば筋肉質なのが感じ取れる。今流行の細マッチョと言う奴だ。

 ついでに言うなら女顔の美形。クォーターで赤茶の髪がよく目立つ。顔で男を選ぶ女なら、10人中10人が一目ぼれするような美形で、そうでない女も最低でも顔だけは認めると言うイケメンっぷり。……ちなみにしつこいようだがこいつは男である。実は男装少女、なんてオチもない。修学旅行とかで同じ温泉に入ってる。きちんとついてた。

 これで顔だけの男なら、それだけで終わっただろうに、この男は実家が古くからある金持ちで古流武術を伝えているとか何とか。飛鳥自身、祖父から剣術を学んでおり、剣道部のエースと呼び声が高い。頭も決して悪くはない。そして見事なまでの善人。

 と、これだけ並ぶことから想像つくように、もちろん、極めてもてる。飛鳥自身が潔癖症な面とかプラトニックな面があるため、特に付き合ってる女はいないらしいが。


 もっとも、この世に完全な人間などはいないように、もちろんこいつにも欠点はある。


 この男。得意分野は飛びぬけている。いっそ天才と言い切っていいだろう。剣術を習ってるせいか剣道では3段を持っている。ちなみに3段は17歳としては実力以前に受験資格の関係で最高位に当たる。4段の受験資格は3段を得てから最低3年後だそうなので、二十歳ごろになるだろうか。取り合えず高校生としては最高位の剣士といって過言ではない。

 もちろん、それだけのものがあるのだから、素の運動神経も悪くはない。が、剣道以外のスポーツは「そこそこマシ」程度で、球技の類にいたっては素人のほうがうまいことすらある。

 先週の体育のサッカーで、飛鳥がフリー、しかもゴールキーパーすらゴールを離れていると言う絶好のチャンスのゴール前、と言う配置で、この男、盛大にシュートを空振りして転びやがったのだ。

 ちなみにボールはそのままコート外へ転がっていって、このチャンスを逃したせいで負けたのである。

 勉強に関してもそうで、こいつはバリバリの理数系。特に数学が得意で、それこそ大学レベルの問題だってすらすら解いてしまう。

 だが、語学系は壊滅。特に英語が。このあいだの授業で黒板に“man”の複数形“men”を“mans”と書いて教室を笑いの渦に引き込んだものだ。

 要するに。藤咲守飛鳥と言う男は、どこまでも特化してると言うか不器用なのだ。得意なことはとことん得意で文武両道。でも、苦手なことはとことん苦手。

 それが俺の幼馴染、藤咲守飛鳥と言う男だった。


 さて。こいつの話ばかりしたが、ついでに俺のことも話しておこう。

 身長187センチと大柄で、身長にふさわしく筋肉が発達してる。筋骨隆々、といって間違いではない。まあ、身体鍛えるの好きだしな。暇があると筋トレしたくなるタイプの人間なんだ。顔つきは……まあ、不細工ではないと信じたい。知人たちから「デカマッチョでシルエットだけなら怖いのに大人しい顔つきだからギャップがすごい」と言う理由で“眠れる羆(ひぐま)”なるあだ名を頂戴している。

 勉強運動全般として、まあ、どれもそこそこできる。が、本当にその分野が得意、って言う奴には絶対勝てない。ちなみに喧嘩は得意。飛鳥に勝ったことは1度しかないけど。

 昔、子供のころ。飛鳥の祖父に武術の訓練と言うのをつけてもらったことがある。1日だけ。この家の武術は、まさに合戦をくぐってきた「本物」の武術。刀だけではなく、槍、弓、果ては無手の格闘術まで叩き込まれた。

 で、散々子供心にも死ぬ、と思うような訓練をさせられた後、爺さんに言われたのが、


「お前は器用じゃが才能がないのう。これで才能があれば我が流派の後継者として志保を嫁にすることも考えるんじゃが」


 である。あの時は項垂れたものだ。

 ちなみに志保と言うのは飛鳥の妹で5つ下になる可愛い子だ。つーか爺さんよ。俺当時5歳。志保ちゃんは生まれたばかりだろう。嫁は話が飛びすぎだ。まあ後継者に選ばれてないから関係ないのですが!

 ちなみに飛鳥は


「お前は剣の才はあるのにぶきっちょじゃのう。剣だけなら歴代のどの当主よりも上になれるだろうに。なぜそれを他の獲物にまわせないのかが不思議でならんわい」


 だった。やっぱり項垂れてた。




 話を戻そう。

 そんな俺たちは、学校帰りに二人で歩いていた。話題は2ヶ月後に控えた文化祭だ。


「で、文化祭なにやる?」

「そうだな。……お化け屋敷とか喫茶店とかが妥当だけどな」

「まあね。でも、それはありきたりだよね」

「そうなんだよなあ。売り上げ1位のチームは学食3万円分が人数分もらえるからなあ。どうにかして客を集めるインパクトのある出し物を考えないと……」

「そうだねぇ」


 溜息をつく男二人。

 他の奴にとってどうかはわからないが、少なくとも俺にとってはこの文化祭の勝敗は死活問題になるのだ。何せうち、先月に親父の転勤が決まってお袋もついていったから現在一人暮らし。録に料理もできないから昼飯は当然学食だが、仕送りとバイト代だけではどうにも厳しいのだ。遊ぶ金なんて本気でない。どうにかしないとなあ。


 などと思いながら歩いていたら、突如地面が発光した。ちなみに飛鳥の足元。微妙に俺も片足突っ込んでる。


「は? なにこれ?」


 つぶやく飛鳥。無言だったけど俺も同意見。

 足元の輝きは円を基本として複雑な模様を描いていて、そう。たとえるなら魔法陣そのもの。俺も飛鳥も本能的な危険を感じ、飛びのこうとしたのだが足が動かない。


「ななななななななんだよこれ!?」

「おおおおおおお俺が知るわけないだろう!?」


 あせる俺たち。だが、そんな俺たちの焦燥には頓着せぬとばかりに魔法陣の輝きは増し、ついに光は虚空を侵し、円は球となって立体型の魔法陣、とでも言うのだろうか? そのようなものになって飛鳥を包み込む。

 俺はと言うと、右足の膝から下だけ魔法陣の中。立体化した影響で強制的に空中に固定化されてる。


 そして。


 まばゆい光とともに、俺たちは世界から消失し。

 物語の中でしか聞かないような、剣と魔法の異世界に召喚されたのであった。

 はじめまして。初投稿です。

 至らない点も多々あると思いますが、感想・御意見などありましたらいただければ幸いです。また、誤字報告などございますれば全力で修正させていただきます。

 ちなみに不定期更新かつろくにプロットも立ててないと言う見切り発車仕様……^^;

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