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やば×2位  作者: ビードロくん。


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第2話 竜宮騒動 後編

数十分程タクシーに乗り宿屋到着した。


「…おい、ここって」


「どうした? ただの竜宮だろ?」


義浄はニヤニヤしながら施設の中に入っていく。

竜宮は竜宮城内にあるシンボルであり宿泊施設、世界一のセキュリティシステムとサービスを兼ね備えている。


成咲は入場に身分を偽造している分、バレた時は非常にまずい事態に陥る事をわかってる上で、義浄はここの宿屋を取ったようだ。


「ようこそ、竜宮へ。こちらの施設は……」


義浄と成咲は竜宮スタッフの話をじっくり聞く。

利用する時の注意喚起、部屋の説明等々、合計で十分程時間を取られた。


「……以上で説明は終わりになります。それでは、こちらに身分証と指紋をかざしてください」


スタッフの言葉によりふたりの間に一気に緊張感が走る。

義浄はなんの問題もなく承認を済ませていく。

成咲は、左手に予め極薄の偽造皮膚手袋を着用している。

身分証の情報と完全に一致するように作られている為、本来なら問題もないのだが……


「すいません。防犯対策で右手用しかご用意がないので、右手の方で承認の方をお願いします」


「あっ…そうなんですね。わかりました」


成咲は表情を変えずに返答するが、右手に手袋を着用していない。

この状況には流石に焦りを感じる義浄。


「再設定が終わりましたので、こちらに右手をかざしてください」


スタッフから機器を差し出された成咲は、大人しく右手をかざそうとした時……


「あれ? 停電ですかね?」


「大丈夫なんですか?」


「はい、全然問題ございません。電気に関しては海上に建っているという点で元々不安定な部分ではあったんです___はい! すいません。少々お待ちください」


無線で呼ばれたのか裏に引っ込んでいくスタッフを眺めながら、成咲は慣れた手つきで承認機に細工を施していく。

カード型のUSBを差し込み、内部の情報を書き換える。


「…………間に合うのか?」


「…うちの優秀な部下を信じろ」


細工をしている間、義浄とコソコソ話をしているとスタッフルームの方から先程とは違う、騒がしい声が響いてきた。


「何があったんだ?」


「…知るか。今は時間が増えた事を嬉しがるしか___よしっ」


承認機の細工が完了し、成咲は左手をかざす。

青いランプが点灯し承認を完了させる。


カードを引き抜き、服の内側を通す形でカードを流しベルトの内側に隠した。


承認機を元の位置に戻して何事も無かったかのように振る舞う。


少しすると、スタッフの人が戻ってきて承認完了の画面を確認する。


「…はい、確認が取れましたのであちらにあるエレベーターの前にあるカウンターのスタッフから部屋番号とカードキーを受け取ってください」


「わかりました、ありがとうございます」


何とか窮地を乗り切ったふたりは指示された通りエレベーター前カウンターに向かう。


「よく間に合ったな」


「戦闘や話ができない分、技術を持ってるのが美咲だ。こんな所でミスはしないさ」


カウンタースタッフからキーもらいエレベーターに乗り込む。


「……おい」


「……どうした」


「聞いてないぞ、同室など」


「…仕方ないだろ。ここを取れたことさえ奇跡だと言うのに、そこから二部屋など取れるはずがない」


「だとしたら、先に一言説明が欲しかったが」


エレベーター内でふたりで軽い言い合いをしていると扉が開いた。

他の宿泊客にバレないように、部屋に向かう。


廊下を進んでいくと次第に人気が無くなっていく、それと同時に部屋数も少なくなっていき最後には廊下一本だけになってしまった。


「お前、どんな部屋を予約したんだ?」


「空いてたのが、最高クラス零一号室だけだったらしく仕方なかったんだとさ」


竜宮零一号室。

一般人しか出入りができない竜宮城ないで、この部屋を利用できる者はいない。

本来はただの観賞用の部屋として作られた為、値段が高額だから宿泊する事が出来ない…とかではなく、元からそういった用途で作られてないのだ。


「宿泊出来ない部屋で、お前とふたりきりか…寝首を襲われんように気をつけなければな」


「襲うなら寝首じゃなく今、襲ってる。それに、まだ廊下だ、余計な事は言うな」


「どの口が言ってんだ」


そんな小話をしながら歩いていると零一号室の扉の前までやってくる。


「この扉が自動で開くのか?」


「最近の技術はすごいからな。ほら、早く扉をあけろ……貸せっ!」


高さ五メートル程の大きさの扉を前に圧倒されてしまう義浄からカードキーを奪い扉を開ける。


扉の大きさからは想像つかない程、静かな音で扉が開いていく。


「なるほどね、扉を開けるのと鍵の開け閉めが全部一緒になってるのか……そりゃ常に一緒居ないと行けないわけだ。これ一枚しかキー貰えてないしな」


カードキーの仕組みを軽く理解した成咲は関心しながら、自分の荷物を持って部屋に入っていく。


「ふぅ……おいっ、いつまであほ面晒してんだ。早く部屋の中に入ってこい」


「……あぁ、そうだな。悪い」


成咲の声に反応し義浄も部屋の中に入る。


「さて、これからの予定について聞かせてくれないか?」


ソファーに腰掛けながら成咲は義浄に尋ねる。


「分かってる。ちょっと待ってろ、用意するから」


「……わざわざ資料を用意したのか。律儀だな」


「上の奴らに説明する時に、仕方なく使っただけだ」


義浄はテレビにパソコンの映像を映しながら説明を開始した。



今回の調査内容は、竜宮内で学生の暴動事件が立て続けに起こりその原因を解明すること。


現在判明しているのは暴動を起こした生徒の身体には注射痕のようなものが発見されているという事。


これらの点を踏まえて、調査内容を考えたらしく義浄と成咲は竜宮内にある学園に潜入捜査を行うことなった。


成咲は新任の社会科目の教師として、同じ義浄も新任の体育教師として学園内に潜入する事になっていた。


「……なるほどな。何点か気になるところはあるが、一番言いたい事としては……今初めて調査の内容を聞いたのだが?」


成咲は義浄の捜査に協力しろとしか指示を受けてない為何を調べるのかすら分かっていない。

義浄からすれば、聞かされていると思っていたのか忘れていたのか、どっちかは分からないが成咲に対してなんの説明もしなかった。


「そんな事は置いておくとして、いよいよ明日。俺達は学園に最後の試験をしに行く」


「試験? ど言う事だ?」


「教師として務める時に、行われる実習試験的なものがあるらしい。今回は急を要すると言うのも理解してもらってるが、生徒達に認めてもらわないといけないらしい」


竜宮学園で働く為には、最終試験を行わなければならずその際の映像は各教室に設置されているテレビにより生徒達が自由に観戦する事が出来るらしく、試験結果が良いのと同時に生徒からの人気を勝ち取らなければ、働く事が出来ないというのが、採用の際のルールらしい。


「また、面倒くさそうな。制度が存在するんだな、まぁ毎年毎年大量の候補者が集う訳だからより優秀な人を選考する手段としては納得か……」


「そういう事、つまり俺達は明日の試験に合格しなければそもそも本題の調査をする事すら出来ないんだ」


「厄介な……試験内容は分かったりしてるのか?」


成咲の問に義浄はファイルを取り出す。


「試験内容は担当科目に関する筆記試験と走る、泳ぐ、漕ぐのトライアスロンの試験があるらしい」


「トライアスロンか、その部分なら俺達は問題ないだろうが……問題は筆記だな」


「俺は体育科目について、成咲は社会科目について、不安なのか?」


義浄は煽るように云う。


「不安にもなるだろ、試験などしばらく受けてないから」


「そうだな、らしくないが勉強しよう」


「まさか、俺が勉強する時が来るとは」


義浄による話を終えふたりは、各担当の科目について勉強を始めた。

時にはふたりで教えあったりなどしながら、順調に進めていく。


ふたりが零一号室にたどり着いたのが、午前十一時、そこからふたりは約9時間の勉強をし部屋のチャイムが鳴る。


「ん? ……あぁ、食事の時間か」


「片しておく、対応してこい」


「命令するな」



義浄が扉を開けると次々とスタッフが部屋に入ってきて食事の用意をする。


その様子をふたりは仲良く眺めながら、待っているとふたりの共通無線に通信が入る。


〈お二人とも、今お時間ありますか?〉


〈どうした、美咲〉


〈現在、お二人の様子をボディーカメラを通じ確認をしていたんですが、少し気になる点がございまして〉


〈気になる点? 何かあったんですか?〉


〈何かあったかと言われるとまだ、何もないの方が正しいのですが、とりあえずお二人のうち動ける方に無線を切り替えます〉


〈…………〉


〈……美咲、私が動く〉


〈わかりました。ボスに無線を繋ぎますので少々お待ちください〉


無線を切り、美咲からの連絡があるまで待機する。


〈お待たせしました。ボス、今から指示を出す場所に向かってください〉


〈わかった。いや、その前に軽く場所を移す〉


成咲は義浄とアイコンタクトを交わしその場を離れる。


「お疲れ様はどちらに?」


すると、瞬時に男性のスタッフのひとりが話しかけてくる。


「御手洗に行くと」


義浄は成咲が向かった場所は分からないが、適当な嘘をスタッフにつく。


「左様ですか、でしたらお二人分の説明をしっかりとお聞きくださいね?」


男性スタッフは冗談交じりの笑みを浮かべながら、義浄に云う。


「あはは、そうですね」


義浄の返事を聞いた男性スタッフは配膳の手伝いに戻ったが、その際スタッフの表情は消して良い物とは言えなかった。


「……怪しまれてるのかな?……まぁ、なんでもいいが」


食事の用意が終わると食事の説明が始まり、義浄はしっかりと二人分の説明を聞いた。



零一号室のメインルームから離れた成咲は、とりあえず寝室に移動し、美咲と連絡をとる。


〈美咲、場所を移した。それでなにがあったんだ〉


〈配膳スタッフの所持品の中に、ピストルや刃物らしき物が確認されたんです〉


〈……護身用って事か?〉


〈それは分かりませんが、今武器が無い現状…気をつけて置くのが懸命でしょう。それと……廊下に隠し扉のような物が発見できました〉


〈隠し扉……〉


美咲は例の力を使い、成咲達と共に歩いていたらしくその際廊下の壁に違和感を覚え軽く調べてみると何か空間のような物が発見出来たらしい。


〈ボス達が宿泊する施設の全体図やマップを確認てしても空間なんて物はもちろんありません。それに、この建物の設計上図やマップにない隙間や空間がある時点で形を保つ事は不可能なんです〉


〈という事は、意図してマップに表示してない隠し場所があると〉


〈そういう事になりますね〉


〈わかった、少し見に行ってみよう〉


〈わかりました、ポイントに着きましたら合図します。お気をつけて〉


〈あぁ〉


美咲との無線を終えて、その廊下の隠し扉まで向かおうと身体を動かすが丁度のタイミングで、配膳のスタッフが部屋から出ていく。


成咲の頭に義浄と共に行く、という考えが頭をよぎる。


スタッフ達が撤収するまで三分程度かかりその間成咲は必死に考え、出した答えは……


「美咲さんの話って結局なんだったんだ?」


義浄と共に行く、という答えを取り食事を取る。


美咲にこの事を伝えると、「賢明な判断です」と言われた。


「零一号室に来るまでに長い廊下があったよな」


「あぁ、扉も窓も無い。少し異様な雰囲気がある廊下があるな」


「…………その廊下に、どうやら隠し扉のような物があるらしいんだ」


「何ッ! 隠し扉だと…いや、あの長さを考えればあってもおかしくはないか」


義浄の大きなリアクションに若干戸惑うが、成咲は落ち着いて食事をする様に注意する。

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