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やば×2位  作者: ビードロくん。


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第1話 犬猿の仲 後編

同じく時を遡り、警察との小競り合いが起こった一週間前の出来事。


「ボス、今回の計画なのですが少々厄介な事が起こりまして」


アジト会議室にて、不穏な空気が漂っていた。


「どんな事だ?」


成咲は冷静に問う、眉をひそめ部下を見つめる。


「……アイスランドに設置している電力供給装置に不具合が生じました、現在原因を調べていますが何者かに細工をされた可能性が高いと思われます」


部下の報告聞き入れ成咲ため息を吐く。


「そうか、なら対応を急げ……電力の供給が遅れたらお前らの首が飛ぶじゃ済まないぞ?

___竜宮城は立派な資金源だからなミスは許されないぞ」


成咲は決して怒鳴りはしないが、息をするのを忘れてしまう程の圧で警告を言い残し会議室を後にした。


「はぁ……」


成咲は自室に戻り大きくため息を吐きながら、報告に上がった電力装置の様子を確認する。


「……確かに人影が若干だが映ってるな」


不具合が起きた時間から遡って、その原因を探る成咲。

監視カメラの映像は、ボスである成咲しか確認することは出来ない。


〈神田、ちょっと俺の部屋まで来い〉


成咲はアジト内全体無線にて神田という人物を呼びつける。


「失礼します」


扉がノックされ、神田が部屋に入ってくる。


「神田、ひとつ頼まれてくれないか?」


成咲は、砂時計をひっくり返し時間を計り出した。


一時間それが二人に与えられる、無立場の時間。


「いいよ、それで頼みって?」


神田は砂時計を確認しながら、幼なじみに姿を変える。


「美咲、さっきのアイスランドの電力供給装置の件どう思う?」


「うーん、元々不具合が生じるのは考慮しての設計ではあったはずだけど……あえて聞いてくるってことは何か映ってたんだね?」


「その通り、これを見てくれ」


成咲は先程の監視カメラの映像を美咲に見せる。

美咲はその映像を凝視する。


何度も何度も同じ箇所を繰り返し確認する。

映像を確認してから十分後に美咲はようやく口を開いた。


「七人…この映像、影になって映ってるのは二、三人くらいだけど、裏にもう五人くらい居る」


「そうか、思ったよりもめんどくさい事態な訳か」


何故美咲は映像に映ってない人数まで把握できたのだろうか。

それは、美咲が生まれた時から持ち得る特殊な力にあった。

その力とは映像に映っている場所に自分が居る想像をする事で、その周囲の状況をその目で確認出来ると言う力だ。


その現場に鑑賞する事は出来ないが、自分がその場に居ると想像が途切れることが無ければいくらでも映像内の状況を確認でき、映像さえあれば何回でも使用することが出来る。


この力は、映像のみに限るが確実に映像内の出来事を知ることが出来る。


「うん、武装とか変装とかはしてなかったから…考えたくはないけど内部の人間の可能性もあるかも」


「そうなれば、簡単に小細工ができるな。顔の確認は……流石に暗いからわからんか」


「うん、ごめん」


「別に怒ってないよ。……って、何泣いて…ほらおいで」


成咲は砂時計を確認しまだ時間がある事を確認し、美咲を自分の近くに呼ぶ。


「……うん」


美咲は指示されるがままに成咲に近づき、抱きしめられる。


「全く…ギャングの幹部だって言うのに、いつまで泣き虫さんなんだ」


「……うん」


「まぁ、いつも我慢させちゃってるからな。やりたくもない事やらせてな……いつも助かってるよ」


「うん……うん」


美咲を抱きしめながら頭を撫でる成咲。


「どうする? 今日はもう帰るか、それとも仕事に戻るのか……どっちがいい?」


成咲は優しく美咲に問いかける。

そして、成咲はわかっていは美咲は帰らずに仕事をするという答えを出す事を。


「帰らない、まだやる事残ってるから」


「そうか、ならいつもよりも多めに休憩をとるようにしろよ?」


「……うん…でも、それは透琉が管理する」


「うんうん……ん?」


成咲は、美咲の「透琉が管理する」という発言に違和感を覚えた。

何故なら、二人は仕事での関わりは今回のように部屋に呼び出した時だけ、管理するも何もない。

それに、仮に休憩を取らなかったとしても成咲は気づく事は出来ない。


「何を言ってるんだ? 俺にも俺の仕事があるから、その管理って奴は出来ないんだけど?」


「…………だから、今日はここで仕事する」


「あー……なるほど、確かに美咲の仕事はどこでも出来るから可能だけども……マジで言ってる?」


「うん」


美咲の食い気味な返事に困惑しつつも、一日くらいなら問題無いだろうと思い、美咲の要望を聞き入れた。


しばらく、ふたりでゆっくりしているといつの間にか砂時計の砂がほぼ落ちかけていた。


「美咲、もう一時間経つよ。ほら、仕事仕事」


「うん……ありがとう」


「こちらこそ」


ふたりは横並びになりそれぞれの仕事に取り掛かった。


真面目に仕事をしていると二人の元に一本の電話が入る。


「透流、電話鳴ってるよ」


「……うん」


成咲はどこか怖い顔で電話に出る。

その際、スピーカーのボタンを押し美咲にも聞こえるようにする。


〈もしもし、どちら様ですか?〉


〈………………〉


〈……もしもし?〉


電話の先から聞こえるのは声ではなく、砂嵐のような音にも聞こえるが、どこかこもっているような声にも聞こえる。


〈電波が悪いかもしれないので一度切りますが、なにか用がある様でしたら再度、掛け直していただけると___〉


成咲が最後まで話し切る前に、電話の先から声がした。


〈成咲……透流…………ギャング組織 人生遊戯のボス……〉


「「___ッ!」」


聞こえた言葉は、組織の人間しか知らないはずの事、ギャング組織という単語だった。

成咲は表向きは、ゲーム会社ライフloomの代表取締役。

ライフloomは、人生遊戯というボードゲームとゲームソフトを制作し歴史的大ヒットを叩き出した世界的にも有名な会社である。


が、その裏の顔は人生遊戯というギャングの会社なのだ。


そして、その事実は関係者以外誰も知らない。警察すらも知らないはずなのだが……


〈あんた、一体誰だ。その事を知っていて私に電話をかけてくると言うことは、死ぬ覚悟もあると言うこと……だな?〉


成咲はさっきとは違いドスの効いた声で脅すように電話先の相手に言い放つ。


〈……失礼。ペットが悪さをしてしまったようですね〉


〈ペットだと? 随分ふざけているようだな〉


〈いえいえ、ふざけてなどいませんよ。それよりも本題に入った方がよろしいのでは?〉


電話先の相手の態度に若干の苛立ちを感じながらも、隣にいる美咲の事を思い気を静める。


〈そうだな。それで、なんでうちの事を知ってるのかを教えてもらえないか?〉


成咲は自分達の情報の出処を探る為に直接尋ねた。


〈おやおや、もう少し聞いた方が良い事があるでしょう?〉


〈あいにく、これ以上の事はないんだ。私達の今後に関わるからね〉


二人のやり取りを間近で見聞きしている美咲は、お互いが発している気迫に圧倒されてしまう。


〈回りくどいな、何が言いたい〉


〈簡単な話ですよ、今あなたの組織内で起きてる問題……裏切り疑惑……〉


〈何故と言うのは一旦置いておくが、それがどうかしたのか?〉


〈気になりませんか? アイスランドの発電に細工をした人物の招待や何故組織の事を知ってるのか……全てね〉


含みを持たせながら電話先の相手は成咲に云う。


〈そうだな。教えてくれるのか?〉


〈……タダでという訳にはいきませんよね?〉


分かっていた事だ、こちらが喉から手が出る程欲しい事を握ってるならそれを使い、こちらを都合良く動かすのは当たり前だ。


成咲は深く考え、これからの事や何を言われるのかを……


〈それもそうだな。何が望みだ〉


成咲の答えに不安の表情を浮かべる美咲。


〈……久田 義浄という男を知ってますね?〉


成咲も美咲も予想外の名前が聞こえ、目を大きくし一瞬驚いてしまう。


〈実は、その男がどうやら…ある件の調査をするそうなのです〉


〈調査だと? ……それを止めて欲しいのか?〉


〈違いますよ〉


成咲達の頭に疑問符が浮かぶ。

予想外の名前と相手の思惑が一切見えてこない事により美咲の心には不安という感情が深く募る。


〈……なら、何が望みなんだ〉


〈特殊事件対策科の久田義浄と元に行動し調査をして欲しいのです〉



謎の男との電話を終え、成咲達は黙りしながら最後の会話の内容を考える。

先に、沈黙を破ったのは美咲だった。


「……義浄さんに連絡するんですか?」


「どうだろうな……だが三つ言える事がある」


成咲は重い口を開く。


「一つは、仮に調査とやらに協力しても俺達が望む答えは得られないかもしれない…と言うこと」


警察と行動を共にすると言う事は、この件の間は仮に何も無かったとしてもその後すぐに錠を掛けてくる可能性もある。


それに、この条件を出してきた電話の男がちゃんと約束を守るかも分からないという事。


「二つ目、引き受け無かった場合…俺達の立場がどうなるのか、という点」


電話の男は少なくとも、成咲達の立場を無くすことは容易い。

何故なら、ギャングであると言うことを証拠と共に提出すればそれで済むからだ。


「三つ目……俺もあいつも立場がある以上…そう簡単には裏切れないと言うこと」


警察と手を組むギャングのボス、しかもそれを行った理由が自分からではなく誰かから指示されて たから……そんなのが組織に知れ渡れば、ボスとしての立場が無くなってしまう。


また、義浄も同じ。

警察は過激な奴が多い、ギャングと手を組んで調査をするなんて事は絶対に許される行為ではない。


「…どうするんですか?」


「……久田義浄の連絡先をハックしろ、協力するかは別として……一度ちゃんと話をするべきだろう」


「わかりました。でも、大丈夫なの?」


美咲の言う通り。警察に事情を話すという事はこれからの活動に首を絞めるのと同じこと。


「大丈夫だ。話す時は一対一で話をする」


「……義浄さんは乗ってくれるでしょうか」


「知らない。だが、俺達の間に何も無い訳じゃない……少なくとも七年関係値がある。善し悪し関係なく、そこには一種の信頼関係がな」


成咲の答えを聞き、不安という感情を全ては拭えなかったが美咲は自分の幼なじみを信じる決断をする。


義浄の電話に電話をかけ、呼び出す。

久田義浄も突然の電話に戸惑っていたが、すぐに何かを察知し成咲の話を受け入れた。


集合は今夜、場所はいつもの港。

それだけ伝え電話を切る。


時間まではまだまだ時間がある。

成咲は何かを悟り、集合の時刻まで美咲と幼なじみとしての時間をたっぷり過ごした。



暗くなり、約束の時間がやってくる。

港に一足先に着いた成咲は、助手席に座ってる美咲の頭を撫でながら、義浄の到着するのを待っていた。

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