1話
なあなあ祐希!アレ持ってきたか!?
「ああ!!ちゃんと持ってきたぜ!ほら!P◯P!
ナイス!!じゃあ一緒にモ◯ハンポータブルやるぞ!!
「おう!!」
俺の名前は「鈎柄祐希」、俺は黎陽高校の2年1組の生徒だ。
そして目の前にいるこの茶髪の男が俺の友達の「十九川将暉」、幼稚園の頃に知り合ってから、ずっとこうやって遊んでいる。
「今日はどれから行く?」
「どれから行くって・・・決まってんだろ!!今日こそミラ◯レアスを倒しに行く!」
「分かった!」
そのまま二人でやっていると
ゾアッ!
(こ、この寒気はまさか・・・)
ギ、ギギギッ、
「お、おはよう・・・朱音・・・」
祐希の後ろに居たのは水色の髪、ポニーテール、瞳の色は少し赭色の女子「蓬莱朱音」だ。
「またそんなゲームをして・・・少しは勉強したら?」
「勉強・・・まあ後でで良いよ、なあ将暉」
「そうだそうだ!勉強は自分のタイミングでやらせろー!!」
あ゙あ゙?
「な、何でもないです・・・ま、将暉!い、今から勉強しよう!な!?」
「お、おう!そうだな!今から真剣に真面目に勉強しよう!」
二人はリュックからゲームの攻略本を出した。
「・・・?それって攻略本でしょ?勉強は?」
そう言うと
「勉強?俺達からしたらこれが勉強なんだ!敵の弱点、情報、マップの地形、この本で色々と学べる事があるんだ!!なあ将暉!!」
そうだそうだ!!
「後、これにはゲーム制作に関する裏話とかも載ってるんだ!!」
載ってるんだぞ〜!!
「俺達はこう言うゲームに関する情報なら殆ど何でも知ってるんだぞ!!」
知ってるんだぞ〜!!
二人はゲームの攻略本をまじまじと見ながらそう言った。
「へぇ~・・・そんなにこれで叩いて欲しいなら言ってよねぇ〜♡」
ペシッ!ペシッ!
朱音はリュックにある1m定規を掌で叩きながら言った。
「こ、今度はちゃんと勉強しよう・・・なあ将暉」
「そ、そうだな・・・」
二人はそれぞれが不得意な教科の教科書を出し、今度はほんとに勉強を開始した。
「・・・」
朱音はリュックを自身の机の上に置き、女子トイレに向かった。
ガチャッ、キィー、
・・・はぁ
「少し祐希君に厳しくしすぎたかなぁ・・・嫌われてなければ良いんだけど・・・」
はぁ・・・
「やり過ぎちゃったかもなぁ〜」
・・・
「あれで私に対する恋愛感情がなくなって、他の人に祐希が奪われたら・・・」
「まあ・・・次から優しく接していけば何とかなるはず!よしっ!」
朱音の目標
「鈎柄祐希に優しく接する」
その目標を胸に秘めながら朱音は教室に戻った・・・
パァン!!
王手
「いやっ・・・これは王手じゃない!」
パンッ!
はっはー!!
「これでどうだ!まあ?もうこれ以上は多分無理だろうとは思う───」
パァン!!
歩 銀 飛
と と←祐希
金 王 角
↑
将暉
「な、何だ・・・と・・・」
ガタッ!ガタガタッ!
あまりの光景に、将暉は椅子から崩れ落ちてしまった。
「あ、ああぁ・・・」
スクッ、スタスタ、
祐希は将暉の前で立ち止まり、少ししゃがんで
「詰み、お前の負けや」
耳元でそう囁いた。
ガクッ、
「・・・クソぉ〜・・・」
「はっはっは〜!将棋で俺に勝ちたかったら藤◯聡太でも連れて───」
ピタッ、
「お、おい・・・朱音、な、何で・・・そんなに怒ってるんだ?」
「ゆ〜う〜き〜く〜ん〜?今度はちゃんと勉強するって言ったよねぇ〜?」
「そ、それはだな・・・お、おい!将暉!!助けてくれ!!なあ!」
・・・将暉?
祐希は横を見た、そこには将暉は居なく、自分(将暉)の席に座っていた。
「お、おい将暉!!な、何で逃げるんだよ・・・なあ!!」
スタ、スタッ、
「ちょっ、誰か〜!!HELP ME!!」
朱音は祐希の頭に手を伸ばした。
「ひ、ひぃ~・・・」
スッ、
さっきはごめんなさい、怖かったかしら?
祐希の耳元で、朱音は言った。
「え?い、いやいや・・・全然大丈夫だったけど」
「そう?なら良かった」
そう言いながら席に座った。
「な、何だったんだ?まあ・・・いいか」
スチャッ、
そう言いながら自身の席に座った・・・
(きゃー♡初めて好きな人の耳元で喋っちゃった♡緊張で死にそうだった・・・取り敢えず、祐希に嫌われてなくて良かった!やっぱり優しくした方が良い!)
・・・ボソッ、
空、綺麗だね
「?朱音、今・・・何か言ったか?」
「?幻聴じゃない?」
「そ、そうかな・・・そうかも、俺・・・最近耳が少しだけ悪くなってんだよな、それでな、聞き間違いや幻聴が少しだけ多くなったんだよ、多分俺の勘違いだわ、ごめんな朱音」
そう言いながらケータイを触りだした。
・・・ふふっ、
「やっぱり私の好きな人は頭がおかしいわ・・・でも・・・それが好き♡」