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時の加護者のアカネの気苦労Ⅰ~時の狭間の白い手  作者: こんぎつね
第2章 運命の輪 roue de la Fortune
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第39話 謀略破綻

私は「時の加護者」アカネ。

フェルナン国とギプス国の親善イベント料理対決の謀略はなんと調理長タニシに変装したミゼの仕業だった。あいつ私に相当恨み持っているみたい。それはそうと、ミゼに「運命の加護者」シャーレが殺害されてしまった事に心悔やむ2国の王だが..


—フェルナン王宮 処刑場—


「申し訳ない、アカネ殿。我々の為に1度ならず2度も救っていただき。そしてシエラ様、シャーレ様、クローズ様とあまりにも犠牲が大きい.. 」


ジイン王とスタン王は膝を着き、うなだれていた。


「でもラヴィエが助かったじゃない。それは良い事じゃない? 」


「そんな、我が娘の命だけが助かり、他を犠牲にするなど.. 」


「はい、はい、もうそういう考え方はやめましょう。じゃないと、3人は何のために命をかけたのかわからない。3人の犠牲に報いるためにも、ラヴィエの嫌疑を解いてください」


「そうだ、ジイン殿、このスタンを狙ったのはフェルナン国でもなければラヴィエ殿でもないことはもうわかっている。嫌疑などはもうない」


ギプス国のスタン王がナイスな援護射撃!


「かたじけない。スタン殿。ここに誓おう。我がフェルナンは未来永劫、ギプス国と友好国であることを」


「じゃ、これで一旦、解決ね。 ほら、シエラ! いつまで寝てるの? 」


「.. 」


「こらっ! いい加減に起きろ! 」


「なんだ.. このまま続けてたらアカネ様の涙が見られると思ったのに.. 」


カンフーアクションスターのように跳ね起きると屈託のない笑顔を見せるシエラ。


「あんたがやられていないのは私が一番知っているのに何で泣くのわけ? 」


「その割には、あのミゼ相手に怒髪天になってましたよね。『僕のために怒ってくれたんだ』って凄くうれしかったですよ」


なんかとっても照れ臭い事を正面切ってシエラが言い出した。


「それは、あれよ.. もういいでしょ。そんなことよりもクローズは大丈夫なの? 」


「お~い。クローズ、アカネ様が心配してるぞ、もういいぞ! 起きろ! 」


「 .. 」


全然反応なし!


「なに? これってシエラのマネしてるの? 」


「違います。ドン引きです。こいつ本気で寝ています」


一連の流れを半ばあきれ顔でほっとする王様たち。そして倒れたアコウに付き添い、看病するラヴィエ。


「こらっ!」


シエラにドカッと蹴りを入れられると、蹴られたところをポリポリと掻きながらあくびするクローズ。


「やぁ、シエラ。おはよう」


「クローズ、はじめまして。私は『時の加護者』アカネだよ」


「っ!! ..」


私の初めましての挨拶に対するクローズのこの反応は何だろう?クローズが驚いた顔のまま固まってる。何か違ってたのかな?あいさつとか..シエラが口を開いた。


「クローズ、君が言いたい事はわかるぞ。だが、アカネ様が僕より可愛くなくなっているなんて事を決して言うんじゃないぞ。傷つくから」


「わかった。そうする。この方はアカネ様なんだね」


こいつら、私をからかう連携技を披露しやがって!宇宙の果てまで蹴り飛ばしてやろうかしら。


「あ、すいません。アカネ様、私はクローズと言います」


クローズはかしこまって正座をした。


「いいよ、いいよ、楽にして。ところで何でシャーレはこんなに無残な姿になっているのにあなたは何ともないの?」


「はい。シャーレ様はあの瞬間に急遽用意した依り代に魂を移したのです」


「魂を移す?」


「アカネ様、僕が前にも一度説明しましたが——」


そうだ。3人の加護者は『永遠に生きる』もしくは『依代に魂を移す』のだった。『時は永劫に生きる』、『運命は魂を移す』、なら『秩序』は何なのだろう。そして、それで考えると私はいったい何なのだろう?


「アカネ様、聞いてますか? ボーっとして」


「ああ、ごめん。それでシャーレは魂を移したっていうのよね。どの人に移したの?」


「はい。シャーレ様は運命を司る加護者です。決して生きる者の運命を邪魔する魂の転移はしません。今回はその下準備が足りなくて、少々やっかいなことになったんです」


「「?? 」」


シエラもよくわかってなさそうだ。


「どうやっかいなの?」


「とりあえず、急いで『シュの山』の頂にある獄鳥パルコの巣に行きましょう。早くしないと大変なことになりますので!」


クローズが手だけ前後に振り続けて私たちに急げと促した。

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