そのはじまりは
「ああ……何回やっても、転移だけは慣れねえなあ……」
長髪の男はコンクリートジャングルの中を歩きながら、ぼやいた。紺色のジャケットを漆黒のインナーの上に着込んでいるせいで、真冬の寒気は幾分か緩和することができている。
「楽しみたまえよ、色んな場所に経費使って行けるなんて良い仕事じゃないか?」
長身痩躯で褐色肌の男は黒い薄地のパンツに焦げ茶色のインナー、グレーのコートという出で立ちだ。二十代後半に見える長髪の男よりは暖かそうな服装をしている。
「そうだ。我々は同年代ではないか。というか、一番若い君が寒がるというのは解せない。よく言うだろう? 子供は風の子、と」
禿頭に白いバンダナを巻いた巨漢は白いTシャツに濃い緑色の軍用パンツを身にまとっているだけだ。三人の中では一番寒いと感じるはずだが、そんな様子は微塵も見られない。
「さあ、リーダー。ここはどこで、我々はどう行動するのかな? 今回のオーダーは目標すら示されなかったが」
褐色肌の男が長髪の男に問いかける。
ビルの森林が続くばかりだが、雑踏に人があふれているというわけではない。むしろ、大都会のわりに人が少ないとさえ思えるほどだ、というのが長髪の男の考えていることだった。
「とりあえず、この“世界”の観察だな! 俺たちがここに送られたということはどこかしらの“歪み”が発生しているはずだ。……それを確認してから、消す」
最後の言葉を発するとき、長髪の男の目つきが変わった。陽気な者のそれから、殺戮者の者のそれへと。
「うむ、君が成長してくれて嬉しいぞ! 最初から戦闘機を使って全部爆破すりゃ済むじゃんかよーとか言わなくなったんだな、偉いぞレネゲイド君!」
巨漢の男はガシガシとごつい手でラグナと呼ばれた男の頭を撫でた。
「アホかッ! 子ども扱いすんじゃねえよ! 俺ぁもう二十八だぞ!」
「精神年齢は一桁だという自覚がまだないのか……」
褐色の男は呆れたように首を横に振る。
「ったく……まずは入国手続きしないとな。ここは……日本国東京都か。ちょうどいい。すぐに入国手続きを済ませちまおうぜ」
レネゲイドと呼ばれた男は二人の仲間と共に入国管理局事務所を目指すこととした。
こんばんは、星見です。
冬まっさかりですね。最低気温はマイナスになり、車のフロントガラスは凍り付いています。
3月になれば少しは暖かくなるでしょうか。今年も1年仕事に創作活動に楽しみながら過ごしたいと思います。よろしくお願いします。
さて、始まりました。神の七賢人とは?
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……