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アオイの恋⑧

「お疲れ様です、アオイ様!」

「お疲れー!」


 あれから、アオイは魔物討伐にも慣れたようで、すっかり元気。


 第一部隊の皆ともあっという間に仲良くなった。


 元々、仲間思考が強い集団なので、頑張ってるアオイが受け入れられるのは当然だと思う。


 また一つ、アオイの居場所が出来て、とても嬉しそうに笑っている。


 そんなアオイを見て、私も嬉しくなる。


「アオイ様、可愛いよなあ」

「でも聖女様だもんなあ、手が届かない存在だよ」


 第一部隊の中にはそんなことを言う人もいて。


 アオイはモテている。でも聖女様ということもあり、陰での人気なので、本人は気付いていない。


「おい、お前ら」

「た、隊長!」

「お、お疲れ様です〜!」


 今日もアオイに熱い視線を向けながら陰で話していた隊員に、マシューが声をかけると、彼らはピューっと逃げて行ってしまった。


「ったく……、あいつらまで色恋かよ……」

「仕事はちゃんとしてるんだから良いじゃない」


 呆れた顔で隊員を見送るマシュー。


 アオイはそんなやり取りには気付かず、カーティスと楽しそうに話している。


「聖女はこの国の要。命を賭して守る相手に浮ついた感情なんて……」


 始まった。マシューの持論。


「私はアシュリー様のためなら力を発揮出来るけどなあ」

「お前のは別」


 マシューに異を唱えるも、バッサリと切られてしまう。


「ステラー! 先に戻ってるねー!」


 マシューと話しているうちに、カーティスと話し終えたアオイがこちらに手を振っていた。


 こちらも手を振り返して見送ると、話していたカーティスがこちらにやって来る。


「カーティス、楽しそうに話してたね」


 戻ってきたカーティスに何気なくそう言えば、彼から驚きの言葉が出た。


「アオイ様、可愛いじゃん。俺、本気で口説こうかな」

「「は????」」


 私とマシューの声が重なる。


 ん?何でマシューも焦ってるんだろ?


「良いですよね? 隊長?」


 マシューに挑むように視線をやるカーティス。


「な、何で俺に聞くんだ! 隊員の恋愛について口出しはしない!」

「アオイ様にはしていたようなので」


 慌てて答えるマシューに、カーティスが畳み掛けるように言うと、マシューは黙ってしまった。


「す、好きにしろ!!」


 マシューはそう言うと、騎士団の屯所に戻ってしまった。


「あーあ、素直じゃないないねえ」

「どうゆうこと?」


 マシューが去った後、カーティスが意味ありげに話すので、私は首を傾げる。


「気付いてない? 隊長、アオイ様を確実に意識してるよ」

「ええええええええ????」


 カーティスの言葉に、つい大声を出してしまった。


 え、嘘でしょ?そんな素振りあった?


 二人はいつも言い合いばかりで……。


「ステラは鈍いなあ」

「カーティスはマシューといつも一緒だから気付けるんでしょ!!」

「………アシュリー殿下も苦労するねえ」

「ア、アシュリー様は今は関係なくない?!」


 鈍い、と言われて釈然出来ず反論するも、カーティスには残念そうな顔で溜息を吐かれてしまった。


 に、鈍くないもん!!マシューがわかりにくいだけだもん!


「それでマシューを煽ったわけ?」

「そ。アオイ様も隊長のこと気にしてるみたいだし?」

「えっ?!」

「隊長のことチラチラ見てるだろ」


 言われてみれば、最近のアオイはおかしい。


 口癖になっていた、良い人紹介しろ、を言わなくなったし、ぼんやりすることが増えていた。


「ま、まさかの二人が………!」

「ステラもあの二人がくっつけば良いと思ってただろ?」

「う、バレてた?」


 流石、カーティス。第一部隊のことをよく見ている。私の考えもお見通しだったわけで。


「俺だって、隊長には大切な人がいる幸せを味わって欲しいわけさ」

「え、カーティス……まさか?」

「もちろん、俺には可愛い彼女いるからな!」

「彼女いるのにアオイのこと狙うって言って大丈夫なの……」


 突然のカーティスの暴露に驚きつつも、隊長のためとは言え、噂が広まれば彼女の耳にも届くというのに。


「彼女は心の広い持ち主だから大丈夫。それに、ちゃんと説明もしてるし」


 私の心配を他所に、カーティスがしれっと答える。


「だから、ステラ、お前も協力しろよ」

「それは良いけど……そっとしておいた方が良くない?」

「そんなことしてたら、あの二人、ずっと平行線だぞ?」

「確かに……」


 カーティスの言い分に納得しつつも、不安しかない。


 でも、本当にアオイが幸せになれるのなら、協力はしたい。


「あ、ステラ、この件、アシュリー殿下には言うなよ?」

「え、何で……」

「俺が殿下に殺されるから」


 しれっと物騒な事を言うカーティスに、何で?ってなった。

すみません!!次回更新は8/9です。一日空きますm(_ _)m

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