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第十五話:魔導騎士団最強の1年生

 15歳の春。今年度から高校新1年生となった私、戸亜(とあ)愛花(まなか)は恋をしました。


入学2日目、クラスの自己紹介の時間。


教壇に立っての自己紹介。


私の番になり、緊張したが何とか当たり障りのない自己紹介を終えた。


席に着き、私の1つ後ろの席の男子の番となる。


彼は席を立ち教壇へ向かった。


クラスの人間の大半が、教壇に目を向け彼の姿を見る。


ブリーチしたであろう明るい髪、テレビに出ているようなアイドルさながらの目鼻立ち、白い肌。


少し背丈が低くて小柄だが、逆に小動物のような可愛さを感じさせる。


「東中から来ました。時透昴(ときとうすばる)です。趣味はサッカーです」


ぶっきら棒にそれだけ答え、すぐ自分の席に戻っていった彼。


私はこの瞬間、彼に一目惚れしました。







 ゴールデンウィーク明け2日目。


入学当初のような緊張感もなくなり、学校のルールにも慣れてきた頃。


クラスの人間も打ち解け始め、それぞれグループに固まり始める。


私にも少ないながらも友人が出来た。


だけど時透君とは未だに仲良くなれていない。


連絡先すら交換していない。SNSのグループには一応入っているから、そこから勝手に追加していいものか常に悩んでいる。


そしてゴールデンウィーク明け初日、1ヶ月経ったことによる席替えで、遂には時透君の前の席という立ち位置を手放さなくてはいけなくなってしまった。


「ねぇ、スバル〜」 


奥から金山さんの甘い声が聞こえてくる。


教室の奥の方でクラス内でも華やかな女子数人と運動部の男子数人が(たむろ)している。


その中に時透君も混ざって談笑していた。


その光景を前の席から横目で見ている私。


教室の奥で繰り広げられる所謂「陽キャ」と呼ばれる人種の戯れは、二次元のアイドルが大好きな私にとって縁遠い世界です。


「マナカー!!昨日のアイハチみたー??」


私の席に駆け寄り、大きな声でアニメの話を振ってくる彼女は加藤さん。


私と同じ美術部で、趣味も同じという事ですぐに仲良くなった。


「ねぇマナカ聞いてる?」


考え事をしていた私の顔を加藤さんは、その一回り大きな背で見下ろし覗きこんでいた。


「あ、うん。録画したやつ朝一で見たよ」


「マジぃ!!いや今週の練磨君回めっちゃ良かったよねえ!!ライブシーンもヤバかったし、練磨と勝が抱き合った場面とか…」


そう1人で熱心に語る加藤さんに対し、私は適当に相槌を打っていた。


普段ならばここまで興奮しないものの私も食いつくように話に乗るが、今日はなぜかそういった気分ではなかった。


加藤さんの話を聞きながら、教室後ろで集まっている面々の会話に横耳を立てる。


「スバルさぁ〜今日帰りロロポ寄ろうよ〜」


「は?いや俺今日バイトだから。それよりタケル!!昼休み体育館ぜってえ借りろよな。今日こそは1年が体育館使おうぜ!」


「いや、俺に頼まねえで自分で鍵借りに行けよ」


「こんなかじゃお前が1番早いんだし、ダッシュで借りて来てくれよぉ!」


金山さんの誘いを素っ気なく遇らい、陸上部の高沢君と昼休みの予定について盛り上がる時遠君。


話の輪に入らなくなった金山さんは、渋々女子のグループの輪へ戻っていく。


金山さんが時遠君にモーションを掛けてきている事は誰の目から見ても明らかだ。


当の時透君本人は、そのアプローチを毎度一蹴しているが、陽キャ特有の過度なスキンシップによりベタベタとくっ付いてくる金山さん。


一見すれば2人は付き合っているようにも見えるだろう。


私はそれを若干の嫉妬を含みながらも、それでも時透君に全く相手にされていない彼女を滑稽だと思いながら見ていた。


我ながら意地の悪い性格である。


だが時透君にとっての私の認知度は、心の中で馬鹿にしている金山さん以下だろう。


私と時透君の会話らしい会話は…


あれは自己紹介の時間が終わった直後の休み時間。


「ね、ねえ…時透君って東中出身なんだよね?高橋って子知ってるかな。私あの子と小学校の時…」


「知らない」


「あ…そうだよね…」


勇気を振り絞って話しかけるも一言で会話終了。


彼からしたら私なんて地味なクラスメイトの中の1人程度にしか認識されていないだろう。


今までは1つ前の席という接点があったが、それも昨日の席替えで消え失せてしまった。


次の席替えで時透君の隣にならない限り、私が時透君に話しかける事ができる機会は殆どない。


まず何を話せばいいかも思いつかないけど…


だけど一度だけ彼から話しかけてくれた時がある。


あれは何度目かの美術の時間。その日は幾つかの図形を写実的に描く授業だった。


美術の授業の席順は、四つの長方形の大きなテーブルの中を出席番号順で座るため、本来なら私の1つ下の席の時透君がこの時間だけは隣同士になれるのである。


隣になれて舞い上がりながらも、だからといって特に何か起きるはずもなく、私はただ絵を描く事に没頭していた。


「え!?めっちゃうまいじゃん!!」


いきなり気になる彼の声が聞こえたので、声のする方向へ振り向く。


すると私の描いていた画用紙を覗く時透君。


こ、これは…私の絵を褒めて貰えているのだろうか?


「あ…あ、ありがと…」


突然の事で動揺し、小さな声でそう返す事しかできなかった。


「えー!!私も上手いよ〜見て見てぇ!!」


「いや、下手くそだなぁ!俺の方がまだ上手いわ!!」


そこから会話が続くと期待したが、反対側の席に座る金山さんが時透君に話しかけてきた事によって、私の存在は忘れさられてしまった。


だけど時透君に自分の絵の上手さを褒めて貰えた…それだけでその時の私は満足だった。


…って、こんな些細な事思い出して一喜一憂したからといって、別に彼が私の事を好きになってくれるわけでも、彼から話かけてくれるわけでもないのに…


こんな事いつまでもうじうじ考えてないで、即行動に移せれば良かったんだけど…


その日はずっとそんな事を考えて自己嫌悪に陥っていた。






 放課後。私は早々に美術室に向かった。


美術部は締め切りまでに作品を出しさえすれば、基本的にどこで絵を描いていても良いことになっている。


なので大半の部員は毎日部室に通う事はない。


勿論私も毎日部室へは行っていない。ただ今手掛けている作品が塗りの段階に入り、家の自室で行って汚れたりするのも嫌なので部室で作業をする事にした。


顧問の先生にも進捗を見て貰いたかったし。


美術室の扉を開けると、部屋には珍しく誰もいなかった。


自分のクラスのホームルームが終わり、大抵は10分ぐらい友達と話してから部室へ向かう。


なので普段なら1人や2人先に来ている部員がいたりするのだが、今日は私が1番乗りだった。


特に何も思わず作業に取り掛かる準備に入った。


そうしていると背後から扉を開ける音。誰か来たと思い振り向くと、用務員のおじいさんが入ってきていた。


「こんにちは」


優しさが籠った声で挨拶をしてくる。私は会釈で返した。


65を過ぎているであろう白髪の用務員さんは、そのまま部室の奥の備品管理室に入っていった。


画材の整理等々をしに、普段から普通に部室へ入ってくるで特に何も思わなかった。


数分して奥の部屋から出てきた用務員さん。


仕事を終え美術室から出ようとしていた時、扉の前で用務員さんは立ち止まる。


何かと思い、彼の方を見る。


「君、時透昴君って生徒を知っているかな?」


用務員さんは後ろを向いたままそんな事を聞いてきた。


いきなりの質問でびっくりするが、それよりも彼の口から私の意中の人の名前が出てくるとは思いもよらなかった。


「え、あ、はい。クラスメイトなので…一応知ってます」


物凄く動揺していたが、平然を装いながら答える。


「君は、彼の事が好きなのかい?」


「は、はいぃ!?」


用務員さんからの唐突な質問に素っ頓狂な声を上げてしまう。


さっきから自分の心を読まれているようで激しく動揺しているが冷静になって考える。


え…なんでこの人がそんな事聞いてくるの?


私と用務員のおじいさんは、互いに顔ぐらい知っているとはいえこんな事を気軽に話す中ではない。


おじいさん自身も普段から用もなく生徒に話しかけるような人でもない。


それなのに、いきなりクラスメイトの時透君の事を聞いたと思えば今度は私が彼を好きかって…


明らかな用務員さんの異質さに、私は気持ち悪さを感じる。


この人って…もしかしてやばい人なんじゃ…


私は先程の質問をどう答えようか悩んでいると、用務員さんは答えを待たずに口を開く。


「まあ、どちらでも良い。何にせよあなたの気持ちを利用させてもらうまでです」


「え、それって、どうい………」


用務員さんが意味のわからない事を言い、どういう意味だと思った矢先、私は急激な眠気に襲われた。


用務員さんが美術室の扉を開け部屋から出て行く。


私はその場に倒れ、意識を失った。






 海星高校1年4組の教室。帰りのホームルームが終わり、30分近く経った教室内には1人を残し誰も残っていなかった。


この時間でも教室内に残って遊んでいる生徒が何人かいる時もあるが、今日はその1人のみである。


彼は自分の席であぐらをかきながらスマホを弄っていた。


オレンジ色の髪をいじりながら、彼は予定の時間が来るまで教室で暇を潰す。


「時透君」


自分の名前を呼ぶ女子の声が聞こえ、声の方向へ顔を向ける。


教室の扉の前に1人の少女が立っていた。


赤いフレームの丸眼鏡。黒い髪を左右二つに結んだ彼のクラスメイト。戸亜愛花だ。


「何?」


彼、時透昴は彼女に用件を聞こうとする。


時透の普段の戸亜に対する印象とは打って変わり、満面の笑みを浮かべながら彼女は答える。


「大事な話があるの。…今、いいかな?」


甘ったるい声を出しながら上目遣いでこちらをみてくる戸亜。


「…長くなければ」


そう言って時透は、ため息をついた後席を立ち彼女の方へ近づく。


時透は今までにも数度、似たようなシチュエーションに出くわしている。


今回もその類だろう。そう思っていた。


時透は戸亜の対面に立つ。


「……実は、私」


互いに数秒見つめあった後、ぽつりと戸亜の口が開く。


「初めて見た時から時透君のこと…」


放課後の学校。夕日に照らされながら、2人以外誰もいない教室で大事な話があると相手から切り出されるこの展開。


中学時代同様な場に呼び出され告白を受けた事がある時透。今回もそれだと思った。


その場合の時透の答えは決まっていた。彼は事情の為誰とも恋人関係になる事はないだろう。


だが、その時は少し違った。


突然、時透は話し終える前の戸亜を抱き寄せる。


そのまま何かを躱すように彼女を抱えて後方へ飛び去った。


教室の窓側へ移る2人。突然の状況に時透に抱き寄せられている状態の戸亜だが、その顔は驚きではなく笑みを浮かべていた。


時透はある一点を注視する。


教室の扉側。見ても奥には廊下の風景が広がるだけである。


その場を一点に見つめる。


「すごいじゃないか。よく私の攻撃に気付いたね」


何もない筈の場所から老人の声が聞こえる。


「…誰だ?」


時透の問いと共にそいつは姿を現した。


本来、唯の教室内の一区画だった場所に、人の輪郭が表れる。


その輪郭に色がつき始め、質感が出始め、やがて1人の人間が姿が見え始めた。


用務員服を着た白髪の老人。細い目に柔和な笑みを浮かべながら低い姿勢を取り左手には白銀の装飾剣が握られていた。


「……誰だお前」


時透は再度低い声で老人に正体を尋ねる。


だが老人は何も答えず、笑みを浮かべるばかりだった。


「…いや、風景への擬態化…その力はまさか」


時透がそんな事を呟いた瞬間、突然抱き寄せていた戸亜に物凄い力で突き飛ばされる。


「…!?」


時透は体制を崩し、床へ倒れ込みそうになる。


戸亜が突き飛ばすのと同時に、老人が物凄い速さで時透の方へ迫る。


老人は左手に持った剣を振り上げ、彼に斬りかかろうとする。


時透は咄嗟に自身の首に掛けているネックレスを取り出し握る。


「…ッ!!【次元解放(ゲートオープン)】!!」


時透にとって唐突の絶体絶命な状況。彼がその一言を叫ぶと、彼の手元の空間が歪む。


そして、まるでその一点が裂けたかのように空間に穴が開く。


何色とも表現のしょうがない穴の内部から、剣の持ち手らしき物が現れる。


時遠は瞬時にその物体を引き抜く。


引き抜いたそれは、歪な形状をした黒剣であった。


時透はなんとか体制を立て直し、老人が振り下ろす剣を自身の持つ剣で受け止める。


「グッ…!!」


床にへたり込んだ状態で剣を受け止めた為本来の力が入らず、剣同士の押し合いに負けそうになる。


だが、相手が片手での力に対して時透は両手を使い剣を押し返して行く。


「…!!!!」


老人の剣を弾くと、時透は体制を立て直すために立ち上がり教室の中央へ足早に移動する。その際、時透は戸亜の手を引こうとしたが、戸亜はその手を弾き老人の方へ向かっていった。


時透は教室の中央で黒剣を構える。


高校の教室内で少年と老人が剣を構えて睨み合う。


老人の隣には笑みを浮かべながらもその目には正気が感じられるない少女が立つ。


「風景の擬態による奇襲…あんたジルベルトか?」


時遠は老人にそう問い掛けると老人は笑みを浮かべ


「その通りだとも。覚えてくれていて嬉しいよスバル」


そう返答する老人の声は、先程とは別の人間の声に変わっていた。


それと同時に老人の姿が歪む。まるで霧のようにその姿が霧散して行くと、また別の人間の姿が現れ始めた。


屈強な体格を紫の鎧に包み、無精髭を蓄えた茶髪の男の姿がそこにはあった。


「変装の魔鎧『百面鎧』。帝国を追放された時に手放したって聞いたが…」


「この鎧と幻惑魔法さえあれば、鎧を返上した様に見せるなんて造作もない」


男はニタニタと笑い、目が遠くを向いている戸亜を自身の右腕に抱き寄せた。


抱き寄せた少女の首筋に左手に持つ剣の刃を当てる。戸亜はそんな状況にありながらもただ虚な目で笑みを浮かべているのみだった。


その姿はまるで幻覚でも見ているかのようである。


「人質か…落ちたな、アンタも」


そう煽る時遠に男は笑いながら


「『陛下を守る為なら使えるものはなんでも使う』。現魔導騎士団長様の有難い御言葉を忘れたのかい?スバル」


そう言って時透を煽り返す男。


「ジルベルト…まさかアンタも異世界(こっち)に来ているなんてな。目的はなんだ?」


それを聞きジルベルトと呼ばれる男はククッといった笑みを溢しながら


「そんな事決まっているだろう?現魔導騎士団(おまえたち)への復讐だよ。忘れたとは言わせないぞ。3年前、この腕を切り落としたお前に」


常に笑みを浮かべているジルベルトだが、その言葉には深い憎悪が込められていた。


ジルベルトは剣を持つ左腕を大袈裟に動かす。腕がユラユラ動く度に金属同士がかち合う音が教室内に響く。


「義手か…」


時透がぽつりと呟く。


「ああ。君の持つその剣、『時断剣』で切られた日の事、今でも覚えているとも」


ジルベルトは時透が持つ黒剣を、自身の持つ剣で指しながら言う。


「当時、皇帝直属魔導騎士団の団長だった私を、陛下の目の前で逆賊の汚名を着せ城から追放したお前達現魔導騎士団に、ようやく復讐の機会が舞い降りたよ」


その発言を聞き、時透は鼻で笑う。


「アンタが追放されたのは、帝国の軍事機密を他国に流してたからだろ。それを俺達が嵌めたと思っているならお門違いだぜ」


「…!!お前のようなガキには分からんかもしれないが、帝国は圧倒的な軍事力と国土を持つが、その反面他国からの反感も高い。私という存在がいなければ帝国は今頃四面楚歌へと陥っていたのだぞ!!」


時透の言葉にジルベルトの顔からは笑みが消え、激昂する。


「そうだとしても決めるのは陛下だ。アンタが勝手に機密を漏洩した事は立派な国家反逆罪だ」


「…ッ!!」


それを聞きさらに怒りの表情を露わにするジルベルトだが、数秒の沈黙の後、落ち着きを取り戻したのか元の軽薄な笑みが顔に戻ってくる。


ジルベルトは、再度戸亜の首筋に剣の刃を当てジリジリと時遠の元へ近づいて行く。


「そんな奴人質にしたところで、俺が動かないと思ったか?」


時透は剣を構える。戸亜と同時にジルベルトをも切り裂かん勢いの殺気を放つ。


「思うとも。お前の甘い性格はよーく知っている。一般市民は殺せまい」


無論、ジルベルトも本気で時透が動けないなどと思っていない。


まず彼女、戸亜愛花を利用したのは時遠への最初の急襲を仕掛ける際のカモフラージュの為である。


彼を油断させる為なら誰でも良かったが、ジルベルトの幻惑魔法は精度が高くない。


他者を操ろうと考えた時、相手が今何をしたいかという気持ちを増幅させ行わせる事が最も彼の幻惑魔法が作用しやすい。


そのため時透に恋慕する戸亜という存在は、ジルベルトにとって格好の獲物であった。


本来、初撃が躱されてしまった時点で彼女は既に用済みとなる。


だが今彼女を人質に取っているのには理由があった。


第一に、人質の効果が正常に機能し相手が手を出してこなければ理想的。


第二に、彼女を人質にとる事で時透にジルベルトには後がないと思い込ませる。


彼の魔導騎士団復讐への執念は凄まじい物である。特に自身の片腕を切り落とした時透昴に対しての憎悪は計り知れない。


彼らを殺すため、自身の肉体に超級の火属性魔法陣を刻み込んだ。これが発動すれば、人どころか街一個を火の海にするぐらいの威力が込められている。


これは通常魔力通しただけでは発動せず、肉体が瀕死に陥った時のみ発動する仕様となっている。


それだけの大規模な魔法陣が描かれていながらその魔力に時遠が気付くことはない。


それは単に時遠の魔力感知の力が低い訳ではなく、ジルベルトの『百面鎧』の力である。


どんな姿、どんな風景にも擬態が可能なこの魔鎧は、その魔力ですら隠す事ができる。


この学校に潜んでいながら時透が彼に気づく事が出来なかったのは『百面鎧』の力のお陰である。


そして今、彼は用務員の変装から本来の姿を表し、時透に完全に姿を表したと思い込ませた。時透はまだ鎧によりジルベルトが魔法陣を隠している事に気付く事はない。


仮に少女諸共ジルベルトを時透が切り裂いた場合、彼の魔法陣が発動し、爆炎に時透は巻き込まれ無事では済まない。


二重にも三重にも対策された殺人計画であった。


「俺はもうアンタが知っている時のガキじゃないんだよッ!!」


初めに動いたのは時透だった。


片手で剣を構え、ジルベルト目掛けて斬りかかる。


ジルベルトの胴体を真っ二つにするかの如く縦に黒剣を振り翳す時透。当然ジルベルトは防御する為に左手に持つ装飾剣でその一撃を受け止めた。


だがそれだけではない。


『時断剣』、真の名を神剣クロノス。創生神が鋳造した剣という伝説が残るかの剣は、時透の故郷である小さな村にある洞窟の奥底に突き刺さっていた。


かつて数多の強者達がその剣を引き抜こうとしたが、誰一人として抜く事は叶わなかった。


だが近年、その剣を引き抜いた者がいた。


それが時透昴、否、皇帝陛下直属魔導騎士団が1人スバルである。


彼は極々平凡な平民の両親の下に生まれ、貧しいながらも普通の生活を送っていた。


しかし平民出身ながらも、彼には他とは違う才能があった。


体内に宿す莫大な魔力総量である。


そしてそれに見合うかの如く、彼は『時断剣』に適合し、洞窟に眠る剣を引き抜いた。


『時断剣』は、空間を切り裂く能力を持つ。


『時断剣』によって切られた空間には、次元の裂け目が発生する。


次元の裂け目の内部には、広大な無重力空間が広がっており、『時断剣』以外の脱出する方法はない。一度入ると死ぬまでその空間内を彷徨う事となる。


裂け目が発生するとその空間上にいた物体の動きは固定される。


使用者は、裂け目を閉じるかそのまま裂け目を切り裂くか選択する事ができる。


裂け目を閉じれば空間は元通りに戻るが、裂け目を切った場合その空間内に存在した全ての物体が真っ二つに斬られる事となる。


例えどんなに頑丈な物体であろうとも、空間を切るという行為の前では全ては紙切れ同然となる。


『時断剣』の剣撃に距離など存在しない。ただ使用者の視界に入る物ならば確実に切り裂く事ができる。


一撃必殺。斬れぬ物など存在しない。正に最強の神剣である。


「…ッ!?」


だが時遠は動揺が走る。


『時断剣』の力を使用した斬撃を放ったはずが、ジルベルトが立つ空間に次元の裂け目が発生しない。


時遠の困惑の表情を見てジルベルトは高揚の笑みを浮かべる。


時透は咄嗟に教室の後方へと下がった。


時透が飛び去った事により教室内に綺麗に配置されている机の位置がガタガタと音を立てながらズレていく。


時透は確かに『時断剣』で空間を切り裂いた。だが、裂け目は発生しなかった。時遠自身に不備は無い。『時断剣』が機械の故障のように動作不良を起こす事もあり得ない。


ならば理由は相手側にあると考える。


時透はジルベルトの方を睨みつける。


その視線を受け、ジルベルトは勝ち誇ったこのように高笑いを上げる。


「ハーハッハッハッハッハッ!!!!自慢の『時断剣』の力が発動しなくて困惑しているようだなスバル!!」


「…アンタ何をした?」


「戦いの場で自分の手の内を教える馬鹿などいない。と、言いたいところだが私は今気分が良い。特別に教えてあげよう」


ジルベルトはそう言って左手に持つ白銀の装飾剣を時透の方へと突き出す。


「私は考えた。貴様ら現魔導騎士団にどう復讐してやろうかと。だが私の実力では魔導騎士全員を相手にしても勝ち目はない。特に『時断剣』のスバル、『聖剣創造(ソードメイカー)』のシオン、この2人に勝つのは複数による襲撃でも至難の業だ」


「だが、逆にこの2人を倒せさいすれば、残りは私と同等かそれ以下。団長であるベルハルクなど、魔法も使えんただのお飾りでしかないからな」


ジルベルトは敢えて時透を怒らせるため、彼らが尊敬する現魔導騎士団長を侮辱する。


「お前…団長の本当の強さも知らない癖に…」


ジルベルトの予想通り、時透の表情に怒りが表れる。


「そして、お前ら2人を殺す為に入手した神具がこれだ」


そう言って突き出した装飾剣を振ってみせる。


「『魔剣ソードブレイカー』。どんな素材の剣だろうとこの魔剣に触れればたちまちに破壊する。流石に『神剣』を破壊するには至らなかったが、触れ合った際に能力を無効化できるならば上々だ!!」


ジルベルトは嬉々として自分の手の内を明かしていく。それは勝利を確信した事による慢心から来るものだった。


ジルベルトにとって、スバル自体はそこまで警戒していなかった。彼の強さの大半は『時断剣』から来るものであり、莫大な魔力を持つが魔力操作が出来ず、魔法もろくに使えない少年なぞ、剣を封じてしまえばどうとでもなると考えていた。


だがそんなジルベルトの考えとは裏腹に、時遠はソードブレイカーの能力を聞いても表情を変えなかった。


ただその瞳には未だ闘志が宿っている。


……なんだ奴のあの表情は?まだ手を隠し持っているとでも言うのか?


ジルベルトも時透の戦意が失われていない事に気づき、すぐさま装飾剣の刃を戸亜の首筋に当て刎ねようとする。


「スバル、確かにもう私の知る君ではないようだな!!ならば!!お望み通りこの子を殺してあげよう!!」


例え人質を無視して相手に攻撃できるような非道さは身に付けていても、いざ目の前で殺されれば時透も幾らか動揺を見せるだろう。


人質の少女を無視できたのも『時断剣』により一撃で終わらせる自信があったからこそ。


この戸亜という少女が、時透と顔見知り程度の関係だったとしても、周囲の人間を殺されれば多少は時透の歪んだ表情を見る事ができるだろう。


そんな安易な考えだった。


少女の首筋に刃が当たり、強く押し付けられようとしたその時、


「【開放(オープン)】」


時透はその一言と共に、教室内から姿を消した。


「!!!!」


突然の事で激しく動揺するジルベルト。


彼の目でも追う事ができなかった。


瞬きなどしていた訳ではない。時透を両の目で捉えていながらも、1秒先にはその場から姿が消えていた。


どこだ!?どこへ行った!!!!


ジルベルトはすぐ様周囲を見渡す。辺りは無人の教室の風景が広がるばかり。


「【開放(オープン)】【裁断(カット)】」


ジルベルトの背後から時遠の声が聞こえた。


「きさ…!!」


咄嗟にジルベルトが後ろを振り向こうとした時、違和感に気付く。


何か先程まであったものが、いきなり紛失したような感覚に襲われる。


何故そんな感覚に陥ったのかジルベルトは一瞬考える。


ない…先程まで右側に抱き抱えていた少女の感触が…


そう思い右手方向を見る。


「…………ツッ!!!!」


少女が腕の中から居なくなっていた。


それだけではない。


自身の右腕が無くなっていた。


身に付けていた鎧ごと綺麗に切断された右腕の切断面からポタッと血の雫が地面に滴る。


「ッ!!!!」


それと同時に右腕から激しい痛みに襲われる。


咄嗟に腕を押さえようとするが、左手はソードブレイカーによって塞がっている。


それに今は時透との戦闘中。すぐ様ジルベルトは後ろを振り向く。


誰もいない。


奴はどこへ行った?


ジルベルトは教室一帯を見渡す。


すると、教室の黒板側、教卓の辺りに少女を抱えた時透の姿が現れた。


その瞬間ジルベルトの目に写った光景は、まるで瞬間移動でもするように、何もない空間からその場に時遠達が現れたようだった。


時遠は、虚な目をしている戸亜の身体を床へ寝かせる。戸亜の顔には笑みを浮かべているもののもう先程のように動いてくる気配はなかった。


「スバルウウウウウウ!!!!」


2度も同じ相手に腕を切り落とされ激昂し時透の方へ急接近するジルベルト。


机と椅子を押し退けて、真っ直ぐ時遠の元へ剣を振り回し向かっていく。


「【開放(オープン)】」


その言葉と共に、又もやその場から姿を消す時透。


ジルベルトは立ち止まり、周囲を見渡す。


「グッ!!!!」


頭部に強い衝撃が走る。


目で顔の横を見ると、上履きを履いた足が自分の顔面にめり込んでいた。


ジルベルトが時透に蹴られたと理解するまで2秒ほど時間が掛かった。


すぐに後ろを振り向く。誰もいない。


周囲を見渡す。時透の姿はない。


……一体何が起きているんだ…


ジルベルトの心の奥底に恐怖の2文字が徐々に這い上がって来ていた。


「【開放(オープン)】【裁断(カット)】」


ジルベルトの左隣で時透の声がする。


すぐにそちらへ振り向こうとするが、ガランと金属が地面に落ちる音がした。


音のした地面を見る。先程まで自身が身に付けていた筈の義手が、地面に転がっていた。


正面から音がした。ジルベルトはそちらに目を向ける。


ジルベルトの正面には時透が立っていた。


だがさっきと違った点がある。時透の片手には先程まで持っていなかった『時断剣』とは別の剣が握られていた。


そう、先程までジルベルトが持っていた筈のソードブレイカーを時遠が持っていた。


ジルベルトと目が合う時透。


時透は笑いながらソードブレイカーを見せびらかす。


嘲笑されていると理解したジルベルトは、左腕を時遠に向ける。


義手により見えなかったが、ジルベルトの左腕の切断面には紫色の水晶がはめ込まれており、水晶の中には魔法陣らしき模様が描かれていた。


「【地獄炎(ヘルフレイム)】!!!!」


ジルベルトの左腕から、灼熱の炎が噴き出してくる。


火属性超級魔法【地獄炎(ヘルフレイム)】。


十二階位セルジオがアゼル•バイジャンとの戦いでも使っていたこの魔法は、発動すれば半永久的に炎が放出されていき、辺り一体を焦土と化すレベルの威力を持っていった。


当然学校内で発動すれば大惨事となる。1番近くにいる時透も戸亜も無事では済まない。


だが迫り来る炎に時遠の表情は冷静であった。


彼は『時断剣』を横に振り、空を切る。


「【開放(オープン)】【次元拡張(エクステンション)】」


その声により、次元の裂け目が現れる。


裂け目は大きく穴を広げ、まるで吸い込まれるように迫り来る炎を裂け目が呑み込んでいく。


「なん…だと…?」


その光景にジルベルトは驚愕する。


先程の瞬間移動の様な芸当は勿論、今行われている裂け目の穴を拡張するといった技、彼が知る3年前のスバルにはなかった力だ。


無限に放出されると思われた【地獄炎(ヘルフレイム)】の炎は、瞬く間に次元の裂け目に呑み込まれていく。


ジルベルトの左腕から噴き出した炎は全て次元の裂け目の内部へと呑み込まれていった。


多少教室内の机や椅子が焼けてしまったが、ほぼ被害を出さずに火属性超級魔法を完封した。


「………」


ジルベルトは唖然とする。ことごとく自身の攻撃が破られていく。


「【開放(オープン)】」


またもや姿が消える時透。


次の瞬間、ジルベルトは横腹に激しい痛みを感じた。


「グアッ!!!!」


鎧越しから『時断剣』によって肉体が斬られている。


剣で切り裂く時透の姿を目の端で確認するも

、すぐ様時透の姿は消える。


…まるで、空間転移!!!!


あり得ない。数百人規模の超級魔導師が大規模な儀式によってやっと成しえる大魔法が、短距離間の移動とはいえこんなガキに易々とできる芸当ではない!!


そうジルベルトは思っていた。


確かに時透が行なっているそれは、正規の空間転移ではなかった。


時透は、ただ次元の裂け目の内部に潜っているだけである。


次元の裂け目に一度入れば、無重力空間を永遠と彷徨う事となる。


『時断剣』の持ち主を除いて。


『時断剣』は空間を切り裂く神剣。裂け目内でその剣を振れば、現実世界への出口を作り出す事が出来る。


だが、次元の裂け目はどの空間にも繋がっている。仮に裂け目内に出口を作り出したとしてもその場所が自身が元いた場所に繋がっている訳ではない。最悪海底の中に繋がる場合もある。


時透は、自身がよく訪れる場所に自身の魔力を込めた魔法陣を設置し、裂け目内であっても自身の魔力の発する場所を感知する事で擬似的な空間転移を可能とした。


魔法陣と言ってもただ時透の魔力が込められただけの代物。それ以外に特に効果もない為、例え魔力感知が高い魔導師であってもその存在に気付くことはない。


それは元魔導騎士団長ジルベルトであっても例外ではない。


彼の誤算は、時透の日常生活空間であるこの海星高校で奇襲を仕掛けた事である。


海星高校内には、時透の魔力が込められた魔法陣が至る所に設置されている。そして彼が普段生活する1年4組の教室には、ほぼ全方位に魔法陣が存在する。


1年4組という教室の空間でのみ、時透は無詠唱による完全な空間転移が可能となる。


時透は次々と空間転移を行い、ジルベルトを翻弄する。


ジルベルトは時透の姿を必死で目で追うも気付いた時には


「グアッ!!!!」


自身の身体が切り裂かれていた。


それを2、3度繰り返す。


ジルベルトの身体の至る所が切り裂かれていく。


彼の心には既に復讐の事など頭から離れ、ただ恐怖のみが支配していた。


「ア…………ア………ウワアアアアアアアアアア!!!!!!!!」


ジルベルトは悲鳴を上げながらその場から逃げようとする。


その際、『百面鎧』の力で風景と擬態化し完全に消えた事で教室内は戸亜のみとなる。


「無駄だ」


時透が姿を現す。彼は何もない空間に黒剣を突き刺していた。


黒剣の先から血が滴り落ちる。


「ガハッ!!!!」


誰かが口から血を吐き出すと音と同時に、ジルベルトの姿が現れた。


黒剣により、ジルベルトの胴体は鎧ごと貫通していた。致命傷である。


ジルベルトの目から生気が抜けていく。


彼は低い声で笑う。


「…ハ、ハハハハハハハハ…」


それを無言で見つめる時透。


しかし次の瞬間、ジルベルトの身体が光を放つ。


彼の肉体から魔法陣を描く様に光の線が描かれていく。


「死ね…ガキが…」


ジルベルトは最後にそう言い残し、死に絶える。


それと同時に、肉体に刻み込んだ死に瀕すると起動する火属性超級魔法が発動する。


火属性超級魔法【歪爆(ディストーション)(フレア)】。


街一個を爆破し、消滅させるほどの威力を誇る火属性超級魔法で最大威力を持つこの魔法は、例え先程のように『時断剣』で切った空間の裂け目に爆発を呑み込ませたとしても防ぎ切りようがなかった。


時透はこれから何が起ころうとしているか理解はできていなかった。


だが時透の直感が「これはヤバい」と告げていた。


「…ッ!!【開放(オープン)】!!」


魔法発動2秒前。時透は次元の裂け目を開き、ジルベルトの遺体を持って裂け目内部に入る。


山梨県が奥地。「赤木ヶ原樹海」と呼ばれる樹海の奥。周囲に人が誰も入れないような区域に、空間に裂け目のような切り込みが入る。


切り込みが開き、ジルベルトを抱えた時透が次元の裂け目から現れる。


時透は、ジルベルトの遺体をその場へ捨て


「…じゃあな」


再度次元の裂け目の内部へと潜り、その場を後にした。


次の日、赤木ヶ原樹海で発生した原因不明の爆発は、ニュース番組で一面トップニュースを飾った。







 何か物凄い恥ずかしい夢を見ていた気がする。


私が美術室で時透君に告白する夢。


その時の私は妙に自信に満ち溢れていて、行動すれば何でも叶うと思っていた。


夢の中で時遠君がなんて答えたのか、わからない。記憶が曖昧だ。


夢なんだから時透君が快諾してくれるハッピーエンドを見せてくれても良いものだ。


それよりも私…いつ寝ていたんだろう…


意識が急激に覚醒し出していく。


バッと顔を上げる。


え?私、寝てた?今何時?


慌てて辺りを見渡す。


見ると場所は1年4組の教室だった。私は自分の席で自身のリュックを枕にしながら寝ていた。


あれ?確か、部活で美術室に行ってたはずだけど…


記憶が酷く曖昧だ。ホームルームが終わってから、自分が何をしたのか思い出せない。


教室の備え付けの時計を見ると、ホームルームが終わってから30分ほど経っていた。


そんなに寝ていたのか私。


それにしてもなんだか教室が焦げ臭いような気がする。なんだろう…一体。


後ろを振り向くと、誰もいない教室の中に1人だけ残っている生徒がいた。


時透君だった。彼は自分の席でスマホを弄っていた。


つい先程まで変な夢を見ていたせいでドキッとする。


私は状況を確認する為に時透君の元へ近づく。断じて話す口実が出来たなどと思っていない。


「あの…私ってずっとここで寝てた?」


そう恐る恐る聞く。


「…ん?ああ、ホームルーム終わってからずっと寝てたよ」


スマホの画面を見つめていた顔がこちらへ向き直る。時透君は気怠いような調子で答える。


「そ、そう…」


どうやら私は、30分も教室で爆睡していたらしい。


美術室に行ったと思い込んでいたのも、多分夢とごっちゃになっているのだろう。


時透君は机に掛けてあったリュックを持って立ち上がる。


「俺用事あるから帰るわ」


そう言って教室から出ようとする。


「あ、うん。じゃ、じゃあね…」


まだ頭の整理が出来ていないが、取り敢えず時透君に挨拶をした。成り行きとは言え時透君に「じゃあね」が言えた事に感慨深さを感じていた。


「また来週、()()()()


去り際、時遠君がそう言い教室を出ていった。


「…え?」


時透君が挨拶を返してくれた。


ではなく、彼が私の名前を覚えてくれていた。


その事実があまりに嬉しくて私の顔は気持ち悪い笑顔を浮かべていただろう。


今日は美術室に行くのを忘れて教室で寝てしまったけれど、そのおかげで時透君とちょっとだけ話せて良かった。














〈キャラ紹介〉

名前:ジルベルト•ハーディス(42)♂

職業:魔法剣士

所属:元神聖ラモウ帝国皇帝陛下直属魔導騎士団(元団長)

スキル:火属性魔法超級(魔導具と他の魔導師の力を借りて)

    精神感応魔法初級

    幻惑魔法中級

    死霊魔法超級(死後発動)

    水、風、土属性魔法上級

武器:『百面鎧』

   『魔剣ソードブレイカー』

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