反抗期
かわいいわたしにさようなら。
凛々しい私にこんにちは。
ママの好きなわたしは、小学校と一緒に卒業。
ママと同じ金色の髪の毛も、青く澄んだ瞳も、ママが選んだピンクの服も靴も帽子もリボンも。
みんなみんなさようなら。
パパと同じ黒い髪、漆のような黒い瞳、みんなとまったく同じ白と黒の制服に。
これから出会うすべてのものへ、こんにちは。
ママ、知ってた?
青より赤が好き。
赤より茶色、茶色より白、白より黒が好きだったって。
フリルのスカートよりもタイトなジーンズが好きだって。
笑顔よりも泣き顔が似合うんだって。
知らないよね?
ママはいつもわたしを見ているばかりで、私を見てはくれないもの。
でも私、知ってるよ。
ママが知らないと思ってること、知ってるよ。
パパがいない間に何をしているか。
パパがいるときだけ、何をしていないか。
全部全部、知っているんだ。
だから決めたの。これまでの意味と、これからのこと。
だからママ、さようなら。






