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鍛冶屋のハルク

 レミーの案内で歩いていくと、そこは大通りから外れた筋道へと進んでいく。

 本当にこのような場所に凄腕の鍛冶師がいるのかと疑問に思いつつ、土地勘のない俺たちはレミーを信じてついていくしかない。

 そうして五分ほど歩くと、飾り気のない石造りの店に到着した。


「ここよ」

「……なあ、レミー」

「ん? どうした、レインズ? 中に入るわよ」


 パッと見ではそこが鍛冶屋なのかどうかも分からない。看板も出ていないし、作品を外から見れるような窓もない。

 穴場と言われればそうかもしれないが、俺はいまだに信じられずにいる。


「……うんうん! なんだか、良い鍛冶場の匂いがするわ!」

「「「……匂い?」」」


 俺だけではなくエリカとギースも疑問の声を漏らした。


「その通り! ここには良い鍛冶場の匂いがするのよ! そして、そういうところには必ず腕の良い鍛冶師がいるものよ!」

「おぉっ! 話が分かるじゃないか! 偏屈なおっちゃんだけど腕は確か! ……まあ、偏屈だからこんな隅っこに店を開いているんだけどね」

「分かります! 本当に良い武器はー、自ら探し出すものだー……的なね!」

「売れればいいわけじゃない! 俺が武器を作ってやりたい奴が現れたら作る、とか言ってたからあながち間違ってないかも!」


 ……何やら二人で盛り上がっているが、結構な大声である。これ、鍛冶師の人に聞こえていないか心配だなぁ。


「そうと決まれば早速入りましょう!」

「そうね! お邪魔しまーす!」

「――本当に邪魔じゃなあ! 店の前で変な会話をするでないぞおっ!」

「「ご、ごめんなさああああいっ!!」」


 ほら、やっぱり聞こえてたじゃないか。

 中から出てきたのは筋骨隆々の男性で、頭を布で覆っており、もみあげを髭がくっついてしまうくらいに生えている。

 厳つい風貌なので偏屈と言われる事はまだ飲み込めるかもしれないが、恥ずかしいセリフを大声で言われたら、そりゃあ怒鳴りたくもなるよな。


「おい、レミー! 今後は貴様に儂は武器を作らんぞ!」

「えぇっ!? そ、それは止めてよハルクさん! あたいが使う武器はハルクさんのだけって決めてるんだからさ!」

「その割には結構な文句を言っていたみたいじゃがなぁ? あぁん?」

「あ、あれは、言葉の綾と言いますか、なんと言いますか……」

「それにそっちの小娘もじゃ! 儂は別に誰かに探して欲しいとか思っておらんからな! あぁん?」

「……」

「おい! 聞いておるのか!」


 レミーは話を聞いていたが、バージルはハルクに怒鳴られても口を開かない。

 その目が見ているのは、ハルクが作り続けた数々の作品たちだった。


「……す、凄い! 凄すぎます! ハルクさんでしたよね? 私はバージルです! 鍛冶師です!」

「お、おいっ! 貴様、話を聞いているの――」

「ハルクさんは本当に素晴らしい鍛冶師ですね! どうか私に鍛冶の手ほどきをお願いします!」

「……おい、レミー」

「なんですか、ハルクさん?」

「お主が連れてきた小娘は、バカなのか?」

「鍛冶バカです!」

「自分で言うな! バカ娘が!」

「バカ娘じゃありません! 鍛冶バカです!」

「言い直さんでもいいわ!」


 突然手を取られて鍛冶の手ほどきをと言われても、ハルクさんはどうしていいか分からないだろう。いや、俺だって見知らぬ人に剣を教えて欲しいとか言われても困惑するし、当然の反応と言えるだろう。

 そして、明らかにハルクさんはバージルに圧倒されている。


「お願いします! 私、死んだ父さんに鍛冶を教えてもらっていたんですが、中途半端に終わってしまって。だから、ちゃんとした指導を受けたいんです!」

「な、ならば、他の鍛冶師に頼めばいいだろうに」

「ハルクさんじゃないとダメなんです! 他の鍛冶屋も見てきましたけど、ハルクさんの作品以上に素晴らしいと思えるものはありませんでした!」

「……ふん、当然じゃ」


 あれ? 照れてる? このままの勢いで行けば、いけるんじゃないか?


「レインズ!」

「うえっ!? お、俺か!」

「ブルーレイズを貸してちょうだい!」

「わ、分かった」


 あまりの迫力に俺は素早くブルーレイズを抜いてバージルに手渡す。


「これ、私の渾身の作品なんです。でも、これ以上の作品を作れるとは思えません。……完全に行き詰まっています」

「これは……ほほう。Aランク魔獣の素材を使っておるか。それに……つなぎとしてアダマンタイトが少々含まれているな」

「そ、その通りです! 本来であればもっと良い作品になってもいい素材を使っているんですが、今の私にはこれが限界なんです」

「……しっかりと見えているようじゃな」


 ハルクさんはブルーレイズを見ながら、軽く刀身を叩き、見分を進めていく。

 その様子をバージルは息をのみながらジーっと見つめていた。


「……ならば、一度小娘の鍛冶を見せてみろ」

「い、いいんですか!」

「まずは鍛冶の腕を見てからじゃな。どうするかはその後に決める」

「あ、ありがとうございます! ――師匠!」

「ま、まだ師匠ではない! 見てから決めると言ったじゃろうが!」

「はい! ですが、この瞬間はすでに師匠です! よろしくお願いします、師匠!」

「……こ、こっちじゃ! ついてこい!」

「はい! 師匠!」

「し、師匠、師匠とうるさいぞ!」


 耳まで真っ赤にしたハルクさんが店の奥へと歩いていくと、笑顔のバージルがそれに続く。

 残された俺たちは顔を見合わせると苦笑し、その後を追い掛けて歩き出した。

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