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鍛冶屋巡り

「鍛冶屋に行きたい!」


 朝食の席での第一声はバージルの声だった。


「……いきなりどうしたんだ、バージル?」

「私は鍛冶の勉強をしに来たのよ! せっかくなら早くに行きたいのよ!」


 バージルの同行も鍛冶の勉強をするためにとヒロさんが許可を出してくれている。

 だが、今回の旅を計画したヒロさんの許しがなければそれもできないのも事実。

 というわけで、全員の視線がヒロさんに集まった。


「構いませんよ。私は少し足が痛むので、今日は一日休ませてもらう事にします」

「分かりました。それじゃあ、俺が護衛として残ります」

「いいえ、皆さんで行ってきてください」

「……いいんですか?」


 バージルの事はエリカに任せようと思っていたところへヒロさんから許可が出る。

 だが、ヒロさんを一人だけ残すというのも気が引けてしまうのだが、微笑みながら問題ないと口にしてくれた。


「部屋にいてもできる事はありますし、それに来客もあるでしょうからね」

「来客ですか?」

「えぇ。シュティナーザに来た時は毎回あるのです。この宿の警備もしっかりとしていますからご安心ください」

「……分かりました。ありがとうございます」

「やった!」


 結局、俺たちはヒロさんの厚意に甘える事になった。

 バージルも喜んでいるが、俺は昨日のレミーの言葉が気になっていた。

 ブルーレイズは俺としても非常に気に入っている。だが、これがさらに良くなる可能性を秘めていたとなれば、確かにもったいないと思えなくのないのだ。

 バージルの腕が上がるのであれば、僅かでも力になれればと思う。


「それじゃあ、ご飯を食べたら早速出発しましょう!」

「私も一緒に行っていいの?」

「もちろんよエリカ! ギースも来るでしょう?」

「おう! 部屋にいても暇だし……ってか、動けないし」

「「……動けない?」」


 女性陣は首を傾げているが、俺もギースと同じ気持ちだったのでうんうんと頷く。あの部屋ではガサツな俺たちだとどうしても大人しくなってしまうのだ。


「というわけで、さっさと食べちゃいましょう!」


 豪華な食事で味も美味しかったが、バージルは鍛冶屋巡りに意識を持っていかれているのか味わっていないように見える。

 まあ、人それぞれだし、俺はゆっくりと味わってから準備をするとしよう。


 ◆◆◆◆


 そして、俺たちは準備を終えると街へと繰り出した。

 とは言ってもオシャレな雑貨屋が並ぶ大通りではなく、鍛冶屋が乱立する産業区だが。

 とても楽しそうに鍛冶屋に入っては作品を見ていたバージルなのだが、その表情は徐々に曇っていく。

 あまりの曇りように先ほどまで見ていた鍛冶屋を出るとすぐに問い掛けた。


「どうしたんだ?」

「うーん……思っていたより、良い作品が少ない」

「そうなのか?」

「うん。いや、私よりも良い作品が並んでいるのは確かなのよ? きっと腕だって良いんだって思うんだけど、飛びぬけて凄い! ってのがないのよねー」


 産業区の大通りに並んでいる鍛冶屋を中心に見て回っているのだが、そこで気になる作品と出会えないってのはどうかと思う。

 ここは大都市であり、そこの大通りだぞ? さすがに見つかるだろう。


「全てがダメってわけでもないだろう。もう少し見ていこう」

「……うん」


 肩を落とすバージルの背中を見ていると、絶対に満足いく作品を探し出してやると思ってしまう。

 だが……うん……現実は難しい。


「…………ああぁぁぁぁ……ないよ!」


 抜けなく全ての鍛冶屋に足を運んだはずだ。だが、バージルが納得いく作品に出合う事はなかった。

 もしかするとより良い作品は別で保管している可能性も否定できないが、それでもこの結果は悔しいものがある。


「……仕方がないよね。まあ、ちょっと気になった作品をいくつか購入していこうかな。……本当にちょーーーーっとだけど」


 バージルがものすごく妥協した感じを出した――その時である。


「まーた会ったわね!」


 前の方から手を振り近づいてくる人物。昨日ぶりだが、冒険者なのだから産業区の鍛冶屋の通りにいてもおかしくはないか。


「レミーじゃないか。どうしたんだ?」

「それはこっちのセリフだね。レインズの剣はそれだろう?」

「俺はバージルの護衛で鍛冶屋を巡っていたんだ」

「バージル?」


 そういえば、バージルは昨日、馬車に残っていたんだったか。

 外に出た時も顔を出したのはエリカくらいだったし顔は合わせていなかったかも。


「初めましてー。鍛冶師のバージルでーす」

「……なんだか、ものすごくくたびれてないかい?」

「あぁ。実は――」


 そこでレミーに今までの出来事を説明すると、答えはすぐに返って来た。


「そりゃそうね。この辺りの鍛冶屋は顧客を決めていたりするし、渾身の一振りとかは別で保管してるわよ」

「やっぱりそうか」

「一見さんにはすぐに見せてくれないし、他の鍛冶師に見せたくなってのもあるかもね」

「そ、そんなああああぁぁ!」


 レミーの答えにバージルは大きく肩を落としてしまった。

 だが、レミーの話はそれだけで終わらなかった。


「何なら、私のオススメの鍛冶屋を紹介しましょうか? 偏屈なおっちゃんの店だから顧客は少ないけど、腕は確かな人だけど?」

「お、お願いします!」


 すぐに機嫌を直したバージルはレミーの手を取るとブンブンと振っていた。


「……また、この人ですか~」


 しかし、俺の後ろからエリカの一つトーンを落とした声が聞こえてきたので、少しばかり冷や汗を流したのは言わないでおこう。

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