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ヒロの過去

 酒場に到着すると、ヒロさんが慣れた様子で中に入っていき女将さんに声を掛けた。


「やあやあ、ヒロさん! 久しぶりじゃないかい!」

「お久しぶりです、女将さん」

「あっちのテーブルにどうぞ! すぐに料理も持ってくるからね!」


 簡単なやり取りだったがそのままヒロさんは案内されたテーブルへと進んでいくので、俺たちもそれについていく。

 テーブルに着いてしばらくすると女将さんのオススメなのか、すぐに料理が運ばれてきた。


「ふふふ、これが毎回楽しみなのですよ。では、いただきましょうか」

「すげえ! めっちゃ美味そうだ!」

「……いや、それはありがたいんですが」

「……早くないですか、ヒロさん?」

「……何、この流れ作業?」

「ふふふ、私はここの常連ですからね。気にせずにいただきましょう」


 うーん……まあ、ヒロさんがそう言うなら問題ないか。

 それに、このタイミングなら聞けるかもしれないしな。


「ヒロさん。食事をしながらでいいんですが、ヒロさんの事を聞かせてくれませんか?」

「私の事ですか?」

「はい。謎が多い人だとは思っていたんですが、シュティナーザに到着してからはさらに謎が深まりまして」

「そ、そうですよ、ヒロさん! 貴族の方と知り合いでしたし!」

「私も気になるかも! 長年ウラナワ村で一緒だけど、ヒロさんの話って聞いた事がないからさー!」

「んぐっ! うめえ、美味しいよ、ヒロさん!」

「「「……ギース」」」

「え? なんっすか、師匠? 二人も?」


 俺たちの話なんて全く聞いてなかったんだろうな。まあ、確かにここの料理は美味いから夢中になるのも分かるが。


「まあ、少しくらいならいいでしょうか。ですが、ギース君のように食事を終えてからですね。料理は、温かい方が美味しいですから」


 言われてみると確かにその通りだ。

 興味の方が先走ってしまったようだな。

 という事で、俺たちはまず食事を堪能することにした。

 ジーラギ国とは異なる調理方法なのか、それともシュティナーザ特有なのか、ウラナワ村で食べた料理とも味付けが異なっている。

 やや濃い味付けなのだが、それだけが主張しているわけではなく他の食材とのバランスが取れている。これは一緒に食べる事を前提に作られているんだろう。

 スープは逆に薄味なのだが、具材になっている野菜の味が溶け込んでいるのか飽きはこないし、メインの料理の味を邪魔しない事も素晴らしい。

 これは確かに、温かいうちに食べて損はない。むしろ、冷めてしまったら損しかなくなるな。


 一通り料理を堪能すると、ヒロさんはゴホンと一つ咳払いをしてから身を正す。

 それに合わせて俺たちも身を正し、視線をヒロさんへと向けた。


「……では、簡単にお話しさせていただきましょうか。とはいえ、面白い話ではないと思いますがね」


 そう前置きした後、ヒロさんは語ってくれた。

 その話によれば、ヒロさんは元は大商会の生まれだったのだとか。

 ただし、そこの四男だった事もあり商会を継ぐ事も叶わず、さらに商会のために働くのは次男や手先が器用だった三男がいれば問題ないと言われてしまい、家を出る決意を早い段階でしたらしい。


「どうやら女の子が欲しかったようですが、私が生まれてしまったんですねぇ」


 笑いながらそう言っていたが、どこか寂しそうな雰囲気があった。

 だからなのか、そこには誰も深くは追及せずに話を進んでいった。

 家を出たヒロさんは三男よりも器用だったこともあり、一職人として多くの職人に弟子入りしては技術を盗んでいったらしい。

 一時期は冒険者としても活動しており、自ら素材を取りに行ったりもしていたようだ。


「その時に知り合ったのが、冒険者ギルドのギルマスであるハグロアなのですよ」

「なるほど。それじゃあヒロさんは、ルシウスさんとは職人や商売人としての先輩であり、ギルマスとは冒険者としての先輩に当たるんですね」

「……ヒロさん、半端ないですね」

「職人であり、冒険者ですか」

「まあ、冒険者としては大成しませんでしたけどね。ハグロアは、たまたま私が先輩として指導する機会があっただけの話ですよ」


 簡単に話しているが、新人を任せられたって事はそれだけ当時の冒険者ギルドから信頼されていたって証でもあるはずだ。……まあ、仕組みが兵士とかと同じなのかは知らんが。

 そんな感じでパーティを組んだりしながら素材を集め、その素材で革製品を作っては冒険者仲間に格安で売って評判を上げていき、ヒロさんは職人として認められていった。

 そこから冒険者を引退して商会を立ち上げると、瞬く間に大商会へと駆け上がっていったのだとか。


「冒険者仲間が広く宣伝してくれましてね。他の都市からも買い付けに来る方もいて、とても助かりました」

「それだけヒロさんの作品が素晴らしかったという事ですね」

「ヒロさん、凄いですね!」

「私もヒロさんに作ってもらおうかしら」

「ヒロさんって、金持ちなんだなぁ」

「ふふふ、今では貯め込んだお金もありませんから、普通のおじさんですよ」


 ギースだけは少しばかり違う感想の述べていたが、それにもしっかりと答えてくれているヒロさんは良い人だなぁ。


「大成功を収めたとルシウスは言ってくれましたが、私としては忙し過ぎる毎日に楽しさを感じる事ができなくなりましてね。当時働いてくれていた人たちに新しい職場を斡旋してから、商会を畳んだのですよ」

「それだけの選択、難しかったんじゃないですか? それに、継いでくれる人はいなかったんですか?」

「私は独り身でしたからね。商会を押し付けるのも違うと思いましてね。その後、各地を回って色々な土地を見ていたのですが、自然豊富なウラナワ村が妙にしっくりきまして、定住したのですよ。当時はまだ元気でしたし、自警団としても参加していたんですよ?」

「ヒロさんの全盛期の姿、見てみたかったです」

「――あー! うぜぇ、うぜぇなあっ!」


 俺たちが会話を楽しんでいると、突如として酒場の中に怒声が響き渡った。

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