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レインズの覚悟

 だが、ここは俺も意見を曲げるわけにはいかない。


「レインズ、てめえ! また訳のわからねえ事を!」

「現実を見てくれ、ギレイン。魔獣の進化に合わせて人間も強くならないといけないのはわかる。だが、人型魔獣のボスの進化に関しては完全なるイレギュラーだろう」

「そりゃそうだが、だからってお前を一人で行かせる理由にはならんだろう!」

「なら聞くが、この場にBランク以上の魔獣と単独で戦える奴はいるのか? Aランク以上の魔獣と相対したことのある奴がいるのか? Sランク以上の魔獣を遠目からでも見た事がある奴は?」


 矢継ぎ早の質問に、ギレインは口を閉ざし、騒然としていた周囲もシンとしてしまう。


「……い、いねぇ」

「なら、俺が単独で行くしかないんだ」

「だが、お前はここに来てからまだ数日しか経ってねえ。そんな奴にいきなり命を懸けろだなんて、言えねえだろうが!」


 拳を握りしめ、ギレインは悔しそうに声を漏らす。

 それは他の自警団、特に俺と関りのある面々も同じだった。


『……のう、レインズよ』

「なんだ、デン?」

『お主、先ほどから単独、単独と言っておるが、我もおるんじゃがのう?』


 あー、気づいたか。


「デンには、自警団と一緒にウラナワ村の防衛に当たってもら――」

『そんなわけあるかああああああああいっ!!』


 ……うん、大声を出すなら場所を選ぼうな、デン。


「おいおい、自警団本部が崩れそうなんだが?」

「デン殿、落ち着いてくだされ」

『む! す、すまん。……ではなくてだなあ! お主、何を考えておる!』

「何をって、ウラナワ村の事を考えての提案だよ」

『だからといってお主が死んでは意味がなかろう! 我を従えた力は認めよう。だが、数の暴力とはお主が思っている以上に脅威なのだぞ!』


 デンと従魔契約を結んでから今日まで、このような警告を受けたのは初めてだな。

 ……それだけ、数の暴力が脅威だという事だろう。


「かもしれないな。だけど、俺は負けるつもり何てこれっぽっちもない」

『レインズ!』

「俺は、俺のスキルに胸を張りたいんだ!」


 ずっと言われてきた。卑怯者だとか、怠け者だとか、侮蔑の言葉を。

 それでも俺は、俺だけは自分のスキルを信じてきた。

 そのおかげでデンと出会えたし、リムルとも出会えて、今はここにいる。

 だが、それだけじゃダメなんだって、ここに来てから思うようになってしまった。


 ……俺は、俺のスキルを、俺じゃない誰かに認めてもらいたいんだ。


 俺だけが魔獣キラーを信じていればいいと思っていたが、ここで誰かのためになれると思った途端、俺じゃない誰かに認めてもらいたいという欲求が強くなった。

 これだけは理屈で語れない、心奥にある俺の本心なのかもしれない。


「だから、ここでみんなの力になる事で、ウラナワ村の一員だと認めてもらいたいんだ」

『……はぁ。お主、本当に鈍感なんだのう』

「い、今の話から、どうしてそうなったんだ?」

『どうもこうも。ほれ、皆を見てみろ』

「みんなって……え?」


 ……えっと、どうしてみんなが口を開けたまま固まっているんだ? それに、村長まで。


「……いやはや。まさか、レインズ殿がここまで鈍感だとは思いもせなんだ」

「ったく、レインズよ。お前はもうとっくに、ウラナワ村の一員じゃねえか」

「そうだぜ、師匠! 俺の師匠なんだから、いきなり出て行くとかなしだからな!」

「レインズさんは、私たちを助けてくれました」

「そうよ、そうよー! 全く、変なところで頑固なんだからー」

「私も助けていただきましたし」

「妻をオーガとオーガファイターから助けてもらったお礼、まだできていませんからね」


 村長、ギレイン、ギースにミリル、メリースさんにカリーさんにクランキーさん。

 ……あぁ、そうか。俺が、気づいていなかっただけなんだな。


「みんな……ありがとうございます」

「だーかーらー! レインズ一人で行くってのはなしにして――」

「いや、それはまた別の話だから」

「っておいっ! なんでそこは譲らねえんだよ!」


 勝手に話の流れを変えないでもらいたい。

 第一、自警団がBランク以上と戦えないのは事実だからな。


『……のう、レインズ。自警団は仕方ないとしても、どうして我まで置いていくのじゃ?』

「仕方ないのかよ!」


 デンも意外と言う時は言うねぇ。


「魔獣が生まれ落ちた時、俺たちは全くその気配を察知できなかった。なら、森の奥ではなく、ウラナワ村の近くに生まれ落ちる可能性だってあるんじゃないかと思ったんだ」

『そんな事が本当にあるとでも?』

「可能性の話だ。それに、魔獣が広い範囲に散らばったら、一匹や二匹くらいはやって来るかもしれない。そいつらを、自警団と一緒になって倒して欲しいんだよ」


 デンを連れて行ったとしても、同様の可能性は否定できない。

 なら、向けてしまった魔獣は仕方ないと割り切り、率いている魔獣の討伐とウラナワ村の防衛を第一に考えるべきだと思ったんだ。

 ジーラギ国にはなかったが、ここには冒険者という職業があるらしいし、レミーのような凄腕がいれば問題はないだろう。

 というか、ウラナワ村以外まで守るなんて事、俺にできるはずがない。

 俺の手の届くところで助けられる者を助ける、ただそれだけの事なんだ。


「SSSランクのデンがいてくれたら、俺も安心して戦いに集中できる」

『……はぁ。仕方がないか』

「おいおい、デンさんよお! そこは折れちゃダメなところだろうよ!」

『こうなったレインズが折れる事はない。ならば、我は我にできる事をやるだけよ』

「助かるよ、デン」

『しかし! これ以降は受け付けないからな! 我だって暴れまわりたいのだ!』


 まあ、デンの本音はそこだよな。

 そんなデンの一言に、自警団本部の雰囲気が少しだけ和らいだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 優しいから言わないけど、きっぱり言った方が、鍛錬に真剣に取り組むと思う デン以外が付いてきたとして、それを守りながら生きて帰す負担を無くすために一人で行く 村に(もしくは村の近くに)上…
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