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資金力を活かして魔王討伐の準備をする①

 事態はひと段落したが、俺達は未だにグランシルバに留まっていた。魔王討伐にむけての下準備としてアイテムや装備品を揃えるためだ。


 カーミアは用事があるといって、宝石(ガラス玉)一つ持って何処かに行ってしまったので、買い物に来たのは俺とヴィオラだけだった。買い物ひとつするのにも、カーミアはうるさくするだけだと思うので、これはこれで都合がいいのかもしれない。


「資金はいくらでもあるからな……出来るだけアイテムは潤沢に揃えたい」


「そうね、特に状態異常を回復する薬は持っておきたいところかしら」


 ヴィオラはターコイズ色のブラウスと白のスカートを着ていた。普段は魔道士のイメージそのままに黒いケープを着ている、が普段はガーリーなデザインの服が好きらしい。


「ここが店か。広そうだな」


 早速グランシルバいちの広さを誇るアイテム店に入る。当然、一つの城を買えるほどの価値があるガラス玉を丸ごと持って、買い物をする訳にはいかず、通常の買い物で使えるように俺は事前にガラス玉を細かく砕いていた。


 それでもこの破片ひとかけらでアイテムはいくらでも手に入る。事実店員にそれを見せると「店の商品いくらでも、いや、店ごと持っていってもらっても構わない」と言われたほどだった。


「さてと……」


 俺は店頭に置かれていた虹色の小石のようなものを手に取った。


「虹色に光る……小石か? なんだろう…ヴィオラ。これはなんのアイテムだ?」


「それは、瀕死状態を回復させる薬よ。高山にしか生えない貴重な草を固めたものなの。別名虹色滴(にじいろしずく)


「へぇ、そりゃいい! イザということもあるだろうし、とりあえず300個くらい買っておくか!」


「そんなにいらないでしょう……。それに、300回も瀕死と復活を繰り返してたら、もはや生きているのか死んでいるのか分からなくなりそう……」


「確かに、300回も瀕死になるのは辛いな……」


「ちなみに、瀕死状態を回復させるんであって、首をへし折られてたり即死しちゃったら回復できないわよ」


「なん……だと……?」


 ゴブリンの棍棒一髪で、首が消し飛ぶであろうレベル1の俺にとって。それはあまり意味がなさそうだった。


「それに、いくらお金があっても生活水準はかえるべきではないと思うの」


「母親みたいなこと言って…」


 ヴィオラの助言も参考に、戦闘で使えそうなアイテムを片っ端から確保していく。しかし所詮は街の中にある店なので、特別貴重なアイテムは見当たらなさそうだった。


「レベルを上げる薬とかは? そういうのはあったりしないのか?」


「あるかもしれないけど、落ちてるとしたらダンジョンの中とか……普通には手に入らないわね」


 金があっても都合がつかないことはこの世界にはある。たとえ異世界だろうと同じことが言えるのは少し残念ではあった。


「さて。アイテムはこんなもんでいいだろう」



虹色滴×99

…瀕死状態から回復する


人馬の生き血×99

…状態異常を全回復する


極北地の湧水×99

…HPを全回復する


バリアブルシールド×99

…魔法でできた簡易障壁、魔法物理攻撃ともに一定量攻撃を通さない


グランバニアの金細工×99

…魔法攻撃力を一定期間2倍にする。重ね掛けも可能



「買いすぎでしょう!」


 ヴィオラがあっけにとられたような顔をしたが「そんなことはない」と俺は大真面目に答えた。相手が得体もしれない魔王なのだから、こっちもできる限り最大限の準備をしておきたかった。


 ちなみに本当は100個以上買いたかったが「アイテムの上限は99個までなの」とヴィオラに止められてしまった。ちょっとメタ発言っぽかったがスルーすることにする。


「あなた一人でそんなに持てるの?」


「と思って、応援も呼んでいるぞ」


 俺がパチンと指を弾くと、屈強な男達が数人やってきて、まるでやる気のあるラーメン屋の看板みたいに、いっせいに腕組みをした。


「……この方たちは?」


ヴィオラはズラッと並ぶ男たちをジトっとした目で見つめている。


「何でも屋の方たちだ」


「どうして、何でも屋の方を?」


「戦うメンバーはなるべく手ぶらになりたいし、荷物はこの人達に運んで貰おうと……」


「お馬鹿さんね! こんな大所帯で魔王がいる場所まで行くなんて!」


「そんな、せっかく雇ったのに!」


「さっさと解散させなさい!」


 またもやヴィオラに却下された。仕方なく男たちには今日分の給料を支払い。帰っていただくことにした。

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