エピローグ~冒険の始まり~
初作品です。周りに影響されて書き始めました。楽しんで頂けると幸いです。
「あぁ...待った、待ったよこの時を...」
休日、自室のベッドの上で天を仰いでいるのは、いたって普通の高校生、北 一樹である。他の高校生と違うところと言えば、日本初のVRMMORPGを真っ先に体験できる数少ない人間ということぐらいだ。
「ついに、この日がやってきた!『Magic saver』サービス開始日!この日のために、口うるさい教師や幼馴染みの言うことに必死に耐えて生きてきたのだ!」
Magic saverとは、初めて開発されたVRゲーム機、「アナザーリアル」のRPGタイトルである。このゲーム機が発売されて早半年、今までもRPGタイトルは発表されてはいたのだが、完成度が低い、ゲームシステムの不良など、ろくなゲームがなかった。しかしこのMagic saverは、PVからユーザーの心を鷲掴みにするほどの完成度で、それに加えて従来ゲーム機でいわゆる「神ゲー」を量産しているメーカーの初VRタイトルというだけあって、いやが上にも期待度が高まったのだ。
「しっかし、サービス開始までゲームシステムを公開しないんだもんな。マジックとかいうくらいなんだから魔法主体のゲームなんだろうけど...って、考えてても仕方ないな。早くプレイしたい!サービス開始は10時か、今は...」
手元の時計の針は9時50分を回ったところを指していた。
「うお、もう少しじゃないか!楽しみだなあ~!」
サービス開始までの数分が数時間、数日のように感じられる現象に襲われながら、まだ見ぬ世界に思いを馳せていると、
「ぎゃ、もうすぐじゃん!機械をセットして~と...」
アナザーリアルは、VRゲーム機と言っても物々しい物ではなく、小型の眼鏡のような形状をしていた。
「よし、準備完了。」
《VRゲーム機能をスタートします。仰向けになって下さい》
機械音声が頭に響く。チュートリアル用の音声だ。
「ちゃんと寝そべって、と。ゲームを始めるには機械音声に答えれば良かったんだよな。言葉は何でも良いんだっけ。」
《正常な体勢を感知しました。それでは...Are you ready?》
「Yes!ゲームスタート!」
その瞬間、一樹の意識はぷつりと途絶えた。
ここまで読んで下さった皆さま、本当にありがとうございます。