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   第三章☆科学者連盟の加入条件

「君が高橋一馬か?」

「はい」

「君が幼い頃に『反重力装置』を開発したというニュースを見て、いつかここに君が来るだろうと思っていたよ」

「そうですか・・・」

浮かない顔で一馬は、初対面の中年男性のネクタイを見ていた。

隙がなく、全身上品なスーツ姿で、何を考えているのか推し測れない。

「あなたも発明家なんですか?」

「いや、私は連盟の運用が主な仕事で、発明はしない」

「ここはもっと大きな建物かと思ってました」

「事務処理だけだからね。このくらいの広さで事足りるんだ。・・・所属している発明家はみんな自分で自分の発明品を管理しているから、ここにはそういったものは小さなものをいくつかしか保管してないし、ここのセキュリティも万全じゃない」

「なるほど」

一馬は、事務員が出してくれた珈琲に口をつけた。

「発明をしました。ハイそうですか。では加入できない決まりになっていてね」

「?」

「その発明をした動機と、発明品をいかに役立たせるか、で審査しています」

「俺は・・・」

一馬には自信がなかった。

世間を騒がせた『反重力装置』のせいで、幼かった一馬の元にとある謎の団体の襲撃があり、設計図をめぐって血なまぐさい事件が起きた。一馬の両親は一馬をおじいさまの元に預けて命を落としていた。

『反重力装置』の設計図は今は一馬の頭の中だけに納めてあった。

それから、おじいさまが瀕死の病に倒れたときに、おじいさまを喜ばせたい一心で『ブレーンマシーン』を造ったが、実験のやり方に問題があった。いろんな人の意見でこれもまた設計図は一馬の頭の中だけにあり、機械はバラバラに分解して痕跡をなくしていた。

「そういえば、ブレーンマシーンの時に、進ちゃんがいたんだったな・・・」

一馬は記憶をたぐって思い出した。

「俺は自信がありません。発明したせいで人を巻き込んで大変な思いをしてきました」

「じゃあ、もう発明は一切しないのかい?」

「・・・いいえ。友だちがいて、その友だちが喜ぶようなものを造りたいと思っています」

「そうかい」

中年男性は事務員を呼んで書類を用意した。

「動機は合格なんじゃないか?・・・でも」

「でも?」

「発明家としての倫理観を身につけてほしい」

「どうやって?」

「横田正太郎という高校生の発明家がいてね、彼を見習って見たらどうかと思う」

「・・・わかりました」

「書類上は合格にしておくよ。でも、発明品を悪用したりされたりの場合は、連盟の所属員全員の意見で処遇が決まる。気を付けて」

「・・・ありがとうございます」

思ったよりあっけなかった。

だけど注意点がいくつかあって、一馬は気を引き締めてかかろうと決意した。

あえて同行しなかった進一に科学者連盟に加入できたことを伝えると、自分のことのように喜んでくれた。


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