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第二章☆一馬、天文学をかじる
「進ちゃん、何の本読んでるんだい?」
「ああこれね。現代思想の宇宙のフロンティアって特集号」
「面白いのか?」
「面白いよ。ハビタブル惑星つって、地球以外の生命がいそうな系外惑星の存在と可能性について書いてある」
「へえ・・・」
「一馬は天文学に興味はあるかい?」
「まだ知らないなぁ」
「まだ知らないってことは、これから可能性があるってことだろ?」
「ふふん」
二人はニヤリと笑いあった。
「なんだっけなぁ・・・ああそうだ『スペクトル』!」
「スペクトル?」
「電磁波を分光器で波長順に分解すると、7色の光の帯ができる」
「ふんふん」
「遠くにある恒星から届く電磁波をスペクトルにして観察すると、その恒星の表面温度や化学組成がわかるんだ」
進一はタブレットで「スペクトル分類」を検索して一馬と一緒に恒星の分類図を見た。
「HR表の覚え方は、Oh Be A Fine Girl , Kiss Me ! の頭文字OBAFGKMの順だね。O型が高温で青くて、白、黄、橙、赤って並んでいる。M型の赤の外に赤色巨星のLTY型が並ぶ」
太陽はG型の主系列星の1つらしい。
「なんだこれ、面白いな」
「今度、博物館のプラネタリウム見に行こうぜ」
「ああ、いいな」
「発明も良いかもしれんが、他の分野も奥が深くていいよ」
「本当だな」
「俺は物理とかがダメだから、宇宙飛行士は諦めたんだが、天文学ははまっちゃってさ。一馬に教えられること俺にもあるんだ。良かった」
「宇宙飛行士になりたかったのか?」
「ああ。ずっと夢だったよ」
「・・・」
一馬は黙って考え込んでいた。進一の願いを叶えてやりたいという思いと、まだ自分は未熟で、勉強が必要なことを痛感していた。
「博物館の天体望遠鏡を使って「星を見る会」が土曜の夕方あってるから今度行こうぜ」
「うん」
二人は指切りした。