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エピローグ☆一件のメッセージ
ロケットを液体燃料のものと、固形燃料のものの両方造って飛ばしてみたが、コストがかかるし、効率的でないという感想だった。(だから、宇宙エレベーターという案も一般に普及しているのだ。)
スペースシャトル風の打ち上げ方も検討していたが、一馬はあまり乗り気になれなかった。
そんなときに、静止衛星軌道上に打ち上げた宇宙開発用の解説君からの連絡がぷっつり途絶えてしまった。
「どうする?」
進一が聞くと、一馬は慌てもせず、高橋山の研究施設に置いてあった飛行物体を引っ張り出した。
「進ちゃんも乗ってみるかい?」
「えー?いいけど、これでどうするんだよ」
一馬と進一を乗せた飛行物体はふよふよと夜空に舞い上がった。
「ナイショだけど、これに反重力装置を内臓してるんだ」
「えっ」
ある程度上がったら、切り替えてひょいひょいと解説君のいる場所まで昇っていった。
「この技術、なんで公にしないんだよ?」
「声が」
「声?」
「まだその段階じゃないって口を酸っぱくして言うんだ」
「・・・」
進一は初耳だったが、気味悪くはなかった。多分、一馬には守護霊かなにかついてるんだと薄々思っていたのだ。
「すげー、無重力」
胃が浮かんだような感覚がした。
「俺の夢、叶ったなぁ」
進一はしみじみ言った。
「夢は叶えるために見るもんだ」
一馬が言った。
「空気はちゃんと人が活動可能な濃度に保ってあるから、行ってみようか」
「へええ」
二人は地上3万6000キロにいた。
施設内に入って、解説君を探すと、普通にミッションをこなしている最中だった。
「なんで連絡が途絶えたんだ?」
一馬が眉根を寄せた。
「・・・高橋一馬様。一件のメッセージをお預かりしております」
通信装置に近づくと、合成ボイスがそう言った。
「何のメッセージ?他に誰もここに来た人いないんだろ?」
進一が聞いた。
一馬が再生したら、ノイズがひどくて聞き取りにくかった。
「・・・ザザ、ザザ、自力で、ザザ、私たちのもとまでたどり着いてごらん。ザザ」
今度ばかりは、進一もちゃんと聞いていた。
「なにこれ?」
「メッセージ」
「誰からの?」
「知らん」
一馬はさっさと地上に帰る支度をした。
進一は内心ワクワクするのを押さえられなかった。
「わお。未知との遭遇?」
「ばか。そんな大したもんじゃないよ」
「じゃあ、誰かのいたずらなのか?」
「知らん。・・・帰るぞ」
二人は飛行物体に乗った。
「すげー。夜明けだ」
パノラマが広がっていた。
「俺、一馬と一緒にいて良かったよ」
進一の言葉に、一馬は泣きそうになった。
「俺は幸せだなぁ」
「なーに言ってる。これからだぜ。お前も奥さんもらって家庭もって、もっと幸せになるチャンスだってあるんだから」
「俺がか?」
一馬は心底びっくりして聞き返した。
「夢は叶えるために見るもんだってお前が言ったんだぞ!」
「・・・」
夜明けの中、一馬たちは地上に戻った。
「お帰りって地球が言ってるぞ」
「俺達の生まれ育った場所だもんな・・・」
もっとでっかい冒険がこの先も待ち受けている。
二人は清々しい気持ちで高橋山の洋館に帰っていった。
<fin.>




