表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

マリガンダンジョンへ行こう(2)

よければ、ブックマークと評価をお願いします。

 2階層に入ると、ダンジョンの道のりは一気に複雑化する。

 その上、1階層よりも1.5倍ほど長くなる。

 モンスターも『ゴーレム』に『ウインドドック』と『イビルソーサラー』と強さも格段に上がっている。


「前衛をシーラとアンリエッタ、中衛を俺とレム、後衛をエリリンとイザベラで」

「任せてええで」

「おまかせを」

「頑張るの」

「頑張ります~」

殿(しんがり)は任せてくれていいわよ」


 やる気満々のみんな。レムも気合を入れている。

 正直な話、レムがこの2階層で活躍するにはあとレベルを10は最低でもあげる必要がある。

 最も、戦闘はシーラとアンリエッタで十分なのだが…。


「さっそくお出ましやわ」

「ゴーレムか…」


 地面が盛り上がり3体のゴーレムが生まれる。

 ゴーレムが生まれたと言うことは…いた。イビルソーサラーだ。

 イビルソーサラーは浮遊する魔術使い。魔術攻撃は2階層では破格の威力を誇るが、なにせ術を唱えるまでのタイムロスが長く、また防御力がとにかく低い。そこで、自身を守る者としてゴーレムを作るわけだ。

 なので、イビルソーサラーを倒せばゴーレムは当然消えるわけで…。たが、それはこの世界で生きてきた者が取る行動。俺は、当然ながら『裏技』を知り尽くしているのでイビルソーサラーを狙うようなまねはしない。

 実は、ゴーレムを倒すとかなり効率の良い経験値稼ぎになるのだ。

 だから、わざとイビルソーサラーを残してゴーレムを量産させて片っ端から倒すと言う方法をすればあっという間にレベルが上がるわけだ。

 え?イビルソーサラーの魔術は怖くないのかって?魔術が発動すれば確かに脅威ではある。だったら、唱えている最中に邪魔をすれば発動できないわけだ。

 だから、ゴーレムが出てきたときは必ずイビルソーサラーを探すことから始めるのがセオリーなのである。


「ローテーションを組んでゴーレム狩りをしよう。レムはイビルソーサラーが魔術を唱え始めたら矢を撃って牽制。イビルソーサラーには当てちゃだめだよ」

「わかったの」


 レベル上げも大事だが、熟練度を上げてスキルを覚えるのも同時進行でやりたい。

 当てれば上がる熟練度も多いが、空撃ちでも熟練度は上げられる。

 …では、ゴーレム無限コンボを始めよう。


「かったるいのう~」

「ですが確実に熟練度は上がってます。私は剣士の技をもう3つも覚えました」

「エリリンは~、狩人の技を2つ覚えたです~」

「ワタシも順調に3つ覚えたわ」

「レムは1つなの…」

「ちなみに俺は0です…」


 まあ、分かってたけどね。

 俺の場合は確実に熟練度とレベルが相対的に上がっているので、ちょっとくらいの熟練度上げでは新たなスキルは覚えない。

 ちなみに…レムのレベルは20になった。この2階層で上げられるレベルは22まで。

 そろそろ本格的に攻撃に参加しても良いだろう。


「レム。ゴーレム狩りに参加してみて。俺が代わりにイビルソーサラーの牽制をするから」

「はいなの」

「ゴーレムは身体の中心に見えるあの赤い球体が『核』だから、アレを狙って矢を射るんだ。…で、ここからはこの『弓と矢』を使ってみて」


 そう言って渡したのは『ユニコーンの弓』と『銀の矢』だ。

 実はこの2つは、大商人のトバールの取引の現場で押収した品である。

 金品や現金は王国が証拠物として押収したのだが、アイテム関係は全て現場にいた俺たちの自由にしていいと言うことで、ありがたくいただいたと言うわけだ。


 実は武具関係にはある『秘密』がある。

 見るだけでは普通の武器や防具だが、実は扱うには定められたレベルが必要なものもあるのだ。

 レベルが伴わないと装備できたとしても上手く扱えないのだが、この世界でそれを知っているのは俺と召喚カードだった彼女たちだけだろう。

 ユニコーンの弓はレベル20からでないと使えない弓だ。一応言っておくと、レベル20以下でも装備できるし、弓を引くこともできる。だが命中率が80%も落ちるのだ。

 つまり、10発撃って2発しか当たらない計算になる。

 だが、レベル20以上で使うと命中率が100%になり、さらに命中補正+30%が付くのだ。


「よし!続けるよ」


 しばらくゴーレム狩りを続け、レムのレベルが22になったところで、俺はイビルソーサラーを倒した。


「…紫の魔宝石か。今回は良いもんがドロップしたな」


 ドロップアイテムとは、モンスターを倒したときに出るアイテムのことだ。

 ドロップが決まって出るモンスターと、たまにしか出さないレアドロップがある。

 また、ゴーレムのように魔力によって生み出されたモンスターはドロップがない。

 イビルソーサラーが出したレアドロップ。このレアドロップだが、モンスターによっては幾つか種類がある場合もある…。

 今回、イビルソーサラーの出した『紫の魔宝石』は、レアドロップの中で希少の物で別名『氷の魔法石』と呼ばれている。

 『魔法石』は言葉からも分かるかもしれないが魔力を含んだ宝石である。色によって効果が違い、『白・黒・赤・青・黄色・緑・紫・金・銀・透明』の10種類がある。

 『紫の魔宝石』は『氷』の効果を持っており、武器などにはめると『氷の武器』になる。

 また、装飾品として磨き上げていくと、もう1つの効果として『魔法力+α』が付く。

 売れば、金貨で最低でも1万枚にはなるので財産としての資産価値が高いのである。と言っても、色の種類によっては安価の物あるので、絶対的に金持ちになれるとは限らないのだ。

 最も、売らずに加工して自分たちの装備品にする者も少なくない。


「じゃあ、今日は3階層でレベル上げしたら帰るとするか…」

「では、急ぎましょう」


 3階層も洞窟ではある。しかし、1階層や2階層と違い場所によって狭い通路や罠の通路などがある。

 まあ、この階の罠は『スタート地点に戻る』と言った(たぐ)いの軽いものだが、地味に精神疲労する。

 モンスターはブレードラットの1種類だが、とにかく集団で現れるので面倒なのだ。

 まあ、ドロップされる『プリプリ肉』は家畜肉よりも上質で、安定してギルドに卸すとそれなりの金額を稼げるので冒険者が最初に目指す目標となっている。


「さあ、狩りまくろう」

「腕が鳴るやね」


 余裕でブレードラットを狩っていく。

 レムも順調にレベル上げと熟練度を上げていく。

 すでに、レムのサブ職業もセットしてあるので通常よりも強い。

 初級職も増えたので、サブ職業2にも職業を付けられるな…。

 俺も、熟練度が上がりスキルを2つほど増やすことができた。


 …しかし、レベル250越えにもなると熟練度上げも楽勝らしい。

 4人ともスキルを4つも覚えていた。

 そして1番の成果は、ドロップの『プリプリ肉』だ。総数で784個集まっていた。


「時間も時間だし、そろそろ帰ろうか?」

「そうですね。レムは今にも寝てしまいそうですから…」

「無理させ過ぎたか…。よし、戻ろう」


 帰ろうと、来た道を戻ろうと歩き出すと遠方の方で何か輝くモノが迫ってきていた。


「アレってまさか!?」

「…ゴールデンブレードラットね」


 それは、レアモンスターのゴールデンブレードラットであった。

 レアモンスターは、各階層に出るモンスターの希少種版である。

 強さだけでなく、ドロップアイテムも通常のモンスターより上なのだ。


「よっ!」


 俺は何の躊躇もなくゴールデンブレードラットを切り裂く。

 すると、レベルが上がった。これで、レベル48になった。

 レアドロップしたのは、『モリモリ肉』だ。

 美味しさではプリプリ肉よりも上で、なおかつ防御力を+2上げてくれるのだ。


「この『モリモリ肉』はレムに食べさせようか?」

「それが好かろうな」

「そうですね」

「良いと思います~」

「別に構わないけど…食べるのは明日になりそうねぇ」

「だね。レムは俺が背負うよ。シーラとアンリエッタ先導を頼む。エリリンとイザベラは殿(しんがり)よろしくね」


 そして俺たちは少し急ぎ足で家へと帰った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ