新しい住人に仕事を割り振ろう。
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次の日の朝は、森に伐採に行く集団を見送った後、新たな住人たちを集める。
エリリンには村の住人の名簿を作ってもらうために同伴してもらい、ついでに『仕事』が出来そうなロイレンの主婦層の鑑定をしようと言う目的だ。
「なあ。領主様。オラ鍛冶場が欲しんだが…」
「えっと…ボルガンさんですよね?少し待ってください」
とりあえず鑑定でそれぞれが着く仕事を見ていく。
適材適所と言う言葉もあるし、まずは得意分野を生かしてもらおうと思ったのだ。
「旦那様~終わりました~」
「え~と…うん。見やすい。さすがエリリン」
「エヘヘヘです~」
「じゃあ、得意分野別に班分けしといてくれる?」
「はいです~」
エリリンによって的確に仕分けされていく。鍛冶・服飾・木工・料理・宿屋・医療・運輸・教育・革職人・農業・酪農・林業に分かれ、医療・農業・酪農・林業の人材はすでにあるのでそれぞれの場所にエリリンに連れて行ってもらう。
俺は残りの人たちを連れてまず中央の商店街へと向かう。アルド商店と村役場を中心にアルド商店側に服飾・革職人の店を作り、村役場側に運輸・木工・鍛冶屋をつくった。西区の宿屋街に宿屋と食事処を作り、北地区に学校を作る。2時間ほどで全てを終わらせ、レイアウトなどは店をやる人たちに任せ、足りない家具や道具を用意することにした。と言っても最低限に必要なモノのみでそれ以外はそれぞれの職人に作ってもらうつもりだ。
まず、服飾には下着関係の各サイズを中心にそのほかの服も作ってもらうことにする。革職人には靴関係を作ってもらい、木工職人には細かく必要な家具を作ってもらう。鍛冶屋には工房ごとに武器・農具・料理器具を同時進行で作ってもらう。
宿屋としての営業は今のところ停止してもらい、温泉施設と軽食・酒やつまみの提供のみにしてもらうことにする。食事処はちょっと豪華な食事ができるところに定食屋・居酒屋などに分けてもらう。この辺りは料理の腕を見せてもらってそれぞれに合った店を決めた。
「材料の調達はもちろん、月々の給金は俺が責任をもって支払いますので安心してください」
とにかく今は定着してもらうための期間である。ギルドができれば冒険者や行商人も増えて賑やかになるだろうが、それまでにはちゃんと店として成り立たせる必要があるのだ。
「仕事を割り振ったし、後は…」
「ルーク君。頼まれた魔導街灯できたよ」
「お、ナイスタイミング。早速、設置しよう」
「一応言っておくけど、陽が落ちて光を感知しなくなったら明かりが点くように設計されているから。動力として白の魔法石の欠片で1ヶ月、10グラムの魔法石で1年くらいは持つ感じね」
「今入れてあるのは?」
「白の魔法石の欠片よ」
「了解。じゃあ、どんどん設置していこう」
まずは、店の脇ごとに設置し、居住地区は家と家の間のごとに設置していく。
農地や家畜場にも設置してとりあえず明かりの確保は出来た。無論、村が拡大していけば魔導街灯の数も増えるだろうが、今は最低限にとどめておく。イザベラにはまだ頼みたいことが数多くあるからだ。
「イザベラ、水汲みポンプの方はどうなってる?」
「明日にはできるわよ。それと、温泉源発見器もできるわね」
「お、それは嬉しいな」
温泉の源泉がある場所を発見できる魔導器はあれば露天風呂も作れる。これは、村の発展に大きく役立つだろう。
「あの…領主様」
「えっと…確か定食屋の…リランさん?」
「はい。リランです。その…定食メニューの相談が…」
「メニューか…」
正直な話、この世界の料理は焼く・煮込む系の単純な料理しかない。まあ、不味くはないのだが飽きるのは確かである。うちではエリリンがいるので『地球の料理』も当たり前に作ってもらえているのだ。もちろん、俺も独身貴族を満喫していたころは自炊を当たり前のようにやっていたので、それなりに料理は出来るし、作れるメニューも豊富にある。
「やっぱ、揚げ物の定食をメインに丼物や中華系定食も欲しい。やっぱりここはエリリンにも師事してもらうほうが良いな」
定食屋は俺が、ちょっと豪華なレストランはエリリンに任せよう。そうなると、まずはアルド商店に行くか…。
「リランさん。まずはアルド商店に行きましょう」
「商店ですか?」
「はい。多分、使ったことに置ない調味料や香辛料や食材をたくさん揃えられますから」
アルド商店・ロイレン支店に向かう。店の中では店員たちが慌ただしく働いていた。
「あれ?領主様じゃないですか?今日は何様で?」
「ヴェル。調味料と香辛料の全種類を10ずつと、油を4樽。あと、食材を見させてもらうよ」
「じゃあ、用意しますね。食材は…オーラン、領主様を食材置き場に案内して」
「へい。領主様、こちらでやんす」
「うん。ありがとう」
猿獣人のオーランに案内され食材が揃う場所に行く。
「ここからが食材置き場でやんす」
「見たことのない食材がこんなに…領主様はご存じで?」
「まあな。お、ミーベイがある。これを6樽用意できるかい?」
「6樽でやんすね。ケリー、領主様の御用聞きを頼むでやんす」
「分かりました」
そう言い残し、オーランは店の奥に消えていく。ケリーはリザードマン(トカゲ人)の女性のようだ。
「ゴッロを21樽とキャロを1樽。ロギを1樽にベックを1樽とマイトーを1樽を用意してくれるかい」
「畏まりました」
すべてが揃うまで10分ほどかかりお金を払う。
「ヴェル。また仕入れを頼むよ」
「ミーベイは多めで?」
「ああ」
「承りました」
全ての商品を無限鞄に仕舞い店を出る。そのまま定食屋へと向かう。
店に着き、荷物を倉庫に仕舞いキッチンに立つ。
「それじゃあ、3つの料理を教えますか」
俺が考えたのは、とんかつ定食と唐揚げ定食にカレーライスの3つだ。
今後、メニューは増やすつもりだが一気に増やしても対応ができないといけないので通常の焼き物定食以外では3つが限度と判断したのだ。
「エリリンの神の料理術様様だな」
手際よく3つの料理の作り方をリランに教えていく。その上で、ソースを作ったりカレー粉を作ったり…と、この世界では作りづらい調味料や香辛料も簡単に作り出せた。そして、試食タイムだ。
「このブリフィのとんかつ、うめぇ~」
「このコッコォの唐揚げも最高だ!」
「このカレーライスと言う食べ物、辛いけど病み付きなる味です~」
リランに見習いシェフのコノエとホールスタッフのサクリアが料理を絶賛。まあ、言ってみれば『神のレシピ』の様な料理なのだから美味いのは当たり前。たとえ作るのが人並みのシェフでも十分美味しくなる。
「それにしても…このミーベイと言う食べ物はパンよりも合いますなぁ」
「特にカレーライスには欠かせません!」
「定食の主食はご飯の方が合うからなぁ…。まあ、煮込み定食はパンのほうが良いけど…」
「ミーベイを炊くと『ご飯』と言う呼び方に変わるんですか?なんとなくいい響きですなぁ」
「とにかく、今日から料理の提供を頼むよ。まずは食堂に慣れてもらわないとね」
「頑張って繁盛させますよ」
今はまだ4軒しかない食事処だが、貨幣が定着してもっと住人が増えていけば食堂も増えていくだろう。
とにかく、今は店と言うモノが村の住人に認識され定着させるのが1番なのだ。
「あ、ミーベイを1樽貰っていくよ」
「もちろん、良いですが…どうするんですか?」
「これで、『お酒』を造るんだよ」
「…『お酒』ですか?ミーベイで出来るんですか?」
「まあね。ただし、出来上がるまでに半年はかかるけどね」
これが上手く完成したら、酒造店を作るのも良いだろう。うむ。夢が膨らむな。
家に帰り、早速エリリンとお酒造りに着手するのだった。