アルド商会を救え!①
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精進して執筆します。
「…『拘束陣』!」
「う…動けねぇ」
「ま…魔法使いか?」
「早く…『抵抗呪文』を…」
俺は作戦通り時空転移で辿り着いた直後、『拘束陣』で盗賊たちの動きを封じる。
だが、魔法には永続するモノは無い。つまり…時間が経てば効果はなくなるのだ。
ただし、この『拘束陣』は使い手の魔力次第で長い時間持続できるのだ。
とはいえ、ここで魔力の全てを使いきるわけにはいかない。
俺がここでの足止めで使える魔力は5分ほどだ。
「…その必要はない。うぬらはここで皆殺しじゃ…」
「主の命により、成敗いたす…」
赤く輝く瞳に浮かぶは『殺意』の2文字。
そこにいたのは、ただの『殺戮者』となったアンリエッタとシーラだった。
「ギャアアアア……」
「グアアアア……」
「よ、よせ!ガアッ!」
「や、やめ―――グボッ!」
アンリエッタの剣が次々と盗賊を切り裂き、シーラの手刀が盗賊を貫いていく。
まさに、瞬殺にして惨殺。一切、容赦のない攻撃を前に盗賊たちはなす術なく死んでいく。
最後の1人になったところで俺は縄で縛りあげた。
もちろん、拷問のために…である。
「誰に雇われてこんなことをしたのかな?」
「フン。誰が言うか…」
「あ、そう…。シーラ」
「うむ」
俺の言葉でシーラはボキッと男の子指を折った。
「ギャオオオォォッ…」
「で、誰に雇われたのかな?」
そう言って俺はチラッと番頭を見ると、顔が真っ青になっていた。
やっぱりか…。
「…し、知らねぇ…」
「シーラ」
「ふむ」
今度は薬指を折る。
男は悶絶するが強引に顔を上げさせる。
「誰に雇われたかな?」
「知らねえって言ったら知らねえ…」
「あ、そう…。シーラ、腕を折って」
「うむ」
容赦なくシーラはボキリと腕を折る。
番頭はすでにガタガタと震えていた。
「今度は腕を斬るからね…。誰に雇われたのかな?」
「し…知らねぇ……」
「アンリエッタ」
「心得た」
バッサリと腕を切り落とされる男。
血が噴き出る。
すでに声にならない叫びをあげる男。
「次は無いよ。言っておくけど、ここで君を殺さない選択はないから。君でダメなら『死霊の森』にいるお仲間に聞くだけだから」
「…」
「さあ、これが最後だ。誰に雇われたのかな?」
「…ルッソ商会だ」
「それは、この番頭も知っているのかな?」
「し…知っている」
「そう。ありがとう。シーラ、捕まえて」
「ぐわあああ……」
シーラに腕を捻りあげられ悶絶する番頭。
すぐに縛り上げる。
「さて…このまま死なれると困るから、アンリエッタ…斬った腕を元の位置に」
「はい」
「完全回復!」
俺は回復呪文で盗賊の腕やれた指を治癒させた。
「今言った言葉…ちゃんと証言してもらうよ」
「フン…」
「ちなみに偽証したら死ぬ呪いをかけるからね」
「……」
男はただ青ざめる。
俺が嘘を言う人間かどうかはすでに分かっているから…。
「助けてもらってなんだが…君たちは?」
「パーティ・アークのルークと言います」
「同じく、アンリエッタです」
「シーラじゃ」
「俺たちはアルドリアに頼まれて『未来』から君たちを救いに来たんだ」
「…はい?」
「まあ、理解できなくていいよ。ようは君たちが生きていることが1番重要だからさ…」
「では、我々は先にグレディアの町に行きますが…あなた方は?」
「俺たちは、死霊の森にいる盗賊たちを始末したら向かいますので、後で冒険者ギルドで合流しましょう」
「了解した」
盗賊の男と番頭を引き渡し、俺たちは死霊の森に向かった。
今度は殺すためでなく捕まえるのが目的だが…。
この世界では賊行為をするものは殺されても何の問題もない。
なぜなら、賊は見逃せばより多くの人を殺すからだ。
そういう意味では地球の法制度は穴だらけと言える。
確かに、人を殺した人間を殺していいか?と問われれば『NO』だろう。
人は様々な理由で人を傷つける。
人を殺すのも様々な理由がある。その理由を『人殺し』のひとくくりにするのはどうなのだろう?
人殺しを容認するつもりは無い…。
だが…本当の意味で『人を殺す』と言うことの『罪』は一律であってはならないんじゃないだろうか?
たとえ1人の人間を殺したとしても、欲望で殺すのと仕方がなく殺すのとではそこにある感情が違うのだ。
俺はここでためらえば、この人間は多くの人間を不幸にすると分かっていたらその人間を排除するだろう。
そういう意味では、俺はもう地球人じゃないのかもしれない…。
だが、俺は聖人論者ではない。
目の前で殺されると分かっている状態で、殺そうとする相手を気遣うことなど自分自身の命さえ危険にさらす行為なのだ。
だから俺はためらわない。
俺は、自分の生きる糧のために人を襲う魔物うよりも、人を殺すことが悪いことだと知っていて人を襲うヤツらの方が本当の悪だと思う。
だから、俺は許さない。感情を持って悪を滅ぼすだろう。
俺は『覚悟』を持っている。
『人の命を奪う』ことで背負うであろう『罪』を…。
「2人とも、死霊の森にいる盗賊は全員確保するから」
「気絶させろ‥と言うのじゃな?」
「承知しました」
「ただし…死んでいる奴がいたら知らせてくれ」
「どういうことじゃ?」
「死霊の森で死ぬと…ゾンビ化するんだ」
そう…これが『死霊の森』と呼ばれる理由だ。
死霊の森で死ぬと、わずか数時間でゾンビ化するのだ。
どうやら、死霊の森に棲んでいると言う『リッチ』のせいだと言う噂があるが…事実である。
ただし、リッチに会うには『ある条件』をクリアする必要がある。
まあ、今は関係が無いので省くが、問題は『人に限らず…』と言うことなのだ。
つまり、死霊の森は文字通り死者が徘徊する森なのだ。
「そして、ゾンビ化を止めるには死体を燃やすしかないんだ」
「死体を森から離せば…」
「いや…それができるなら皆やっているだろう?」
「では…?」
「うん。死霊の森で死んだ時点でゾンビ化の呪いがかかるようになっているんだ」
「それは難儀なことじゃのう」
この『呪い』こそがリッチがこの森に仕掛けたものなのだ。
まあ…近いうちにリッチ退治をするべきだろう。
だが今は目の前の盗賊確保が急務である。
「では、盗賊確保と言うのは…」
「確かにゾンビ化を恐れてはいるけど…商会を潰すには1人の証言だけじゃあ不足だろう?」
「保険…と言うこじゃな?」
「…まあね。向こうが2手3手先を行くならこっちはさらにその先を行くまでさ…」
多分…いや、確実に先ほど引き渡した証人と番頭だけではトカゲの尻尾切りで終わるだろう。
だからこそ、こちらは相手が逃げられない証拠を突きつける必要があるのだ。
「さあ…始めるよ」
森を目の前にし、俺は気配を探る。
…いるいる。どんなに姿を消していても、殺気だけは消せないもんだ。
2人に目をやると、確実に感づいているなー…。
「じゃあ…やるよ?」
「いつでも良いのじゃ」
「お任せください、主」
「持続時間は10分。行くよ…『拘束陣』!」
半径1キロ四方が『拘束陣』によって動きを封じられる。
すでに2人の姿は俺の側には無く、次々に隠れている盗賊たちを気絶させていた。
しかし…どうやら俺の『拘束陣』をかい潜った者がいるようだ…。
「やってくれたな…若造」
「そちらも…よくかい潜れましたね?」
「離れたところで指示を出していたのが功を奏したわけだ…」
「なるほど…。じゃあ、アナタが頭目…と言うことですね?」
「だとしたら…どうする?」
「じゃあ…俺が相手をするよ」
「魔法を使っている状態でか?」
「まあ…良いハンデですよ」
「その余裕…気に入らねぇなぁ…」
俺は、『拘束陣』を持続したまま、男の方に向く。
まあ、左手が使えれば十分だけどね。
「死ねよ、オラッ!」
「…『身体強化』!」
頭目がダガーで斬りつけてくる。
しかし、俺は身体の身体能力を上げてそれを避けた。
「――き、消えっ!?」
「…『波動掌』!」
掌に集まった闘気を男の鳩尾に撃ち込む。
男の身体がズレるように揺れ、吹き飛ぶ。
これが『召喚術士の奥の手』。
『能力共有』である。
「召喚術士の俺は召喚者の持つ能力を使うことができるんだよ…」
これが、召喚術士だけが持つチート能力。
他の伝説級の職業をも凌駕するこの能力は、召喚カードの封印を解いたことで目覚めたの力なのだ。
しかし…この『能力共有』は、ゲーム時にはなかった仕様なのだ。
反則級の能力故に俺はこの能力を持つ『召喚術士』の職業を封印していた。
だって、便利すぎて他の職業を使うメリットが少なくなるのは、本末転倒な気がしたからだ。
「終わったようじゃのう」
「シーラの能力でね」
「主、こちらも全て捕獲しました」
「アンリエッタ、ご苦労様。じゃあ…グレディアの町に行こう」
捕まえた盗賊たちを引き連れて、俺たちは死霊の森をあとにする。
50人もの盗賊を連れてぞろぞろと歩く姿は、人々の『新たな噂の種』になった。




