337話 泡だらけなう
翌日――。
「飲み過ぎましたぁ……あうう、ピアさん……野菜スープを……」
「珍しいですね、マリルが翌朝まで残る飲み方をするなんて……いえ、待ってください。マリル、貴方寝ましたか?」
「さっきまで飲んでいました!」
ソファに寝転び、にっこり笑うマリル。彼女は俺にしなだれかかり、お酒の匂いをぷんぷんさせながらご機嫌だ。
ちなみに膝の上にはキアラ。まさかの三人で朝帰りということで……リャンが大きいため息をついた。
「はぁ……別に羽目を外すなとは言いませんが、もう少し節度を持って……」
「いや違うんですよピアさん! Sランカーの二人がすっごく美味しいお酒を飲ませてくれたんです!」
「だからたくさん飲んでしまったと?」
「はい!」
めっちゃいい笑顔のマリル。セブンとエース、最終的には一本で大金貨十枚以上の酒もバンバン出してたからねぇ……。
俺も初めて飲むような酒ばかりだった。流石は高給取りって感じだったね。
「いやー……でもSランカーを舐めてましたよ。あの人たち、すっごくペースが早いんですよね。私って焼酎は結構残っちゃいますから、大変でした」
「いえそういうことではなくて……ああもう、取り敢えず三人ともお風呂に入って来てください。その間に野菜スープを作っておきますから」
ため息をつくリャン。俺はソファから立ち上がり、寝こけているキアラを持ち上げた。
「ダーリンも大丈夫ですか? 私がキアラさんを持ちますか?」
「大丈夫。前にマリルに付き合った時と違って、一気飲みとかはしてないからまだ余裕があるよ」
美味しいお酒は悪酔いしないしね。
それに俺は途中、魔法で水を出して勝手に飲んだりしてたし……。
ちなみに一番異常だったのは、マリルの倍は飲んでるのに足元が微塵もふらつかなかったセブン。本当に異常を越えて異様だと思う。
「今夜は祝勝会の予定でしたが……延期にしますか?」
昨日は……というかさっきまでのは、セブン、エースとの祝勝会。俺達だけの祝勝会は今夜改めてやる予定だった。
俺はキアラを持ち上げながら、肩をすくめる。
「祝勝会はするよ。明日からまた動かないといけないからね。――昼には起きるから、それまで寝かせて」
「分かりました。ではさっさとお風呂に入って来てください。三人ともお酒臭いですから」
「「はーい」」
というわけで俺はマリルとキアラを連れて大浴場に。いつもならちゃんと沸かすのだけど、今日は面倒だから俺が魔術でお湯を出してお風呂を沸かす。
「マリル、キアラの服をお願い」
「はーい。……この変な服ってどうやって脱がすんですかね」
キアラのミニスカ巫女服の前に、ピタッと手を止めるマリル。すっぽんぽんの美女が、寝入っているミニスカ巫女服美女を抱えている姿は中々シュールだ。
「俺も脱がし方分からないし……もういっか、そのまま放り込もう。お湯に入れたら目を覚ますでしょ」
「お主は妾に対するリスペクトが足らんぞ」
「あ、起きたの」
浴槽に放り込もうとしたところでキアラが目覚める。そしてハラっと一瞬にして服を脱いでしまった。
一糸まとわぬ姿になった彼女を慌てて湯船に沈め、目を逸らす。
「キアラ、恥じらいが無いの?」
「ぷはっ。……お主も今は全裸ぢゃろうが。はぁー、初心なねんねじゃあるまいし。如何に妾が絶世の美女と言えど、そんなに顔を真っ赤にしてどうする」
「確かにキョウ君、行為自体は恥ずかしがらないですけど……私達の裸を見ると少し照れますよね」
いや一回見たとしても、慣れる物でも無いでしょ……。
一緒にお風呂に入るとかならまだいいけど、稀に着替えシーンとかにバッティングすると大慌てになってしまう。こればっかりはどうにも慣れない。
四、五年もすれば慣れるモンなんだろうか。
「はぁ……取り合えず体洗っちゃおうか」
「キョウ君、お背中流しますよー」
いつの間にかモコモコと泡だらけになったマリルが、俺を手招きする。彼女の前に座ると……何やら、ふにゅりと柔らかい物が背中にくっついてきた。
「……えーっと、その」
指摘していいものなのか迷っていると、マリルがやれやれと言わんばかりに背中から抱き着いてくる。
「こういうのも照れますよねー、キョウ君。まぁいつまでも初々しい方が好みですけど」
「マリルよ、お主がキョースケの性癖を歪めておらんか」
「私は全然そんなことしてませんよ!」
性癖が歪められたかどうかは置いておいて、取り合えずさっさと背中を流してほしい。
俺は水を操って触手を作り、身体を洗うスポンジを持つ。
「ほら、俺もマリルの背中を洗ってあげるから」
「わひゃっ! きょ、キョウ君! 驚かせないでください!」
「はいはい、さっさと洗って寝よう」
俺はごしごしと彼女の背中を洗い、ため息をつく。
……今日はマリルを抱き枕にして寝ようっと。
▽▲▽▲▽▲
夕方――俺は自宅の自室にて。
キアラ、シュリーと共にブリーダ、ホップリィⅡと向かい合っていた。
「ふあ……」
「眠そうデスね、ケイくん」
「……まぁ、オールしたからね。でも五時間は寝たから平気。――じゃあ、行くよ」
「おう、早くしろよ。ギッギッギ!」
俺とブリーダの間に置かれた、『契約書』と『盟約染滴』。白紙のそれに、契約内容とその効力を発揮するための呪文を書いていく。
ソウローズで作ったインク――『盟約染滴』は、実によく魔力が馴染んだ。真っ黒だがどこか透明感のある色合いのインク……契約魔法以外にもいろいろと使えそうだね。
……まぁ、俺は魔道具を作るスキルは無いんだけど。
「内容をチェックする?」
「いらねェ。ギッギッギ、どーせそっちに決定権があンだ。内容が違ってようがやるだけだぜ。ギッギッギ」
ブリーダは要らないサブスクを解約するの忘れそうなタイプだね。
何にせよ、出来た『契約書』に俺とブリーダが血を垂らす。するとそこに書かれた文字が光り出し――俺とブリーダの身体に吸い込まれていった。
そして数秒後、俺の魔力が一部ブリーダの魔力に食い込んで定着した。
……昔、キアラにお願いしてリャンの奴隷の首輪を、改造してもらった時に似てるな。
「……うむ、成功ぢゃ。安定しておる。気分はどうぢゃ」
「変わらないね。ブリーダは?」
「ギッギッギ! 良いモンじゃねェが、こんなモンだろ」
いつも通り笑ったブリーダは、ぐるっと腕を回してから自分の魔力の感触を確かめているようだ。俺の魔力が混じったから、魔術に影響がないか検証しているのだろう。
取り合えずブリーダの方は放っておいて、キアラに話しかける。
「次はホップリィの方をやろうか。シュリー、お願いして良い?」
「ヨホホ、お任せデスよ。『契約書』なんて初めて書くデスが」
そう言って、サラサラと書いていくシュリー。俺は一度全部書いてから改めて魔力を流し込んだが、シュリーは流しながら書いているらしい。
相変わらず器用だな、と思って彼女を見ていると……とんとんとブリーダに肩を叩かれた。
「なに?」
「ギッギッギ、『トラゴエディアバレー』にどうやって行くつもりだ?」
「前も言ったけど、俺達のチーム以外にSランカー二人が付いてくる。戦力不足?」
「誰と、じゃねェ。どうやって、だ。遠いんだぜ? 馬車なんか無理だしちんたら歩くのか?」
……交通手段か。
言われてみれば、一切考えていなかった。キアラの転移を座標指定で――というのも少し考えたけど、見えない所に転移するのは基本的にリスキーだ。
転移先がドラゴンの腹の中でも俺達は大丈夫だけど、今回はマリルも連れて行くし。
「空を飛んで行くつもりだよ。ずっとは飛んでいられないから、休み休みだけど」
俺がそう言うと、ブリーダはニヤッと笑った。
「空路! ギッギッギ、良いなァ! 魔族もこっちに来る時には、魔物に乗るんだ。ワイバーンなんかが手ごろだが……どうだ、オレがテイムしてワイバーンに乗るか? ワイバーンなら、空を飛ぶ魔物も迎撃出来るぜェ」
「――ワイバーン、そうかその手があったか」
大きめのトカゲ、もしくは小さめのドラゴンといった魔物。
言われてみればコイツは魔物使い。乗り物となる魔物を使役していて、っていうのは分かりやすい。俺の『筋斗雲』は、だいぶ強くなった今でも……数日間出しっぱなしは結構大変だからね。
俺は少し顎に手を当ててから、考えを巡らせる。
「魅力的な提案だけど、そのおかげで思い出したことがある。そうだよね、何かに乗って行って良いんだ」
乗り物に乗るって言う発想が無かった。馬車も運転出来ないし、そもそも馬車なら俺が飛んだりキアラが転移した方がよっぽどいい。
でも、乗り物に乗るんだと考えたら、この世界で誰よりも良い乗り物を用意してくれるヤツがいるんだった。
俺はキアラの方を向いて、ニヤッと笑う。
「志村に飛行機を頼もう。前に天川たち異世界人を乗せて別の街まで飛んで行ったらしいし、その時の機体を借りれるならすぐに用意出来るでしょ」
「ふむ、なるほど。それなら夜も飛んでいられるし、一々休む手間も無いぢゃろうな」
勿論運転手は交代する必要はあるだろうけど、志村製ならオートパイロットも出来るだろうし。
それに、兵器も積めるから魔物との対空戦も楽だ。
「ギッギッギ、ンだよ伝手があンのか。オレが用意してやろうと思ったのによォ」
「そりゃね。――っとと、シュリーもう書けたんだ。早いね」
「まぁケイくんが書いた物と同じ物を作るだけデスからね」
ふふん、と胸を張るシュリー。
念のため彼女が作った『契約書』をチェックするけど、一字一句文言に間違いはない。
シュリーが血を出そうとしたところで――ハタと気づいたようにホップリィⅡを見た。
「そう言えば……血、あるんデスか?」
「あ、そういえばゴーレムだっけ」
ホップリィⅡは、本物のホップリィの意識と記憶を植え付けたゴーレム。魔力はあるし魔術も使えるようだが、彼女は生身の人間ではない。
この『契約書』は――お互いの血を以って、契約相手を認識する。それが無いんじゃ、契約のしようも無いか。
「体液が必要なんじゃあなくて、お互いの魔力を認識させられればいいんでしょお?」
そう言いながら、ホップリィⅡはプチっと髪の毛を抜いた。そしてそれをキアラに渡す。
「確認して」
「……問題なさそうぢゃな。リューよ、お主も髪の毛を抜け。二人の髪の毛を細かく砕いて『盟約染滴』に混ぜれば血液の代わりになるぢゃろう」
「ヨホホ! 承知しました」
シュリーもプチっと髪を抜いて、キアラに渡した。それを受け取ったキアラは『盟約染滴』の入った瓶を開けて、中から数滴を宙に浮かせる。
そして二本の髪を空中で粉々にすると――宙に浮かせておいた『盟約染滴』と混ぜた。
「完成ぢゃ。そしたらコレで互いに名前を書けばよい」
「はぁい。えーっと……ねぇ、人族の文字分かんないんだけど」
イラっとした顔になるホップリィⅡ。俺はため息をついて、空中に水でホップリィⅡの名前を作り出す。
「こうかな。……ってか、Ⅱまで名前なの?」
「当たり前じゃなぁい……と言いたいところだけど、契約魔法にするならⅡは入れちゃダメでしょうねぇ」
「じゃあこう」
空中に『ホップリィ』と書いて、彼女がそれを真似してサラサラと『契約書』に記入する。
その様子を見ていたキアラが、少ししんみりとした顔で俺の肩に手を置いた。
「お主もいつの間にか、文字を書けるようになっておったんぢゃのぅ」
「……一年以上いるんだから、自然と覚えるよ」
記録兼日記として書いているノートは、既にこっちの文字で書くようにしている。一方、趣味で書き続けている小説はまだ前の世界の言葉だ。
ちゃんと書いておかないと、だんだん忘れていっちゃう気がするからね。この前、難波に会った時にこの話をしたら『たぶん俺、もう前の世界の言葉書けねえ』とか言っていた。
流石にそれは冗談だろうけど、難波ならあるいはと思わせる負の信頼がある。
「書けたわぁ」
「ではワタシも書くデスね」
サラサラとシュリーが『契約書』に名前を書き終えると――文字が発光して二人の中に吸い込まれて行った。
そして数秒後、シュリーの魔力がホップリィⅡの中に入り込んで定着する。
ホッとシュリーが息を吐くと、ぐにょっと顔を歪めた。
「誰かの魔力と繋がる感覚――正直、あまり良い物じゃないデスね」
「え、そう?」
「お主は『パンドラ・ディヴァー』で周囲の魔力を取り込んでおるから、慣れておるだけぢゃろう。他者の魔力と繋がる感覚に。……だからヨハネス魔法もすぐに使いこなせたんぢゃろうな」
「へぇ……そういう物なんだ」
言われてみれば、初期も初期……『パンドラ・ディヴァー』を使い始めた時は、誰かの魔力を取り込んだら頭痛がしていたっけ。
「違和感があるなら、調整するかのぅ?」
「んー……ヨホホ、まぁ安定はしているので大丈夫デス」
グルグルと肩を回すシュリー。
そして一方、ホップリィⅡは凄く楽しそうに踊っていた。
……いや、急に踊らないでくれ。
「ギッギッギ。どーしたんだよ、ホップリィ」
「ホップリィⅡよ、ブリーダ。いいえ……なんでしょうね、この感覚。ホップリィではない魔力が混ざったこの感覚……凄く、楽しい。やっと一つ、前の身体から進化出来たわ」
「そうか! ギッギッギ! じゃあ『シン・クローバー』はどうする?」
「やぁね、ブリーダ。流石にこれで『シン名』は名乗れないわぁ。でもふふふ、これなら新しい理論を構築出来るかも」
何やら凄く嬉しそうな二人。特に一切知らない単語まで出て来た。
キアラの方を見ると、彼女も肩をすくめて首を振る。ということは魔術、魔法系の用語じゃなくて魔族の文化系の用語だね。
「二人で盛り上がらないでよ。何、その……シンメイ? って」
「『シン名』だ。ギッギッギ、オレ達魔族は、魔族、もしくは自身を『進化』させ、『深化』させ、『真化』させ、『新化』させる義務がある。研究によってな」
魔族は国全体が魔法師……それも研究畑の連中が多い国だったね、そういえば。
「それを為した時、オレ達は魔族の古語から一つ選んで新たな名を名乗る。その儀式を『シン・クローバー』と言い、新たな名を『シン名』って言うんだ」
「魔族は名前や家族に拘らないって聞いたことがあるんだけど」
「そりゃそーだ。ギッギッギ、自分を産み落としたヤツが勝手につけた名に何の意味がある? だからオレ達は一定の年齢になった時に自分で自分に名を付ける。だが『シン名』は功績の証、オレ達の研究が世界を変えた証だ。そりゃあ拘るぜ。ギッギッギ」
だから『進化したよう』って言った時に『シン・クローバー』を勧めたのか。
ブリーダはニヤリと笑うと、自分の胸に手を置いた。
「ちなみにオレ様も『シン名』があるンだぜ? まぁ、まだ正式じゃねェから名乗っちゃねェが」
「正式じゃない? なんで?」
「評議会のメンツと最高位指揮者――つまり魔王様の承認がいるンだよ。ギッギッギ、『シン名』を名乗るだけなら自由だが、その名で呼んで貰うにはそのプロセスがいるってこった」
魔王様と、わざわざ言うブリーダ。
なるほど、キィターニじゃないってことか。
「まぁ何にせよ、私の研究はもう少しねぇ。ふふ、今度は三叉にも手伝ってもらうことがあるからよろしくね」
「……初耳だけど、負担がかからないなら良いよ。――それじゃあ、これで契約はオッケーかな」
「ギッギッギ。欲を言うなら、テメーじゃなくてレーンの野郎の方が良かったがなァ」
文句を言ってくるブリーダ。あの日以降、獣人族の村をよく見回りに来る――というか半分住んでる――ティーゾのことを、ブリーダはあまり好きじゃないらしい。
まぁだいぶ小うるさいというか、お爺ちゃんらしく結構しっかり注意するからねぇ。
俺も『AGのくせして細すぎる。もっと食え』と怒られた。いやこれでも常人の三倍から四倍は食ってるんだけど……。
「そもそも、この契約魔法自体……一定以上のレベルを持つ魔法師じゃないと結べないよ」
「そんなん、契約先だけ別人に移しゃいいだろ」
「そんなことしたら、お前らが乗っ取ろうとした時に防ぎようが無いじゃん」
嘆息。
ブリーダの言う通り、契約を行った後に……マスター権限だけ別人に移すことは出来る。でもマスターとなる人が魔法師じゃないと、こいつらが裏切った時に抵抗出来ない。
この辺のデメリットが、契約魔法が廃れていった要因でもあるんだろうね。
「ギッギッギ! 傷つくなァ、オレ達をもっと信用しろよ」
「街を一つ火の海に変えた連中をどうやって信用しろってのさ」
ヘラヘラと嗤うブリーダ。こうして癇に障る感じは、魔族だなぁと改めて思う。
そもそも……王都の復興も進んできているらしいけど、王都動乱の主犯であるブリーダが生きているのにトドメを刺していないこと自体が大問題になるのに。
「じゃあティーゾとホップリィの契約魔法が終わったら、準備をして……来週には出ようか」
俺が言うと、ブリーダがひょいと肩をすくめた。
「あー……言いづれェンだが、昨日星を読ンだンだ。したらちょっと面倒なことが起きてるっぽくてよ」
「何さ」
「ここ一年ぐらい、魔物が活性化して活発化してるのは知ってるな? それが原因なのかは分からねェが、『トラゴエディアバレー』でも魔物が異常発生することがあるンだ」
魔物が活発化してるのは、俺達がこっちの世界に来てすぐからずっと言われているけど……本来は、Cランク魔物すら滅多に出てこないらしいからね。
それが今はポンポンBランク以上の魔物が出て来る。
その異常事態が、『トラゴエディアバレー』でも起きていると。
「ギッギッギ、今回の異常発生は長そうだ。……つっても、だいたい三か月くらいで収まると思うがな。だから強硬するかどーかはテメェらに任せるぜ」
「異常発生って、どれくらいヤバいの?」
「そのタイミングでは、魔族も他国に行くのは控える。Sランク魔物がポンポン作れるようになったのに、間を空けて他国に攻め入っていたのはそれが原因だ」
……結構マズそうだね。
「それはタローとかとも話し合って、かな。三か月ならそんなに空くわけでも無いし」
「ヨホホ、他国も動きづらいということデスからね」
こればっかりは、俺単独で決めることじゃないね。
俺は頷いてから、取り敢えずパンと手を叩く。
「じゃあ、今日は一旦解散で。――俺はすぐ志村とタローと連絡を取るから、シュリーは皆を集めといて」
「ヨホホ、了解デス」
ビシッと敬礼する彼女の頭を撫でてから、ケータイを取り出す。
――さて、志村はすぐに出てくれるだろうか。




