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異世界なう―No freedom,not a human―  作者: 逢神天景
第十二章 愛円喜煙なう
340/396

300話 宝箱なう

前回までのあらすじ!

京助「ダンジョン名がやっと決まったよ」

冬子「まるまる一話使うとは思わなかったな」

キアラ「もうちょっとセンスを磨いたらどうぢゃ」

リャン「いい名前だと思いますが」

美沙「ゲームみたいだけどね」

シュリー「ああやってみんなで決めるのも楽しいデスね」

マリル「それでは本編をどうぞー」

 ただ、いきなりメインディッシュであるボス宝箱を開けるのもつまらない。俺たちはそれ以外の、ノーマル宝箱から開けることにする。


「欲しい物が被ったら話し合いで解決してね」


 ちなみに、中身はアイテムボックス系の物が多い。カード状になっていたり、ポーチのようになっていたり。俺たちの持つそれのように無尽蔵に入るわけでは無いけれど、見た目はこっちの方がカッコよかったり可愛かったりする。

 俺たちのこれ、ただの腕輪だもんね。


「あ、なんか変なの出た」


 そんなことを言って宝箱を開け始めると、さっそく変な物が出てきた。今まで出ていない物だが……ブーツのようだ。


「女性もののブーツ、ですかねー?」


「男が履いても構わんといえば構わんだろうが……何なんだそれは」


 冬子が俺からブーツを受け取り、しげしげと眺める。一見、普通の茶色い編み上げブーツだ。カウボーイとかが履いてそうな……ウエスタンブーツっていうんだっけ。


「履いたら空を飛べるようになったりして。冬子ちゃん、履いてみたら?」


「そうだな」


 そう言って、いそいそとブーツを履く冬子。


「うむむ……畳の上で靴というのに、違和感が凄いな」


「似合ってるよ」


 ちょっとはにかみながら、浴衣の裾をひらひらさせる冬子。トントンと感触を確かめるように数度、つま先で地面をつつく。


「このままファッションショーでもいいんだが……キアラさん、何か分かりませか?」


「見た感じ、魔道具であるのは間違いなさそうぢゃ。どれ」


 冬子が脱いだブーツをキアラに渡すと、彼女は少しだけ探るような目になってから……ふっと笑った。


「なんぢゃ、大したこと無いのう。装備しておると疲労を回復出来るようぢゃ。後は、放出したエネルギー……魂や魔力を回復出来る程度か」


「いやそれだいぶ大したことあると思うけど!?」


 実質的に俺の『パンドラ・ディヴァー』の相互互換じゃない?


「阿呆。神器ほど回復するわけなかろう。スタミナが二倍から三倍程度に増えるくらいと考えるがよい」


 それでもかなり凄い。


「誰が履く? って言っても、スタミナなら冬子かリャンかな」


 どちらかというと、冬子の方がエネルギーの消費は激しい。


「じゃあ私が履いてもいいか?」


「構いませんよ」


 しかしかなり幸先が良い。これならば、皆いいアイテムがゲットできるかもしれない。

 ……俺もそろそろ、武装を更新したいしね。


「アイテムボックス系の道具は、私たちは不要だもんねー。なんか、お洒落なネックレスとか欲しいなー」


「ミサちゃんは暢気ですねー。私は化粧水が欲しいですねー。今使ってるの、ちょっとお肌に合わないんですよー」


「いやダンジョンの宝箱から出てきた化粧水使いたい!?」


「……微妙ですねー」


 ため息をつくマリル。化粧水くらいいくらでも買うから、宝箱から出るのを期待しないで欲しい。


「ん? これは……なんだこれは。ネックレス?」


「ネックレス!? やった! ねぇねぇ、冬子ちゃん。どんなの出た、の……?」


 物凄く尻すぼみな声になる美沙。

 冬子があけていた宝箱から、キラキラと輝くネックレス……うん、ネックレス? が出て来た。普通はチェーンになっている部分が、全部ダイヤモンドになっているような悪趣味な成金ネックレスだ。

 ウキウキ顔だった美沙は即座に無表情になり、自分の宝箱開けに戻る。態度が露骨だ。


「それで、どんな効果なんですか?」


「分からないが……キアラさん、お願いできますか」


 冬子がキアラに渡すと、彼女はじっと見てから……にんまり笑った。


「これは氷魔法を強化するネックレスぢゃな。威力だけでなく魔力の効率や、操作性なども上がる」


 ということは、実質的に美沙専用アイテムか。


「氷だけに絞っておるから、かなり効果も強烈ぢゃな。さっきの回復ブーツもそうぢゃが、下手なダンジョンならボス宝箱並みのアイテムぢゃぞ」


「さすがはSランクダンジョン。良かったね、美沙。ネックレスだよ」


 はい、と美沙に手渡す。彼女はそれをチラッと見た後……半泣きになって俺に襲い掛かってきた。


「これを私につけろって言うの京助君!?」


 馬乗りになって無意味に俺の胸板をぺちぺちと叩く美沙。


「い、いやだって実質美沙専用アイテムみたいなところあるし……」


 よく見ると、ダイヤモンドだと思っていた部分は綺麗にカットされた氷だ。ひんやりとしており、キラキラと光を反射している。

 そう思うと、結構可愛いアイテムじゃなかろうか。


「いやダメでしょ!? もう、もう! こんな可愛くないネックレスなんてつけたくない! 京助君の前でこんな可愛くない格好したくない!」


「美沙は何をつけてても可愛いよ。はい、つけたげる」


「へ? あ、じゃあお願いします……」


「「「「チョロ過ぎる……」」」」


 皆の声が重なる。頬を染めてモジモジとする美沙は可愛いけれど、さっきまでの嫌がり方はなんだったのか。

 美沙が俺の上から降りるので、彼女の背後に回ってそっとネックレスをつけてあげる。


「……似合う?」


「………………美沙は、可愛いよ」


 うん、まぁ……戦闘時だけなら。

 俺はしっかり彼女の眼を見て答えたのだけど、美沙はむぐぐと頬を膨らませた。


「京助君のばか!」


「まぁでもいいじゃないか、美沙。強くなれるぞ」


「強さよりお洒落だよ……効果そのままでリメイク出来ないかな」


 ヘルミナなら出来るだろうか。メカメカしくなってもいいなら、志村に頼めばバッチリだろう。


「うーあー……なんで冬子ちゃんのブーツは可愛かったのに。いいもん、次の宝箱は……あ! なんか出て来た! 帽子だ!」


 美沙の開けた宝箱からぴょこっ、と出て来たのはとんがり帽子。赤みがかった黒……薔薇色が近いだろうか。

 シュリーのつけているそれよりも一回り大きい、魔女っぽい帽子だ。


「可愛いね、これ。ねぇねぇ、京助君。似合う?」


 パチン、とウインクする美沙。可愛いっちゃ可愛いのだけど、似合ってはいないかな。


「ヨホホ、どんな効果なんデスかねぇ。ちょっと貸してくださいデス」


 そう言って美沙からシュリーがその帽子を受け取り、被る。やっぱり彼女はとんがり帽子がよく似合うね。

 すると――ぼんっ、と帽子のさきっちょが燃え出した。


「ちょっ、大丈夫シュリー!?」


「へ? ああ……これ、熱くないデス。それどころか、物凄く心地良いデス」


 とうの燃えているシュリーがえらく落ち着いている。それどころか、瞳に炎が浮かんだ。なんで?


「んー……ケイくん、なんか怪我してないデスか?」


「怪我? してないけど……」


「私はさっき、ちょっと擦りむいたぞ」


 冬子がそう言って肘を見せる。確かに、少しだけ擦り傷が出来ている。

 なんだろう、異世界でオークだのオーガだのと斬った張ったしてる俺たちが、普通にぶつけて擦りむくことに違和感を覚える。


「ヨホホ、いい具合デスね。では……」


 そう言ってシュリーは頭で燃えている炎を触り、そこから炎を取り出す。

 ……なにを言っているか分からないが、とにかく彼女は炎を取り出した。そしてそれを冬子の擦り傷に当てる。

 すると……


「熱い!」


「熱いんだ」


「でも怪我が治ってる!」


 じゅう……と肉の焼ける音がしたかと思うと、冬子の肌が綺麗に治っていた。それどころか、なんかいつもよりすべすべになっている気がする。

 シュリーが燃やしたところを撫でると……うん、いつもよりすべすべで撫で心地が良い。


「ツルツルだね」


「喜んでいいんだろうかこれは」


「ヨホホ、どうも炎を治癒の炎に変換出来る帽子のようデスね」


 治癒の炎か……。


「これまで回復は薬とキアラに頼りっきりだったけど、シュリーも回復を使えるのは大きいね」


「とはいえ、過信は出来ないデスね。キアラさんみたいに、切断した腕をくっつけたりは出来ないデス。あくまで応急処置程度と思った方がよさそうデスね」


 それでも、前線で戦っている時に応急処置が出来るかどうかはかなりデカい。この前のように分断されないとも限らないし、ヒーラーが増えるに越したことは無い。

 デバフにヒーラー、それに加えて新造神器……。


「だいぶ派手に盛ってきたねぇ」


「ヨホホ、基本的に戦い方が地味デスからね。そろそろ存在感を出していかないとデス」


 うんうんとうなずいているシュリー。どうも頭の炎は任意で出し入れ出来るようで、もう消えている。

 ……燃えっぱなしじゃ困るし、当然か。


「なんて話していたら、こんなの出て来たデスよ」


「へ?」


 新装備を手に入れたシュリーが、意気揚々と開けた宝箱に、何か入っていたようだ。それはナイフ、かな。


「ナイフってことは、ピアか?」


「普通に使うとすれば、私でしょうね。どんな効果なんでしょうか」


 今リャンがもっているナイフは、『雷刺』というダンジョンで出たモノ。それに糸を出す能力を追加で付与してある。

 マーキングしたところに転移する能力があり、彼女のバトルスタイルとも相まって非常に強力な装備だ。


「これは……アイテムボックスぢゃな」


 ナイフを持ったキアラがそう言うと、皆に白けた雰囲気が流れる。もう既に十個以上出ている物が出ても、正直テンションは上がらない。


「しかもナイフしか入れられんようぢゃ」


「じゃ、次行こうか」


「まぁ待たんか。これは中々の物ぢゃぞ。ボス宝箱並みぢゃ」


 ナイフしか入れられないアイテムボックスが、だろうか。

 俺たちが小首をかしげていると、キアラがニヤッと笑う。


「これは中に入れたナイフが、すべてのナイフの効果を共有するんぢゃ」


「…………えっと、じゃあ一本でも火属性攻撃のナイフを入れたら、入れたナイフが全てそれを付与された物になるってこと?」


「そういうことぢゃ。ピアの場合であれば、すべてのナイフが糸を出す能力を持ち、マーキングされた状態にすることが出来るわけぢゃな」


「おお……凄いね、それは」


 全ての能力を共有するアイテムボックスか。確かに、それならばボス宝箱並みの能力と言っても偽りが無いだろう。

 リャンはさっそくそれに『雷刺』を入れたらしい。するとどうだろう、別のナイフを中に入れてから取り出しただけで、糸を発射できるようになっている。


「えー! 凄いね、これならナイフを投げただけで相手の背後にはいったり出来るじゃん!」


「卑劣斬りが出来るな」


「冬子ちゃん、卑雷神斬りだよ?」


「どっちも違うから!」


「私としてはもっと決め手になるような魔道具が欲しかったのですが……」


「じゃあ爆弾になるナイフとか入れておいて、一本突き刺したら二本目以降が連鎖的に転移して爆撃していく……みたいな必殺技は?」


「互乗○爆札じゃん」


 もうNARUT〇推しはいいよ!


「でもそれはいいアイディアですね。アンタレスに戻ったら、ヘルミナさんに提案してみましょうか」


 採用されちゃったし。

 まぁでも、彼女の攻撃に火力が加わるなら頼もしい。そんなこんなで再び宝箱を開けていると、リャンがちょっと嬉しそうな声を出した。


「む、見たことが無いものが出てきました! なんでしょうかこれは。箱……?」


 そう言って彼女が取り出したのは……俺の腰ほどある大きい箱。真っ白で、上部が開くようになっている。

 中を開けてみると、アイテムボックスになっているようだ。そしてボタンが四つ。


「……なんだろう、これ。キアラ、お願い」


「お主ら、自分で使ってみて探るとかそういうことはせんのか」


 面倒くさいし。

 というわけで鑑定人キアラにお任せすると、彼女は興味なさげに肩をすくめた。


「中に入れた洋服が、清潔になった状態で出てくる魔道具のようぢゃな」


「……洗濯機ってこと?」


 俺の問いに、こくんと頷くキアラ。


「試してみるかの?」


「じゃあ私のハンカチでー」


 マリルはそう言って、ハンカチを洗濯機に放り込む。

 数瞬で中から出て来たそれを見たマリルは……目をキラキラさせて下着を天に掲げた。


「おお……ちゃ、ちゃんと洗われているし乾いているし、しかもしわ一つ無い! す、すごいです! こんな……こんな奇跡が……!」


「な、なんぢゃ。妾の魔法洗濯を批判したのに、魔道具は良いのか」


「いやこれクオリティが段違いですから! 凄い……! きょ、キョウ君! これ持って帰っていいですか!?」


「俺たちがゲットしたものだから、当然持って帰っていいよ。でもこれでお洗濯の手間が減るね」


 我が家は七人家族、毎日暮らしていたら洗濯物はとんでもない量になる。それをお風呂に入っていた時に洗ってたんだけど、その手間がなくなるのは大きいね。


「でも洗濯機が出るとはね。この調子で食洗器とか出てくれないかな」


 でもそれくらいだったら、志村にお願いしたら作ってくれそう。

 それから暫く開封を続け……生活の質を向上させるものや、戦闘に有用なものはあったが、取りあえず個人専用になりそうなものは出てこなかった。


「ラストは……あ、これキョウ君使います?」


「え? ……お、万年筆か」


「インクが無くならん物のようぢゃな」


 ラッキー。これで小説を書くのもはかどる。

 この宝箱が最後だったので、いよいよボス宝箱の番だ。


「じゃ、ボス宝箱だけど……これ、どんな凄いの出るんだろうね」


「普通に出て来たものが下位ダンジョンのボス宝箱並みだからな。私の持つ刀のように、異様な威力の斬撃をポコポコ連射出来る剣とかが出て来ても驚かんぞ」


 冬子の持つ剣は、Sランク魔物の討伐部位から作られているもの。でもSランクダンジョンをクリアして手に入れたものだから、そのくらいの能力はあって欲しいね。


「じゃあどっちがいい?」


「私は京助君が倒したボスの方がいい」


「では、私は四人で倒した方で」


 彼女らの希望通りの物を渡す。美沙は待ちきれないという風にボス宝箱を床に置く。


「さーて、私はどんな物が出るかなー。ここは一発、必殺技みたいなのが出る奴が欲しいなー」


「そんな一発芸みたいな武器でいいのか?」


「私も京助君たちみたいに必殺技をボーンって撃ちたいもん」


 いや、どちらかというと美沙はかなり必殺技が多い方だと思うんだけどな……。俺とか、必殺技らしい必殺技、いまだにあんまり無いし。


「というわけで、じゃーん!」


 ぱかっ、と開けると……そこには、ブレスレットが入っていた。チェーンの部分は金色で、銀色の蝶の形をしたパーツに水色の宝石が挟まっている。


「シンプルだけど可愛いブレスレットですね」


「これ、どんな効果なんだろ」


 そう言って美沙が装着して魔力を込めると……ひゅん、と氷の杖が彼女の手の中に握られた。よく見ると、ブレスレットに嵌っていた水色の宝石が消えている。


「わっ、凄い。持ち運びしやすい杖だ!」


「でもアイテムボックスがあるから、俺たちにはいらなくない?」


「……京助君、そうやって正論をぶつける場面じゃないと思うよ」


 じろっと美沙に睨まれる。


「どんな能力があるんだろう。魔力流してみたら発動するかな?」


 そう言って美沙が魔力を流すと――彼女の目の前に四枚の盾が表れた。ホームベース型で、ひゅんひゅんと彼女の周囲を回っている。


「そんな魔法使えたっけ?」


「ううん、使えない。私は魔力流しただけ。でも、おお……これは! 地味だけどタンク役にはピッタリじゃない!?」


「志村からシールド発生装置貰ってなかった?」


「あれはスカルエンジェルと戦った時に何の役にも立たなかったし壊れちゃった」


 あいつは強かったし仕方ない。


「どれくらいの強度があるんだろうね」


 そういって俺がその盾を殴ると……パリン、と簡単に砕けてしまった。あれ、軽く殴っただけなんだけどな……。


「強度弱く――」


 ない? と聞こうとした次の瞬間。その割れた盾の破片が俺に襲い掛かってきた。


「うおっ!?」


 咄嗟に炎の魔法でそれらを燃やし尽くす。あまり勢いが無いから助かったけど……


「あわわ! 京助君、大丈夫!? ごめん、私は何もしてないんだけど……」


「オートでやるのか……」


 これは接近戦で戦っている時にやられたら鬱陶しいかもしれない。だけど、生み出されたのは魔法の杖だ。つまり、魔法師が魔法を打ち合う前提の武器なわけで…… 。

 俺は残っている盾に軽い魔法を投げてみる。すると、割れることなく即座に跳ね返ってきた。


「これは強いね」


「魔法戦でも強いし、懐に入られてもカウンター出来る。……地味なんだけど」


 不満げな美沙。


「まぁいいじゃありませんか。今回はオチ担当ではなかったようですし」


 苦笑するリャン。


「どこまで敵の攻撃をガードできるかにもよるが、相当強いんじゃないか?」


「ヨホホ、杖の能力も高いと良いデスねぇ」


 杖は魔法を使う時に必要な能力全般的にバフがかかる道具みたいなものだしね。


「ふふ、では私も開けてみますか」


 リャンは床にボス宝箱を置き、開ける。中から出てきたのは――ピッチりとしたボディスーツ。腕や足の部分は網タイツになっており、肩と腋の部分だけ布がない。

メイン部分(?)はハイレグになっていて、わき腹と谷間の部分も網タイツになっている。肌が完全に露出するという意味での露出度は高くはないが明らかにエロい。

 まぁ、対〇忍スーツみたいな感じだ。


「…………………………なんですかこの破廉恥な服は!?」


 絶叫するリャン。絶叫しても仕方ないと思う。


「こんなの、ダーリンと夜にエッチするときにしか使えませんよ!」


「えっ」


 それ使うんすか、リャンさん。


「どう見ても防御力無いよね、その恰好」


「そうですよ! こんなもの、私は――」


「まぁ待たんか」


 にゅっ、と背後から現れたのはキアラ。彼女はそのエロスーツを手に取ると、ニヤッと笑う。


「凄いのぅ。魔力を充填することで、常時スピードアップと身体能力強化、そして魔力防御による耐衝撃性のアップ。さらに必要に応じて充填されている魔力を使うことで、肉体を覆う防壁を出したり、超スピードで動いたり、高出力のビームを発射したり出来るようぢゃな」


「えっ、凄い! 私の地味な杖より派手でかっこいい能力!」


「ではミサが着てください」


「や、私は近接戦闘しないから」


 さっと手のひらを向けて拒否の意を示す美沙。梯子の外し方が華麗すぎる。


「な、なら……! そもそも魔力があること前提の防具! それならばトーコが着るべきでは!?」


「私は本気になったら侍モードで衣装が変わるからな。着る意味がないぞ」


「…………リュー!」


「わ、ワタシも近接戦闘はしないデスし……」


 ひきつった笑顔を見せるシュリー。リャンは半泣きで俺を睨むと、バシッと胸にたたきつけてきた。


「では、ダーリンが!」


「いやぁ……これ、どう見ても女物だし」


「防具の性能が良ければ、女物かどうかなど些末な差でしょう!」


「ならなおのことリャンが着るべきじゃない?」


「あうっ……うう……! こういうお色気オチはミサの特権のはずでは……!」


「最近、私がその手の役回りにされ過ぎて、マンネリ化してるからじゃない?」


「メタな発言ありがとうございます! い、嫌ですこんなエッチな格好をダーリン以外の前でするなんて……!」


「普段は別の服を上からきておいて、本気になるときだけ脱ぐとかじゃダメなの?」


「それでも構わんぢゃろうな。戦闘時だけ上着をパージすれば、邪魔にもならんぢゃろう」


 それはそれでキャストオフって感じがしてかっこいいね。


「嫌です……! うう……これはダーリンとのエッチ用です! そう決めました!」


「いや戦闘で強いんだから使った方が……。マント、新しいの買ってあげるから」


「神は私を見放しました……!」


 エロスーツを抱きしめて、膝から崩れ落ちるリャン。普段からビキニアーマーみたいなので戦ってるのに、これは恥ずかしがるのか……。


「妾は別に見放してはおらんぞ」


 身内に神がいるとややこしい。

 何はともあれ――皆、一定以上の収穫を得て、宝箱開封は終わったのであった。

天川「俺たちも武器の更新、したいな」

井川「お前は神器があるだろうが」

難波「むしろ俺も神器欲しいぜ」

京助「武器の更新しなくて済むから楽だよ」

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