休日
日曜日。
課外自体が休講となるため、悠人は自室でのんびり音楽を聴いて過ごしていた。
放課後、という綾乃の言い方的にも、祝日は悠人の自由時間にしていいようだ。
自由時間という言い方をしたが、そこまで束縛されているという意識がある訳でもないのだが。
むしろ、次に何をするのかが今から気になっているくらいだ。
ふと、ベッドに目をやる。
あそこに綾乃が寝っころがっていたのか……昨日の夜は色々夢想して、無駄にドキドキした。
正直な話、昨夜は布団の匂いをかぎながら、した。
ーー仕方ない、悠人は性に多感な男子高校生なのだ。
布団を手に取り、悠人は頬ずりする。
ーー仕方ない、悠人は性に多感な男子高校生なのだ。
布団に顔を埋めたまま深呼吸していると、綾乃の残り香がする(ような気がする)。
きっと端から見れば、自分の下着の匂いを嗅いでる変態と同レベルだろう。
がちゃり。
外からドアノブが回される音に悠人が振り向くと。
「おっす!元気してた、か……、」
ドアを開け放ったままの状態で、綾乃がこちらを凝視していた。
「違う…俺は何もしていない…」
がちゃり。
表情を消した綾乃はそのままバックし、静かにドアが閉ざされたのであった。
「お前の犯した罪を告白しろ」
「私めは、綾乃さんが寝ていた布団の匂いを嗅いで興奮していた業の深い男でございます…」
フローリングに座り込んで向かい合う悠人と綾乃。綾乃がベッドに座っていない理由は…あえて説明はすまい。
そこまで広い部屋ではないが、二人の間には広く間合いがとられているーーそう、ちょうどギリギリ襲いかかれるかどうかという距離。
「えっと…もうちょっと近くで話さないっすか」
「ヤダ」
いつでも離脱できるように、綾乃は抜かりなくドアの前を陣取っている。
明確な拒絶を示され、しゅんとする悠人。
「オ、オレの匂いが好きなのかよ」
「それはもう」
「!…そ、そうか」
そこで即答する悠人も悠人だが、満更でもなさそうに頬をそめる綾乃も綾乃だった。
「ところで、なんで綾乃さんが日曜日に俺んちにいるんすか?」
突っ込むタイミングを逃したが、本当なら一番最初に聞きたかったことだ。
「やることなかったかんな、ちょっくら寄ってみたんだ。お前のお母さんと話して上に上げてもらったんだわ」
「なんだよ母さん、声かけてくれたらいいのに」
「いや、結構な声で呼びかけてたぜ?オレはてっきしイヤホンで音楽聴いてんのかと思ってたけど」
どうやら周りの音が聞こえなくなるほど匂いに意識を奪われていたらしい。
悠人の表情をみて、綾乃が若干怯えの色をみせる。
「頼むからフローリングの匂い嗅ぐのは勘弁してくれよな」




