交換条件
「さぁ、さっきの件に関して。詳細な説明を要求させてもらうわよ」
「いや…よく喋るクラスメイト、以上の説明が存在しないと思うのだが」
ところ変わって放課後のサイゼ。
詩織から急遽呼び出しを受けた悠人は、パスタを口に運びながら目の前の茶髪女子からの質問に答えを返す。
「むしろ、この前の理不尽な暴力に対する説明を求めたいところなんだけどな」
「ふん、見知らぬ男に身体を触られたのよ?これは立派な正当防衛と言っていいんじゃない?」
「お前と綾乃は最も性別を盾にしちゃダメな人種だろうが!」
綾乃を話題の俎上にあげた瞬間、詩織の眉がぴくりと反応する。
「ていうか何?アンタ達付き合ってんの?」
「つ、つつつ付き合ってねえし…」
「綾乃が選んだのがこんな『歩く発情期』だなんて。ちょっと見損なっちゃった」
「勝手に変な二つ名を付けるな!」
悠人の言葉などどこ吹く風といった調子で、詩織は器用にナイフとフォークを動かしハンバーグを口に運ぶ。
「ならば、逆に問おう…お前、和也が好きなのか?」
「……ッ‼︎」
「お前…最初から俺を利用して和也に取り入るつもりだったろ」
「そこまで分かってるなら話は早そうね。で?交換条件は何をお望み?」
「綾乃を避けるようになった経緯を教えてくれ」
「…… はぁ」
諦念をにじませた表情で、詩織は髪を掻き上げる。
「あなたが思っているよりもずっとくだらなくて、どうしようもない昔話よ。それでも構わないの?」
「あぁ、それでなにか糸口が掴めるのなら」
目を閉じて一呼吸ついたのち。
詩織は静かに語り始めた。




