真相
「詩織が助けにきてくれたとき、本当に神様が手を差し伸べてくれたんじゃないかって…この人に、自分の人生を捧げてもいいって、そう思った」
そのときの状況が目に浮かんでいるような、そんな穏やかな笑みを浮かべて綾乃は語る。
「それからは、ずっと詩織と一緒だった。詩織は正義感が強くて、なんでも容量よくこなして。あの頃のオレにはものすごく眩しかった。そんな詩織みたいになりたくて、オレは詩織と同じ道場に通い始めた」
道場の練習は体力のない綾乃には大変つらく、毎回のように涙を流す彼女を詩織はいつも励ましていた。
「何度も死にそうな程きつい思いをしたけど、あの時の苦しみがなければ、今のオレはここにいない」
「結局…綾乃をいじめてたやつらはどうなったんだ?」
「それからは手をだして来なくなったよ。要は、やつらは自分に自信がなさそうなやつに目をつけるのさ。確実に強くなっている実感に自信をつけたオレは、少しずつ人と接することができるようになった。友達もそれまでとは段違いに増えたし…何もかも詩織がくれたものなんだ」
「そんな気の置けない友達だった二人がなんで今みたいになってしまったのか、綾乃は思い当たることがないのか?」
「きっと、愛想をつかされたんだと思う」
「どういう事だ?」
「オレはいつも詩織に頼ってばっかりだったから。オレの人生は、言ってしまえば詩織の模倣なんだよ。自分がいないと何も出来ないオレを見て、詩織は呆れてしまったのかもしれない」
ふと、悠人の脳裏に一つの疑いが浮かぶ。
「もしかして、この学校に入ったのって古賀と関係があるのか?」
「あぁ、詩織の志望校だったからだよ」
「その…髪を染めたのは」
「詩織が、高校入ってから染めたから」
「追っかけもそこまで来るとストーカーだよ‼︎」
ミス駒草、ヤンキー変貌の真相が思わぬところで明らかになったのであった。




