友達
「やめなさい」
怯えから閉ざしていたまぶたを開くと、そこには、一人の女子生徒が立っていた。
「その子から、その手を離しなさい」
時の流れに一瞬の空白が生じ、突然の闖入車に一斉に意識の矛先が向けられる。
「は?何いってんの?ボコすぞ」
がたいのいい男子が立ち塞がった直後ーーその女の子が動いた。
鳩尾に強烈な一撃をもらった男子はその場にくずおれて微動だにしなくなる。
こちらに歩いてくる女の子の鋭い眼光に見据えられ、男子委員長を除いた一団は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
「こ、古賀…同級生殴ったりしてただで済むとおもってんのか」
「アンタは逃げなくていいワケ?早く行かないとその口きけないくらい痣だらけにしてあげるけど」
「くっ…ナメんなァ‼︎」
駆け出した男子委員長の大振りな攻撃を躱し、その顎にカウンターの一撃が叩きこまれる。
その場にへたり込んだ委員長は、揺らされた頭で迫りくる詩織を見上げた。
「う……ぁ…ぁあああああああ‼︎」
よろめきながら走り去る委員長の後ろ姿を見送り、詩織は綾乃にほっとしたような笑顔を見せる。
「もうあいつらはいなくなったから怖がらなくていいわよ。白石さん」
「う、ひぐっ…」
「怖かったね、ごめんね、今まで助けてあげられなくて」
泣きじゃくる綾乃を抱きしめ、彼女は言った。
「誰もあなたの味方をしなくても、私だけは、あなたの『友達』でいてあげる」




