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イチャイチャ
「しくった、タオル持ってくんの忘れた。ハンカチがもうびしょびしょだ」
「はい」
手でパタパタと顔をあおぐ綾乃に、悠人は二人分用意しておいた汗拭きタオルを手渡す。
「随分気がきくじゃん、悠人」
綾乃が汗を拭いはじめたのを見て、悠人は密かに口の端を歪める。これで労せずして、綾乃のフレグランス付きタオルの完成だ。
もちろん、それを彼女に悟られるようなことは言わない。後は黙って下山したのちに回収すれば大丈夫だろう。
「あ、これ洗濯して返すから」
「なん…だと…⁉︎」
「お前の企てぐらいとっくに看破してんだよ」
高級料理を床にぶちまけてしまったような表情で、綾乃がにぎるタオルを見つめる悠人。
「むぐぐ…」
綾乃は顔を赤くして身を震わせると、悠人の後頭部をがっしりと掴んで彼の顔面を乱暴にタオルで拭ってきた。
「ちょ、痛い!鼻がもげる!」
「お前は少し節操ってやつを覚えやがれ!」
イチャイチャプレイも、綾乃の手にかかればSMプレイに様変わりだ。
この荒れ狂う布繊維の殴打に耐えれば、顔面に綾乃の芳香成分をコーティングすることが出来る…悠人の精神はどこまでもタフだった。




