三人
悠人宅にて。
綾乃の指導を仰いで、悠人と和也は夏の課題を終わらせにかかっていた。
やはり彼女の学力は伊達ではなく、物わかりのいい和也、そして要領がイマイチな悠人のどちらにも対応した柔軟な教え方ができるのだった。
人に教えて始めて自分の無知を知る、というのはよく言われること。
その点で言えば、綾乃の理解度は掛け値なくトップクラスと言えるだろう。
「贅沢な家庭教師だなぁ…これで胸に起伏のある清楚なお姉さんだったら良かっムグッ⁉︎が、ガボォ‼︎ッ‼︎………………………………………………………、」
「勉強は静かにやんねーとな」
抉れるような鳩尾を喰らい、和也は一時的に心音一つ立てずに沈黙した。
「なぁ悠人、俺は一つ気になることがあるんだ」
悠人の隣に回り込んで、耳元に顔を寄せてくる和也。
「ぞわぞわするから息吹きかけんな。俺に質問しても何も教えられないぞ」
「ちょっと視線を上げてみろ」
「!」
対面でベッドに胡座をかいて座っている綾乃の黒ストッキングの奥が、見えそうで見えない際どい角度にある。
「あれ多分もう少し屈めば見えるぜ」
数式を解いて前かがみになっているように装って、和也は少しずつ目線をスカートの中へとずらしていく。
あと少し、あと少しでパン………。
パンチ。
「ボゴオ‼︎ひ、やめ、いやぁあああああああああああああ‼︎‼︎」
その後和也は目も開けられないほどの青あざを顔面いっぱいに作り、その日の勉強はおじゃんになった。




