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5話 迷いの森-2-

 それから現われる雑魚キャラを軽く蹴散らしながら森の奥へと進む。

 最も、特に俺は戦っていない。どうしているのかというと、また訳のわからん魔法を自分で勝手に作り『戦う』という事をしない勝ち方をしているだけである。

 例に挙げれば、道中に現われた森の狼さんとの遭遇。俗に言う『ウルフ』というやつか。

 いきなり戦闘モードのウルフ。やる気満々です


「これまた、めんどうな――」


 隣に居たシエルが覇気の無い俺に言う


「何を悠長に言っているの? あんた素手でしょ? 武器とかないの?」

「ふっ、こんな一匹狼などに無駄な労力を使ってられんのだ」

「いゃ…… 敵を前に言う台詞じゃないと思うけど?」


 シエルは心底呆れ返っていた


「ドラゴンに比べれば、こやつなどヒヨッコ同然だ」

「言っとくけど、私は戦わないからね? というか、戦えないけど」

「まったく、つかえん。戦えない仲間が居ても何の戦力にすらならん」

「それ以前に勇を仲間と思いたくもないわ……」


 はぁ、と溜息を吐きながら言い返すシエル


「ん? いま、俺のことを名前で呼ばなかったか?」

「えっ? き、気のせいよ! バカ!」

「なるほど…… 脈ありとみた」

「アホか!」


 そんなことを二人で言い合っているところへ何故か申し訳なさそうに、ゆっくりと近寄ってくる狼さん。どうやら、シエルと俺との話がいつまでも終わらないものだから狼さんは、襲いかかるタイミングを失ってしまったらしい。もはや、現われた時のウルフとしての風格はどこにも無く本当の意味で普通の『狼』になってしまっていた。

 シエルとの会話に一区切りつけると俺はようやくウルフの存在に気付く


「なんだ? またモンスターが出やがった」

「またというか、さっきから居たわよ」

「マジで?」


 もはや、モンスターの存在すら忘れてしまっていた

 そんな事はどうだっていいと俺はウルフと対峙する


「おい、そこの狼。勇者としてお前に選択権をやろう。毛皮を剥がされて俺の防寒具となるか、切り刻まれて鍋料理にされるか、好きな方を選ぶがよい」


 俺はウルフに向い力強く指差すと誇らしげに言い放つ

 その台詞に隣に居たシエルは呟く


「そんな選択肢を言っている方が、よっぽどモンスターに近いわね……」


 それ以前に、モンスター相手に言葉が通じているのか不思議だがウルフは顔を真っ青にしながら森の奥へと逃げて行った。言葉が伝わったのか、雰囲気が伝わったのか、どちらにせよモンスターは居なくなり道は開いたわけである。


「ほら見ろ、あんな雑魚キャラは勇者の相手にもならん」

「あれは逃げただけでしょ? 物理的でなく精神的な攻撃で勝つとか、呆れる程に凄いわね……」


 またしても、モンスターの敵前逃亡という形で勇者は勝利したのである


「さて、何だか敵も多くなってきたが恐らくドラゴンが近いということなのだろうか?」

「まぁ、可能性としてはあるわね」

「ならば先を急ぐ…… いや、マッタリ行くか」

「マジでやる気あんの?」


 そんな事を言いながらシエルと二人、さらに森深くまで足を踏み入れて行く。

 ドラゴン到達まであと少し……?


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