第九話 霊能太郎と闇鍋祭り
前回のあらすじ!
暗黒超大魔王を倒すためにたちあがった男、佐悟は自慢の高級麻雀パイをたくみに駆使して奇跡のタイミングを狙いつつ長座体前屈をやってのけた!!
だがしかしそれをけして認めないと断言するレフェリーの赤青さんが右斜め上から現れる!!そんな赤青さんと佐悟さんは突然出てきた回転寿司のレーンに戸惑うしかないのであった!!
まぁ嘘だが。
そんな訳で闇鍋がまだまだ続いている・・・
第九話 霊能太郎と闇鍋祭り
三番手、さっちん
どうするどすぇー。別に深く考えなくても適当で大丈夫そうどすなぁ・・・まぁとりあえず取るどすぇ・・・
そしてさっちんが掴んだものは・・・・
・・・・・・卑猥な形のキノコ!!!!
『ふははははは!!!誰が一つしか入れてないと言ったぁ!!この僕をなめてはいけないよ!!!さぁ食べるんださっちん!!おいしそうにほおばる姿を見せておくれ!』
「馬鹿が復活したっです・・・」
『さだこちゃん?嫌なら別に食べなくてもいいのよ?』
『なにを言っているのだくっちー!!闇鍋だぞ?食べないといけないに決まってるだろうがぁぁ!ヒィィィヤッハァァァ!!!』
蘇我のテンションは限界突破している。
それに対し、肝心のさっちんは何もしゃべっていない・・・
『ほらほらどうしたんださっちん!!早く食べ』
ベキッ!!メキャメキャァ!!グチャ。
なにかが粉砕するような音が部屋に響く。
『あ、これ味は悪くないどすなぁ』
そこにはキノコを砕いて潰してから食べるさっちんの姿が!!
『「・・・・」』
男二人は痛そうな顔をして一箇所を抑えている。こうして蘇我の陰謀はもろくも崩れ去った・・・。
四番手、ツキミ
あたしの番っですか・・・いままででまだまともな食材が出てきてないっですねぇ・・・ふざけすぎでしょうみなさん・・・この流れだとあたしも変なのがきそうっですねぇ・・・
でもおびえていても始まりませんし、やるしかないっですね!
ここっです!!
ツキミのつかんだ端の先にあるものは・・・
・・・油揚げ!!
「普通っですねぇ」
だが気をつけなくてはいけない。なぜなら闇鍋を囲むメンバーがメンバーだから。もしかしたら普通の油揚げに見せかけた別の何か・・・の可能性も捨てきれない!!
「・・・別に何かがはさんであるってわけでもないっですねぇ・・・」
そう、なにも見た目はおかしくないのだ。これが逆におかしい。なぜなら普通の食材がこの闇鍋に入ってる気がしないから!!
さて・・・この油揚げはいったいどこに罠が仕掛けてあるのか・・・
『警戒しすぎじゃないどすか?』
「いや、警戒はしてもしすぎることは無いっですよさっちんさん」
・・・確かにさっちんさんの言う通りかもしれない。これはただの、本当に何の変哲も無い油揚げである可能性も否めないっです。
でも・・・
「ところでそれは誰が入れたやつなんだ?」
『あ、それ私のよ。コンビニのバイトでなんかいろいろあってもらったので今回いれたのよ」
「てことはなんだ、本当に普通の油揚げなんっですね!?よかった・・・これで安心してたべれます・・・」
そういって油揚げを口に含むツキミ。
だが一秒もしないうちにそれを吐き出す。
「ブフゥ!!不味いっです!!不味すぎっです!!!!」
そりゃそうだ。
味噌汁に入っている油揚げを思い出して欲しい。凄く味噌汁を吸っているだろう?
そう、油揚げは汁を吸う。その事により、なんの変哲も無い油揚げは・・・この闇鍋汁によって進化を遂げていたのだ!!!当然ながらさまざまなものが入っているこの鍋の汁がおいしいわけがない。そんな汁を一気に口に含んだも同然なのである。それは不味いわ。
「当たりだと思ったのに・・・うぇ、本気で不味いっです・・・」
『まぁ・・・ドンマイよ、頑張るのよツキミちゃん』
「いや・・・くっちーさんの食材なんですけど・・・」
『・・文句はコンビニの店長に言ってね』
「・・・釈然としないっです・・・」
最後、霊能の番
さてついに俺の番が来たか・・・今のところまだ当たりが出てないな・・・
・・・・当たりが無い可能性もあるけど・・・
いやでもさっちんは多分まともな食材を入れてると思うんだ。
鳥団子とか。そう!俺は鳥団子を狙うぜ!!そうと決まればどこを狙うかだが・・・俺が鍋をかき回してしまったからなぁ・・・さっちんの前にはおそらく無いと考えてもいいだろう・・・。
ではいったいどこにあるのか?それはおそらく・・・俺の前にあるだろう!!多分!!
完全に勘だがなんかあるような気がする。すくなくともはずれではない様な・・・そんな気がする!!!
よし!俺の前を取るぜ!!
そういってつかんだ霊能の箸には・・・真ん中に穴が開いた、細長い魚介類の練り物があった!!はやい話がちくわである。
「・・・ちく・・わ・・・?」
そうちくわである。とあるゴから始まってスで終わる名前の人の大好物である。
「まぁ・・・当たりだな!いやぁよかった俺はセーフだ」
実際これには霊能もかなり安心していた。だってちくわだもの。余裕さ!!
『ちくわかぁ・・誰が入れたんだ?』
「あ、それあたしが入れたやつっです。良かった・・・霊能さんが取ってくれて・・・」
『よかったってどういうことなのツキミちゃん?かなり詳しく教えてくれるかしら・・?』
くっちーがほほをひくひくさせている!!
「そのちくわゴン兄から渡された特別製っでしてね、もし霊能さん以外の人が食べそうになったら全力で止めろっていわれてたんっですよ~」
『・・・一番の危険パイかもしれんね』
ツキミの一言に汗をだばだばかきだす霊能。
さっきまでの安心を返せと叫びたい気持ちでいっぱいだ!!
「・・・他には何て言ってたか覚えてるか?」
「えぇと・・・[多分太郎なら多分耐え切る、多分・・多分。]って言ってたっです」
「いやいやいやいやぁぁぁぁ!!!ちょい待ってめっちゃ食いたくねぇぇぇぇ!!!不安!!超不安!!つーか耐え切るって何!!?あと多分言いすぎぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
『大丈夫だ霊能、お前なら多分大丈夫だ』
『多分霊能はんなら耐え切れるから安心していいどすぇ』
『不安だけど・・・霊能君なら多分大丈夫なんじゃない多分』
「てめぇら楽しんでるだろ!!?俺のピンチ楽しんでるよね!!?ちくしょう誰かヘルプミィィィィ!!!」
だが闇鍋のルールは残酷だ。闇鍋発案者として破るわけにはいかない。
「霊能さんなら大丈夫っですよ多分!!」
「ちくしょうああもうおんどりゃぁぁぁ!!」
半分パニックになりながら食べる霊能。ちくわをぱくっと一口で口の中に放り込んだ。
するとみるみるうちに霊能の肌の色が虹色になっていき、目は残像が残る速さで動いている。
「イヒイィン!!」バタンッ!!!
ぶっ倒れた。
「『『『霊能(君、さん、はん)ーーー!!!』』』」
『くっ・・・耐え切れなかったか・・・』
『いやいやそんなこと言ってる場合じゃないわよ!?』
『・・・死んではりますなぁ・・・』
「ウソォォ!!?もしかしてあたし殺人犯っですか!?事故でしょう!!?あたし捕まりませんよね!!?」
『毒殺の疑いで逮捕だな』
『ツキミはん・・・短い間だったけど楽しかったどすぇ』
『あなたたち今ふざけてる場合じゃないでしょぉぉぉぉ!!!』
霊能が死んだ。
死因、ちくわ
享年17歳であった。
『ってかマジで死んでるなぁ・・・』
『霊能はんなら自力で生き返りそうではありそうどすけどなぁ』
「あ、体の色が戻った・・・でも生き返りそうにはないっですねぇ・・・」
『なんであなたたちはそんなに冷静なのよ!!霊能君死んじゃったのよ!!?』
『だって俺も一度死んだことあるし・・・』
『身近に幽霊がいるどすからなぁ』
『あぁ・・・そっか、蘇我君幽霊だっけ?ってことは霊能君も人外の仲間入りってこと?喜んでいいのか複雑だわぁ・・・』
「蘇我さん、霊能さんが幽霊になるのにどれくらいかかるんっですか?」
『さぁ・・・?人によってまちまちらしいから分からん。下手したら100年とかかかるかもな』
『はぁ!!?100年!!?そんなの待ってられないわよ!!!』
『・・・僕だって待つ気は無いよ。死人が行くのは天国か地獄、あいつは面白そうとか言って地獄に行くんじゃないか?だったら僕らも地獄に行ってあいつを連れ戻せばいい』
『そんなこと言ったって・・どうやってそこまで行くのよ!?』
もっともな反論である。地獄なんて普通の人間にはそう気軽に行ける場所ではない。
・・・だが、普通の人間なんてここにはいないのである。
『僕は幽霊だから三途の川の向こう側くらい簡単に行けるよ。まぁ帰りは・・・どうなるか分かんないけど』
「蘇我さん一人で行く気っですか!?危険すぎっですよ!!」
『先に一人で行く気ではあるけど・・・みんなも後から来れるだろ?な、さっちん』
『我が家には頼もしい愛犬がいてはるどすからなぁ。ケロちゃんなら行けると思うどすぇ』
こうして地獄に行くだろうと思われる霊能を救うべく、彼らは動き出した。果たしてこれからどうなるのか。霊能は現世に生き返ってくることができるのか?ちなみに霊能が食べたちくわはゴンザレスの手作り罰ゲーム用ちくわだそうだ。
ただ作るときに塩加減を間違えたと言ってたとか言って無かったとか・・・