第十八話 霊能太郎と紳士同盟
前回のあらすじ!!
タミフル~♪
あらすじ終わり!
霊能たちは蘇我の案内で見覚えのある森に来ていた。
蘇我曰く
『あの人なら・・・しゃっくりの治療方法を知ってるかもしれない』
だそうだ。
そんな感じで森の奥へと入っていく・・・すると前に来たことのある沼が見えた。
「・・・なんかもう誰が出てくるか読めたわ」
第十八話 霊能太郎と紳士同盟
『あ、ばれた?じゃぁ呼ぶよ。・・・myブラザー!!』
すると目の前の沼から・・・
・・・・誰も出てこない。
『ヒック、・・・留守どすぇ?』
『話は聞かせて貰ったよ!!!』シュタ!
『どすぇ!!?ヒック!』
と、思ったら上から降ってきた。さっちんはかなり驚いたようだ。
「うお・・なんで上から?」
『ふむ・・・驚かせればしゃっくりが止まるかと思ったのだがな・・・失敗だったか。なに、ただ君たちが来るまで木の上でスタンバイしていただけのことさ』
「待っている佐悟さんの姿を想像すると悲しくなるな」
『・・・なんで私がしゃっくりを相談しようとしていたことをヒック知っていたんどすぇ?』
『紳士だからね』
『納得の理由だね』
『いやいやいやいや納得できないどすぇ!!ヒック』
流石紳士である。
紳士に不可能は無いのかもしれない。
『さて、しゃっくりを止める方法か・・・無いこともないが・・・』
『どすぇ?ヒック教えてほしいどすぇ』
『myブラザー、僕からもお願いするよ』
『何、簡単だ。きゅうりを食べるといい』
「きゅうり?そんな方法もあるんだな」
するとどこからかきゅうりを取り出す佐悟。なかなか高級そうなきゅうりだ。流石カッパである。
『いただきますどすぇ・・・ヒック』
『さっちん君、噛まずに食べないと効果が無いのだよ』
『噛まずにどすぇ・・?』
そう言われてさっちんがきゅうりを噛まずに口に入れようとした瞬間・・・
『ちょいやさぁぁぁ!!!』
きゅうりが空を舞った。
原因は簡単、蘇我がはたいたのだ。
『myブラザー、どうかしたのかね!?』
『・・・駄目だよmyブラザー・・・それはいけないよ・・・』シュコォォォ
蘇我の呼吸が荒い。いつだったかを思い出すような光景だ。
「おいおい・・・どうしたんだ蘇我・・・」
『いったいどうしたというのかね?』
『ふふふ・・・しらばっくれてはいけないよmyブラザー・・・きゅうりを噛まずにだぁ?・・・そんな卑猥な行い!この紳士蘇我が許さないよ!! myブラザー!!』
『な・・流石だよmyブラザー・・・見抜かれるとは思っていなかったよ・・・』
『ど・・・どういう事どすぇ?ヒック』
『まさか紳士同盟を組んだ貴方がさっちんに手を出すなんて・・・信じていたのにね・・・』
『・・・出来心だったんだ・・・私はただ!さっちん君がきゅうりを噛まずにほおばっている所が見たかっただけなんだぁぁぁ!!!』
『紳士としてさっちんに辱めを受けさせようとした行い!罰を与えねば気がすまない!!!!』
『・・・ッ!済まなかった・・・本当に済まなかった・・・ッ!!』
「アレ?でも蘇我も闇鍋の時さっちんに変なもの食わせようとしてたよな?」
『前言撤回!やっぱり無罪だよmyブラザー!!』
『蘇我はん・・・なんでそんな変わり身早いんどすぇ・・ヒック』
紳士に不可能は無いのである。
「で、実際なにかシャックリを止める方法はないのか?」
『ふむ・・・私に出来ることは無いな・・・だが心当たりはある。ついてきてくれ』
『・・・どこに行くんどすぇ?』
『・・・何、わがままなご近所さんのところさ』
佐悟について来てさらに森の奥へと入っていく。するとそこにはとてもキレイな池が広がっていた。
「で、どうするんだ?」
『まずはこの池に住んでいるご近所さんを呼び出さなくてはいけないのだが・・・ふむ、どうするかな』
『呼べばいいんじゃないのかmyブラザー?』
『普通に呼んでも出てきてはくれないのだよ。わがままだからね。・・・何か物を投げ入れると出てきてくれるんだが・・・何か持って無いかい?』
「あ、俺鉄の斧ならもってるぜ」
『霊能・・・、なんで持ってるんだよそんなもの・・・そしてどこから取り出したんだお前は・・・』
「最悪これでさっちんの顔の前すん止めすればショックでしゃっくりも止まるかな・・・と」
『ひぃ!!ヒック!禁止!禁止どすぇ!!速やかに捨てるどすぇ!!!』
『ちょうどいい、ならばそれでいいだろう。霊能君、それを池に投げ入れてくれないか?』
「え?あ、うん。いいけど」
ぼちゃん。
霊能が投げた無骨な斧が池に沈んでいく。すると女が一人、池から浮かび上がるように出てきた。そして、霊能たちに問う。
『お前が落としたのはこの金の斧か?それとも銀の斧か?』
「おう!鉄の斧だ!!」
『正直でよろしい。・・・鉄の斧が私に刺さっていなければね』
めっちゃ怒っていらっしゃるようです。肩に刺さった斧の位置からだくだくと血が流れ出ている。
「おう!その鉄の斧だ!友達になってくれ!」
『正直すぎるのもどうかと思うわよ?・・・佐悟、あなたの差し金ね?』
『差し金などという無粋なものでは無いよ。そうだな・・インターホンのようなものではないか』
『どこの世界に人を呼び出すのに斧を突き刺すやつがいるのよ』
『無論、ここに』
『正直過ぎて殺したいわ』
どうやらそれなりに面識はあるらしい。ご近所付き合いをしているのも嘘ではない様だ。
『えぇと・・・ヒック、私はさだこどすぇ~』
「俺は霊能太郎だ!」
『僕は蘇我入鹿だよ。いや・・・the・紳士と言ったほうが・・?』
『わたくしはこの池の女神よ。で、・・・何の用事かしら?』
『ヒック、私のしゃっくりを治す方法を知らないか聞きにきたんどすぇヒック』
『・・・嘘ではないようね。わたくしは嘘を見抜くことができます。ゆえに嘘吐きと佐悟は嫌いです』
『おやおや、私も随分と嫌われたようだね。理由を聞かせてもらっても?』
『出会いがしらに紳士パワーとやらで下着の色を当てられたからかしら』
『紳士に不可能は無いのだよ、覚えておきたまえ』
『ぐぬぬ・・・』
「えぇと・・・仲良くしてるところ悪いけどさっちんのしゃっくりは治せないのか?女神パワーで」
『・・・できるわよ?一応これでも女神だからね。朝飯前よ』
『じゃぁお願いするどヒックぇ』
『でもわたくしが手を貸すのは正直者だけ・・・あなたが正直者かどうか確かめてあげるわ』
『・・・どうやってヒックどすぇ?』
『わたくしの質問に答えるだけよ。では聞きます』
女神の審判が始まる。
この質問にうまく答えなければしゃっくりを治してもらうことはできない。なので、質問には誠心誠意答えなくてはならない。
『問います。目の前で少女が泣いています、あなたはどうしますか?』
『紳士的に泣き止ませる』
「友達になる」
『ふむ、私なら落ち着かせるだろうね』
『とりあえず話しかけるどすぇ』
『・・・二人嘘を言っていますね。[おっ持ち帰り~]との声が聞こえてきました』
『『・・・』』
『では問います。財布が道に落ちていました、あなたはどうしますか?』
『一割抜いて元あった場所にもどす』
「落とし主を探して友達になる」
『警察に届けるかもしれんね』
『・・・いったん持って帰ってみんなに相談するどすぇ』
『・・・一人嘘を言っていますね。二割抜く気です』
『え!?ちょ!やらないよ!そんな目で僕を見ないでよ!!』
『では最後の問いです。・・・今あなたは幸せですか?』
『当然どすぇ』
『治ったどすぇーーー!!』
「よかったな!さっちん!!」
『女神さんありがとうどすぇ!!』
『ふふ、どういたしまして』
『僕からも礼を言わせてくれ、ありがとうございました!』
『構わないわ、正直な子は好きだから』
『ふむ、今回は感謝だな。今度また斧をプレゼントするよ』
『あらありがとう、お返しにその斧で頭を真っ二つにカチ割ってあげますわ』
『手厳しいな、ならば二本ならどうだ?』
『貴方の頭が四つに分かれるわね』
『二人とも!本当に助かったどすぇ!また会うときまでバイバイどすぇ!!』
『『ああ、バイバイ(よ)』』
無事さっちんのしゃっくりも止まって一安心の霊能たち。
今やっと家についたところだ。家に入ると、蘇我がなにやら新聞のチラシを見てこう言った。
『霊能・・・これ、出てみないか?』
そう言って見せるチラシの内容は・・・
町内トライアスロン大会~ポロリもあるよ~
「トライアスロンかぁ・・・いいかもな」
『ポロリってなんどすぇ?』
『霊能なら一位が取れるよな?むしろ取れよ?』
「・・・なんだ?そんなに一位はいい商品なのか?」
『驚くなよ・・?なんと温泉旅行のチケットだ!ぜひ取ってこれは行くしかないだろう!!』
「・・・温泉かぁ・・・いいな。よし、そのトライアスロン大会・・・出るか!」
『二人とも応援するどすぇ~』
『聞くところによるとこの町内トライアスロン大会は全国から猛者が集まってくるらしいぞ・・・』
『でもどう考えても霊能はんがぶっちぎりで一位なんじゃないどすぇ?』
『ならばツキミ殿の兄上に頼んで一時的に身体能力を下げてもらえばいいでござるよ』
「まぁ・・いい勝負がしたいしな!蘇我!勝負だ!!」
『いいだろう!身体能力低下中の霊能になら勝てる可能性もあるかもしれないような気がしないでもない!!』
『私はいろいろその大会についてしらべとくどすぇ~』
「・・・小次郎、お前自然に会話に入りすぎだろ」