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魔法使いになった俺、ちょっと実家に帰りたい  作者: ぼっち飯


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第9話:子どもじゃねーし!

ヌフに向かいながら、ディヒトに色々聞いてみた。年は18歳。姉が3人いて、ずっと弟が欲しかったそうで、なんだか兄貴風を吹かそうとしている様子なのがちょっとかわいい。ごついけど。


精霊の使徒様というのは、精霊の声が聞ける者のことを言うそうだ。ディアスタは自分のことを時空の精霊だと言っていたが、ディアスタの加護を得られるとアイテムボックスの性能が良くなるから、めっちゃ人気のある精霊なんだとか。アイテムボックス自体は頑張って修行すれば、魔力量に応じた大きさのものが習得できるそうなので、いずれ挑戦してみたい。


そんなディアスタから一文字もらって名付けられたというディヒトは、脳筋っぽいけれど賢くないわけではなさそう。町の常識は自分もわからないと認めていたので、若いのに自分の力量をちゃんと判断できる素直な奴なんだろう。今のところ俺の好感度爆上がり中だ。俺は本当は30歳なのだが、見た目の年齢は半分になってしまった。ディヒトはでかいなーと思ったが、スウェットがぶかぶかになっているのを見るに俺が縮んでいる。中学を卒業したときはまだ155cmだったな。とすると、ディヒトは180cmくらいか。でかいな。


「良かったな、アラタ。15歳ならちょうど成人している。」


「そうなんだ。俺の国では18で成人だったよ。ギルドってすぐ稼げる仕事とかあるかなぁ。お金とか持ってないよ。ディヒトはこの三日、野宿だろ?」


「金、俺も持ってないんだよな。見たことはあるが使ったことはない。さっきのワイバーンの爪を持ってきてみたが、どうだろうな。」


「爪っていうか…。食い残しじゃんそれ…。」


まぁいい。ド田舎二人組でゴリ押ししよう。いざとなったら社会人経験のある俺が頑張ればいい。町に着く前に、異世界に来てしまったことも話したが、よくわかってなさそうだった。瘴気の話をしたらすごく驚いていた。瘴気は生き物にとって毒。濃い瘴気に当てられると死ぬし、薄くても長期間さらされれば病気になる。最悪、魔物になってしまうと聞いてゾッとした。


浄化の力を持っている人は聖女や聖人と呼ばれて神殿にいることが多いらしい。さっき確認したステータスには瘴気耐性のスキルが表示されていた。俺は結構濃い瘴気でも、ちょっと肩が重くなってネガティブになるくらいで済むみたいだ。ありがたいが地味に嫌な状態だ。ステータスには他にも色々書いてあったが、プライベートモードがあったのでONにしておいた。これで、鑑定されてもある程度情報が隠せる。




「あの遠くに見える壁がヌフじゃないか?」


ディヒトの声に目を凝らすと、うっすらと遠くに薄茶色の壁が見えている。壁に囲まれた町とか、ファンタジーっぽい。よし、スマホはポケットにしまおう。近づいていくと、おお!これぞファンタジー。閉じた大きな門の前に、皮鎧を着て槍を持ったおっさん2人が立っている。槍の威圧感が怖い。


「あれ、ディヒトじゃないか。ちょっと見ない間にでかくなったな。2年ぶりか。」


40代くらいの男が先に声をかけてきた。ラッキー。ディヒトの知り合いっぽい。


「すまん。誰だ。」


ディヒトの答えに、微妙な顔をするおっさん。


「おい、お前失礼だろ。年上の人には敬語を使えよ。」


「ディヒト、連れのちっこいのの方がわかってるじゃないか。お前の父さんのところに時々顔を出してた冒険者のザックだよ。冒険者を引退して衛兵になったんだ。ルークの親父のザック!」


「おお!ルークの!ひっさしぶりだなぁ!…おっちゃんは小綺麗になったな!ちっともわからんかったぞ!」


「お前のあまりの変わらなさに俺は喜ぶべきか、悲しむべきかわからんよ…。」


ニコニコするディヒトに対し、そうそうこういう奴だった、と言うザック。もう一人のおっさんはザックに同情の眼差しを向けている。


「その様子なら、お前は相変わらず狩りの方のメンバーなんだろ?その子とお前だけで来たのか?商売の担当のノイやミッテはどうした?」


「それがな、3日前に穴に吞まれちまったらしくてな。その穴がもしかして新しいダンジョンになるかもしれないから、知らせに来たんだ。あ、こいつはアラタ。ウチで拾った。」


「早く言えバカ!あともっと焦れ!」


思い出したように告げたディヒトの言葉に、おっさん二人が青ざめる。ザックが大きな扉に取り付けられた、小さな扉に走っていく。「緊急でライゴウ様に伝令を頼む!草原の民の野営地にてダンジョン発生の兆候あり。報告者二名のお目通りの許可を。」と言う声は、緊迫した雰囲気ながらも大声ではない。


それを見ながらもう一人のおっさんが言う。


「二人とも大変だったなぁ。よくここまで来てくれた。これから騎士団が調査隊を組んで穴を調べに行くことになると思う。疲れてると思うけど、見たことを偉い人に話して欲しいんだ。ザックについていけば大丈夫だから。あとちょっとだけ頑張ってくれ。」


…おっさんはどう見ても俺を子ども扱いしていた。子どもじゃねーし!

ぼっち飯を応援してやってもいいかな、と思ってもらえるような文章を書けるよう頑張ります。

1話あたり1000~1500字と思っていましたが、テンポの良い文章なら2000字くらいはサクッと読めちゃうと聞いたので、いつも2000字前後で書けるようになれたらいいなと思い始めました。400字詰め原稿用紙なら5枚。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。ではまた次の土曜日に。

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