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魔法使いになった俺、ちょっと実家に帰りたい  作者: ぼっち飯


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第6話:はじめてのまほう

短くまとめられませんでした。今までよりも文章長めです。

「なあ俺さ、ファンタジー系のスマホゲームで遊べると思って【YES】をタップしたわけよ。あれ、【NO】にしてたらどうなってたんだ?」


「絶対【YES】を押すと思ったのじゃ。我の勘はよく当たるのじゃ。じゃが【NO】の方を押しておったら身体能力の底上げじゃな。その場合、魔法はひとつかふたつの属性は多少扱えるようになるはずじゃが、使いこなすようになるまでには相当な鍛錬が必要となったであろう。

まぁ我の予想通りに【YES】を押したでの、魔法使いとしての適性を目覚めさせてある。」


「結局どっちを選んでも俺が異世界に行くのは決定だったってわけか。魔法使いの適性っていうのは?」


一回握りこんだらちょっと気が済んだので、ディアスタを俺の手の中から解放してやると、何かを確認するように俺の周りをくるくる飛び回る。


「さすが、小説だのゲエムだので慣らされておる国の民なだけあるの。受け入れるのが早い。それに瘴気の影響も少しマシになっておるようじゃな。元来のお前の、細かいことを気にしない性格が戻ってきたようじゃ。

できることならばこちらで生きていきやすいように色々してやりたかったのじゃが、瘴気をできるだけこちら側に戻すのに大分力を使ってしまってのぉ。この世界の魔法属性は火、風、土、水、光、闇の6つ。すべての属性の初級魔法を、練習せずとも発動だけならできる状態にするので精一杯じゃった。」


俺の顔の前で止まって、ディアスタは言葉を続ける。


「魔法はイメージが物を言う。お主は光属性に関しては特に適性が高い。鍛え上げれば瘴気に耐えきるのみならず、いずれ浄化できるようになるやもしれぬ。

そして、お主の力になってくれる草原の民の言語だけは読み書きできるようにしてある。学ぶ能力自体を向上させておるから、その他の言語もできるようになるかはお主の努力次第じゃ。」


「うへぇ…勉強か。まぁひとつとはいえ言語がわかるのは助かるわ。それについては感謝しとこう。草原の民っていうのは?」


恐怖体験をしたばかりだ。一人では生きていける気がしない。本当は帰りたい。切実に。魔法を使えるのにはちょっとワクワクするが、安心と安全が確保されてのことだ。1DKの俺のアパートが恋しい。


「うむ。お主の世界でいう馬や羊のような魔物を飼い慣らし、草原を転々としながら暮らす一族がおってな。我ら精霊への敬意を忘れず、義に厚く情に深い者が多い。礼を失するような真似をしなければ、助けを与えてくれるであろう。」


つまりは遊牧民の人たちか。でも俺、周りに誰もいないところでさっき死にかけたんだけど。ディアスタを()めつける。


「そっ、そんな目で見るでない!我は今、弱体化しておる!草原の民の集落に落とすつもりだったのじゃ!ちょっとだけズレたのじゃ!その理由を確かめようと目を離した隙に、お主が死にかけとったのじゃ!肝が冷えたぞ!」


へー、お前弱ってんのか。


「我もお主を四六時中見ておくわけにもいかんからな、お主の記憶をのぞかせてもらったが、仕事をするのにメエルというのを使うんじゃろ?使い慣れたものがあると良いかと思って、我と連絡を取れるようにスマートフォンなるものを使えるようにしてやったぞ。ところで、お主から知らせのきておった、ビデオ会議というのは何なのじゃ?」


「あー、知らなかったのか…。実際に会うみたいにしてスマホの画面で相手の顔を見ながら話せるんだ。っていうか使い慣れてるもんでいいのなら、今後はこの緑のアプリの方でやり取りできないか?プライベートではこっちメインだから、俺はこの方が見やすい。」


「ほー、異世界の技術は面白いのう。相分かった。…ふむ、成程。友達リストなるものに、我を入れておけばよいのだな。」


どうやっているかわからないが、スマホを使えるようにしてるディアスタは普通にすげーな。できたぞー!とどこか誇らしげな声が響く。


「バッテリーが切れたら魔物からでる魔石を画面の上に乗せるが良い。どの属性でも大丈夫じゃ。小指の先ほどの大きさのもので一月(ひとつき)は大丈夫じゃろ。我も元の力を取り戻すために少々休まねばならぬ故、一般的なことについて調べられる機能を付与しておいた。日本におった時のように検索してみるが良い。万能ではないが、役に立つはずじゃ。」


「そっか、助かるわ。サンキュ。ところでこれで家族に連絡を取れたりするのか?あと、俺がいなくなった後はどうなってるんだ?」


ディアスタの声のトーンが少し下がる。


「それについても申し訳ない、今のところ連絡は我としか取れんし、日本でのお主は行方不明の扱いじゃ。じゃが、我が完全に力を取り戻し、お主の内にある瘴気を完全に浄化することができた暁には、必ずや元の世界に戻れるよう力を尽くそう。何年かかろうとも、じゃ。」


ディアスタの真剣な声に、背筋が伸びる思いがした。ディアスタ任せにしないで、俺も帰る方法を探そう。行方不明扱いになってしまうのなら、きっとそのうちあのアパートは解約される。ちょっとでもいい、実家があるうちに、帰ろう。当面の目標は生きていくことかもしれないが、最終目標は実家に帰ることだ。


「今いるここは精神世界でな、そろそろ現実のお主の目が覚めそうじゃ、では…いや、ちょっと待て。」


なぜか焦ったような声でストップがかかる。ディアスタが一回り小さくなった。…何だどうした?


「良いか、時間がないので手短に!クリーンだけはすぐに使える!清潔をイメージできるな?念じるだけでも良い!クリーンじゃ!クリー…」


執拗にクリーンを念押しするディアスタが段々遠くに感じる。そして何かが焼ける匂い。でも不快ではない。ああ、生きてる。目を開くと青い空。白い雲。そして…。




「ああ!このことかチクショウ!クリーン!」


俺は乾きつつあるワイバーンの血に塗れ、ベタついてボロボロのスウェットにまずクリーンをかけた。ディアスタ、マジでありがとう。あとでお礼のスタンプ送っとくわ。

毎週土曜日0時更新を目標に掲げて3回目の投稿ですが、木曜の夜の段階で仕上がっていない感じです。そのうちストックを作れるようになりたいです。

ぼっち飯を応援してやってもいいかな、と思ってもらえるような文章を書けるよう頑張ります。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。ではまた来週土曜日に。

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