#2 電車での出来事
皆さん、こんにちは!アオです!
それでは「あの人は高嶺の花」をどうぞ!
俺「いえ、全然大丈夫ですよ.......ちなみに年齢って?」
?「自己紹介がまだでしたね......高校二年生の宮森沙友里っていいます!」
俺「この春入学した高校一年生の大地って言います、お願いします」
かつて電車内でこういうような自己紹介を行ったことがあるだろうか
沙友里「えっ!?後輩だったんだ........背が高くて同級生かと思ったよ~」
そこまで背は高くないがそれでも、平均より少し上くらいだ。
沙友里「それでなんの小説を読んでいる?」
宮森さんに質問され俺は今読んでいる小説のタイトルをスマホに表示させ見せた。
沙友里「へぇ~恋愛ものなんだ~、なんだか意外!」
俺「ですかね.......」
沙友里「恋愛系の小説好きなんだよね!切なくてキュンキュンする話は特に!」
俺「あ~、いいですよね」
沙友里「ちなみに私はこれを毎回読んでいるよ!」
そう言って沙友里さんがかばんから出した本は読んだことのある恋愛小説だった。
俺「あっ!これ読んだことありますよ!」
沙友里「本当!?友達で小説を読む人がいないからなかなかこうやって
話すことができないからうれしい!」
そう言って沙友里さんはニコリと笑う。
それ以外に特別話すようなこともなく俺たちはもくもくと小説を読み進める。
電車に揺れること数分、次の駅の到着を知らせるアナウンスが入る。
沙友里「じゃあ、私はここの駅で降りるから!あっ!それと大地君は
いつも何時くらいに朝電車に乗るの?」
俺「えっと.......○○駅を7時20分発の電車に乗ります」
沙友里「わかった!じゃあまた明日!」
"また明日"........その言葉に違和感を覚える俺。明日って明日だよな.......
つまり沙友里さんと明日会うってこと!?
嫌ということではないが、たまたま電車の中で会った人と自己紹介をして
明日から一緒に登校するなんて不思議なものだな。
翌日。今日もこれといって授業という授業がないので気持ちがかなり楽だ。
昨日より落ち着いて俺は電車に乗る。そして昨日、沙友里さんが下りた駅に着く。
辺りを見回すが沙友里さんらしき人物は見当たらない。
そうこうしているうちに駅から出発する。
からかわれたのかな、なんてことを思っていると隣に座る学生がいた。
沙友里「大地君、おはよう!」
俺「さっ.......沙友里さん!?」
沙友里「だから昨日言ったでしょ。また明日って!」
俺「いや.......そうですけど........」
俺はゴマゴマしながらそう言う。
沙友里「大地君は恋愛とかしてないの?」
俺「しっ.......してませんよ。だからこうやって読んでいるんです!」
沙友里「ん~本当かな~。まあ私の方が一年先を生きているから何か相談したい
ことがあったら何でも言っていいからね!」
俺「はっ.......はぁ~。その時がありましたらお願いします」
そう会話を交わしながら電車に揺れる俺たち。数分後、ふと沙友里さんを見ると
ぽろぽろと涙を流している沙友里さんの姿があった。
俺「沙友里さん!?大丈夫ですか。これで拭いてください!」
ポケットに入っていたティッシュを取り出し沙友里さんに渡す。
沙友里「あっ........ありがとう。ごめんね、急に。切なすぎて.........」
そう言いながら涙を拭き鼻をかむ沙友里さん。
そんな沙友里さんの姿を見て少しうらやましいと思う俺。
たまに切ない系の小説を見るが体質のせいなのかあまり泣かない。
もちろん泣くが必要になる場面では泣くことができるが
それ以外でも日常ではあまり泣くことができない。
もしかしたら感情を心の内で押し殺してしまっているのかもしれない。
いや、そんなことないな.......恋をしたときには顔に出ていたから........
そんなことを考えながら再び目線を小説に戻す。
数分後、駅到着のアナウンスが入る。
沙友里「じゃあまた明日!それとティッシュありがとね!」
俺「はい!また明日!」
そう言って沙友里さんは電車を降りていった。
なんだか不思議な体験をしているような感じだ。
駅を出発していき数分後、高校までのバスが出るところへ着いた。
俺は少しウキウキしながらバスが来るのを待つ。
今なら何でもできそうな気分になっている。
待つこと数分後、高校の送迎バスが来た。
バスに乗り込み青谷さんがいないか確認する。しかしどこにも青谷さんの
姿はなかった。もしかしたら別の時間帯のバスに乗っているのかもしれない。
先ほどまでのウキウキとは別に気持ちが一気に沈む俺。
再び小説を読みながら10分ほどかけて学校へ到着する。
この時間帯はどちらかといえば遅いタイミングでほとんどの生徒が
教室で待機しているのがわかった。
遅いからこそ青谷さんに会えないのかもしれない。
ちょっと早い時間の電車を無いか確認する。しかし家の最寄り駅が
田舎にあるためいつも乗っている1本前は6時50分の電車だ。
さすがに学校へ着く時間が早すぎてしまうな......
読んでいただきありがとうございました!
ブックマークや評価を付けてくださるとうれしいです!
それでは次回お会いしましょう!アオでした~!