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詩[思索]

少し値の張るステーキ肉を買った

作者: 日浦海里

慣れている人からすればなんてことないことでも

少し値の張るステーキ肉を買った


自分の身の丈に合わないけれど

あこがれのようなものはあって

どきどきしながら手を伸ばして


本当によかったのだろうか


常温に戻した肉を眺めながら

勢いのまました自らの行いに

微かな後ろめたさと

得も言えぬ満たされた気持ち


これは満足感なのか

それとも優越感なのか


振りかけられたしょっぱさは

熱に溶けて染み込んでいく


初めは強く焼いて 焦がれて

冷ましたはずの熱は 燻って


落ち着いた頃にまた火がついて

固まることなく熱はいき渡って


本当によかったのだろうか


なんて


熱冷めぬように包んでおいて

大事に大事にとってたくせに

何を今更 そう思う


包みを開けて

目前に並べ

ナイフでそっと切り込んだなら

溢れ出るのは溜め込んだ想い


舌に乗せれば

溶けて染み込んだしょっぱい味が

肉と絡んで広がっていく


ほんの少し強めの味は

あこがれが過ぎた裏返しだから

これも思い出のひとつなのだと

噛み締めながら飲み込んだ

勇気を出して手を伸ばしたら

必ず世界は変わってく

良くも、悪くも

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― 新着の感想 ―
自分の身の丈に合わないけれど あこがれのようなものはあって どきどきしながら手を伸ばして 本当によかったのだろうか ⇧ いやぁ~勢いで買ったやつ!奮発したやつ! ある、あるよ、腕時計とかもね。箱から…
[一言]  ありますよね、背徳感。  それがいいのよ。    私はひとりで外食するたび、それを感じてますけど(笑)  でも、高い肉、って。  それだけで浪漫ですよね。
[良い点] なんて素敵な言葉なんでしょう! お肉焼いて食べてるだけの話なのに、人生の全てが語られてるみたいな・・・。 比喩。という表現の凄さはこれですよね。 そして、日浦さんの紡ぐ言葉は、何通りにも…
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