4 1985/12/12の話し。
++++1985/12/12+++++
俺は20歳になっていた。
昔から健康だけには自信があったので、高校卒業後はY県の警察官になった。
そして、警視庁に逮捕された芹澤先輩の面会に行ったのである。
読者諸兄は『警察官が泥棒に面会するのはダメなのでは?』と思うだろうが、実は警察留置・刑務所に一番面会に行くのが【親兄弟】に次いで【警察官】なのである。
「よう高橋刑事殿!都会はダメだねえ。【行者】が沢山いてさあ・・」
芹澤の話によると、同じ能力者・・ここでは芹澤が付けた【時空の行者】としておくが、本来は<誕生時間から1日だけ静止した世界で動ける>もので、俺は<同じ誕生日の人間としか出会わない>と勝手に思い込んでいたのだが・・
芹澤は・・「俺が泥棒に入った家でバッタリ会ったおばさんが通報者なんだがね~彼女の誕生日は【2月2日】なんだと・・【24時間縛り】は俺の勘違いだったのだよ!失敗~失敗。」とニヤニヤして話す。
俺は驚いて・・「つまり能力者が【接近】すれば誕生日に関係無く【静止した世界】に勝手に入っていけるって事か!」と言う。
そして軽い気持ちで~「じゃあ【行者チーム】を組めば365日、好きな時に好きな場所で【静止世界】に入って行ける訳だ!ハハハ。」と言ったのだが・・
何故か?芹澤は黙り込んでしまったのだった。
++++本編 2005/2/11 ++++
俺は、【芹澤の遺産】を貰うべく・・東京の郊外の、そのまた【外れ】にある川沿いのオンボロアパートに向かった。
<カン カン カン> と、2階に登ると・・<ガチャ>と隣室の部屋の住人が出て来て・・
「お隣の人は死んだんですか?夜中もラジオを掛けたり、本当に迷惑しているんですよね!」と言う。
俺は「すいません。Y県の親族なんですが、彼に部屋の様子を見て来てほしいと言われ、火の元の確認などに来たのです。」と告げる。
「ああ・・まだ生きているのね<フン>」そう言って、隣室の住民は中に戻った。
<ガサ ガサ> 中はいわゆるゴミ屋敷状態であった。
芹澤の言う「机の中」を覗いてみると・・
「へえ・・金のインゴット、くしゃくしゃの紙幣、うん?ノートがある・・」
学習用ノートを開くと、そこには【全国の住所】と、氏名・職業がビッシリと記載してあったのだ。
「おそらくは【時空の行者】の名簿なのか?」俺は【お宝】には手を触れずに【名簿】だけを持ち帰ったのだった。
+++本編2026年 5月12日+++++
俺は退職したのだが、Y県Y市の【スクールポリス】の仕事をしていた。
数年前から全国的に学校内に侵入する凶悪危険が多発したことから、新たに予算化された仕事だった。
Y県は、相変わらず【治安日本一】の安全な県なので、スクールポリスが小学校に常駐する必要性は低かった。
俺は、同じ仕事をする仲間3名と持ち回りで、小学校・中学校を【ランダム】に巡回する【簡単なお仕事】だった。