11 新しく【行者】仲間をゲットした話し。
「腰縄はダメだが・・手錠の後で外してやるよ!」と言いながら、再び腕時計を見る・・
<シーン・・・> 剛は「あれ?これは【サイレントワールド】だ!でも?どうして・・」と言いながら俺を見る。
俺は「俺は【静止した世界】と呼んでいるがね。【時空の行者】くん」と告げる。
<ガチャ>とドアを開けて・・窓の無い扉だけの廊下を歩く2人・・
<ガッチャン>と、ひときわ重い扉を開けて俺は<開錠!開錠!>と大声で叫ぶが・・誰も俺らを見ておらず・・タバコの煙が【静止】していた。
俺は腰ひもから手を離し・・「煙を鼻から吸ってみろ!喫煙しない者の気持ちが分かるはずだ。」と言って、静止していたタバコの煙を刑事の鼻の孔に指で入れる・・
「そんな事までできたんですね!俺・俺も良いですか!」
調子に乗った剛に俺は「ああ、静止した世界は【俺達】の自由な世界だ。好きにしたら良い。」と言って手錠のロックを外し、両方の手錠を外す。
「へっへ~!俺は少年なので、刑事課には恨みは無いんですよ!生安に行きましょう!」と言いながら、2階からエレベーターに乗ろうとするも・・
「あれ?そうか・・機械はダメなんだ・・」と言いながら俺の方を見るので・・
「3階へは階段だな。何をするつもりなのだ?」と聞くと・・
剛は「行ってから考えます!」と嬉しそうに言うのだった。
結果・・「うひゃや!マジックで顔に落書きしてやったぜ!」と、ショボいイタズラしか実行しなかった剛に好意を持ったのだった。
「向かいの食堂に行こうじゃあないか!」
「カツ丼ですね!やった~」
店の中に入ると、午後2時なので空いており丁度【カツ丼】が2つ、厨房からテーブルに持って行くところだった。
「いただきます。」と言って、俺はメニュー表に有った【料金】をお盆に置く。
「へえ。流石は刑事さんだ。タダメシは食わないんですね。」と冷やかす。
「まあ、目撃者が居るからな。お利口さんにしなくては!」と返す。
<ガツ ガツ> <モシャ モシャ> 「うん。うめえ!」
俺は気を良くした剛に対して・・「ところで剛君が逮捕されたのは【11:20】頃だったのだが、何で捕まったのだ?」と聞くと・・
「母子手帳で生まれた時間を確認していたんです【11:43】って。でも逮捕されてから親に聞いたら・・・『おまえの誕生時間は【11:13】なので縁起が悪・・【いいよめ】が来る様に、語呂合わせしたよ。』・・・だって。」
「ハハハ。悪い<ゴホン!>そうか、欲張ってしまった罰か。」と言う俺だった。
その後、翌日の【14:00】には取り調べ室に戻り・・
<ゴホン!ゴホン>と言う刑事のムセッた声を聞くのだった。
「フフフ。あの刑事さんには恨みなど無いのだがね。剛君への実地指導の糧となってもらったのだよ。」
<生活安全課で面白い事が起こったそうだ!見に行くべ>
<全員の顔に落書きされたって?一瞬にかい?>
「フフフ俺も実は、生活安全課の人には恨みなんて無いんですよ・・俺を試したんでしょう?鬼畜なヤツかどうかを。」と、思ったよりも思慮深い剛君に感心した俺であった。