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第6話 【八神side】

今井さんとの距離感についての相談を人通りの少ない路地裏にて友達(男)にしている時、事件は起こった。


この際、いっそ今井さんの名前を出して相談したほうが良いのか悩んでいた時、嫌な気配がして思わず横に跳んでいた。


いきなりの跳躍に隣にいた友達(男)の鈴木斗真も釣られて横に跳んでいた。


「お前、なに急に……え…… 魔法陣?」


僕達がさっきまで居た場所には映画やゲームにでも出てきそうな謎の円形の模様が薄い光を発しながら存在を主張していた。


「…これ…、ひょっとして少し前に流行ってた…召喚系じゃないか?」


召喚系?

あぁ、漫画やアニメで流行ってた?

何にせよ、こんな意味不明の怪しげなモノに飛び込む無謀さは持ち合わせていない。



『…この世界をお救いください』


頭に女の声が響く。

思わず斗真を見れば、同じような顔でこっちを見ていた。



「どう考えても、お前の居た場所に出てきたよな。……お前行けば?」


斗真の言葉に思わずムッとする。


「嫌だよ。斗真こそ、こういう系好きだったじゃん。行きなよ」


「いやいや、どう考えてもお前のが主役系だろ。それに俺……現実でスプラッタは無理だし」


「僕だって嫌だよ。

それになんの保障も説明も無いのに飛び込むのなんて普通に考えても無理だよ」


「いや、でも、ほら異世界で富と名声と可愛い女の子が待ってるぞ。…多分」


「はぁ?別にお金も生活も困ってないし、女の子は1人で充分どころか、その1人が大事だし。

むしろ、その1人の居ない世界は無理だよ。

斗真こそお金やチカラや彼女を欲しがってたし、大チャンスなんじゃないの?」

 

頭の中に女の声は響くが、斗真との話でそれどころではない。


揉めている時、少し円が広がった気がして避けようとすると斗真が腕を引っ張ってきた。


「なんか、広がったし、このままだと消えなさそうだし、取り合えずお前サクッと行けばいいじゃん。ほら、お前ならどこでもサクッとスマートにやれるよ」


「斗真!やめろよ。…っ…あ」

「っ…あ」


引っ張る斗真にイラッとして引っ張り返すとウッカリ斗真の足が円の中に入り込んだ。


もちろんお互い本気ではなかったが、こうなってしまったら仕方がない。


僕は思わず巻き込まれないようにサクッと距離を取る。


「お前、ふざけんな!冗談じゃ済まねーだろこれ!せめて助けろよ!」


斗真が手を伸ばすが僕には届かない。


「ゴメン、でも、とりあえず僕は大切な女の子が居るから、お前に付き合うのは無理だよ。なんだかんだで斗真なら大丈夫だと思う。頑張って」


とりあえず、励ましの言葉を斗真へと送りつつズブズブと沈んでいくのを見守っていた時、予想外の事が起こった。





「あれ?八神君?こんな所で何してるの?」


いつもなら大喜びな可愛らしい声が場違いに響く。


今井さん。


なぜここに。


鈴木の身体は腰まで埋まっている。

なんと説明するべきか。

学校では無い場所で今井さんに会えた喜びは後回しにしなければ。



「あ、鈴木君!大変、八神君何やってるの?早く鈴木君を助けてあげないと!!」


可愛い今井さんが今までにない近距離まで近付いてきた事に思わず動揺し、頭が一瞬真っ白になる。ポスっと触れた後にフワっと何か良い香りがして状況判断が遅れてしまった。



気付けば斗真が僕の足をガシっとつかんでいた。


「ちょっ?斗真!離して!僕まで巻き込まれるだろ!」


「くそ!!もともとはお前が原因だろ!こうなったら絶対離さねぇ!!」


少しヤケクソ気味な斗真。

いやいや、思わず今井さんに気を取られて不本意な状況になってしまった。


必死に斗真を剥がそうと試みるが僕の足もすでに円の中へと埋まりつつある。

引っ張ってみたが、これは抜けそうにない。


徐々に魔法陣のサイズも広がりつつある。


『…この世界を…』


女の声も相変わらず頭で響く。



「離せって!ちょっと!斗真!!…もう、こうなったら!」


思わぬ状況に焦ったが今井さんと離れるのだけは許容できないと思い、くるりと今井さんの方を向き手を伸ばす。



しかし、今井さんはすでに手の届かない場所に避難している。


「え、今井さん?…今井さん、手を!!」


僕は今井さんを真っ直ぐに見つめて手を伸ばす。


華奢な今井さんに助けて貰えるとは思っていない。ただ、無理なら一緒に連れて行く。そんな気持ちで手を伸ばす。


そんな僕に対して今井さんは無情にも手を取る事もなく最後の言葉を吐いた。



「私、だれか人を呼んで来るね!」




多分、客観的には正解な行動かもしれない。


けれど、今の僕にとってその対応は大間違いだよ、今井さん。



でも、そんな今井さんも可愛い。(涙)



そして、円の放つ光に斗真と僕は肉体と一緒に意識も飲み込まれていった。




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