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善悪二刀  作者: 生姜寧也
終章:覇道遊戯編

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165/166

第165話:その後

 サリー・マクダウェル

 

 魔族側のゲートが、メノウたちもコントロール不可の「はぐれゲート」のみとなった世界において、探知班の存在意義も大きく変容した。そのような世界で教員を続けることに葛藤もあったが、やはり子供たちに教えるのが好きだという原点に立ち返り、定年まで勤めあげた。プライベートでは、リグスの代わりに赴任してきた男性教諭と恋に落ち、作中年から五年ほど後に結婚。二児の母となった。享年78歳。




 フィル・ラインズ


 六高の校長と、会社経営者の二足の草鞋を履き、定年まで勤めあげる。すっかり丸くなった晩年は、生徒からも社員からも慕われる良きリーダーとなった。作中年から十年ほど経った頃、突然、髪が少しずつ生えてくるという謎の現象に見舞われた。本人は大層喜んだが、鉄心に見つかりハゲしめられた。「何となくムカついた」というのが理由だった。二人の息子に会社と学校をそれぞれ託し、引退後間もなく他界。享年69歳。




 田中/浜垣/上原


 学校を卒業後、狭き門となったゲート探知班に就職。浜垣のみ生涯独身だったが、残りの二人は結婚、寿退社。それぞれ生活環境が変わるも、美羽も含めた仲良し四人組の絆は最期の時まで壊れなかった。最後の田中を見送った時、美羽は三日以上泣き続けた。享年は順に81歳、70歳、75歳。




 レベッカ・アンダーソン


 学校を卒業後、メローディアに任された会社を家族と共に経営する。だがずっと志していたアタッカーへの憧憬は消えず、経営の傍ら「アタッカー年史」を編纂。今までの英雄たちの戦果に加え、鉄心、美羽、メローディアの救世主三人の足跡も加えた内容で、国内外でベストセラーとなった。独身のまま生涯を終える。享年64歳。




 ジーン・ダグラス/ホール・リグス


 アメジストの襲撃を受けて以来、廃人のような状態でいたが、作中年より八年後、それぞれ意識を取り戻す。だが家族も友人も殆ど去った後で、孤独な再スタートとなった。しかし仕事を見つけ、平民と肩を並べて働き、両者とも平民の妻を娶って、それなりに幸せな生涯を送った。享年は順に76歳、66歳。




 ノエル・ディゴール


 退位後、メローディアにアックアの日の裏側を黙っていたことを謝罪。和解が成立した。引継ぎを全て終えると、全ての政治活動から引退。田舎に移り、ニートになってしまった息子の世話をしながら余生を過ごした。それでも時折、首都に出て美羽やメローディアと茶会をすることもあり、息抜きも出来ていたようだった。享年は82歳。




 松原静流


 ゲート出現回数の減少に伴い、人員削減の波に飲まれたサポート界隈の中にあって、優秀な彼女は現場に残ることも出来たが、すっぱりと引退。探知情報を鉄心たちに流していた罪を上司に告白するも、その上司は既に鉄心たちが掌握済みだったため、無罪放免。だが心が納得せず、300日間の社会奉仕活動を自ら行った。作中年の一年後、美羽と鉄心の間に産まれた男児を珠のように可愛がった。美羽とも最期まで良好な親子関係を維持し、90歳の大往生でこの世を去った。




 薊善治


 決戦の後、家に帰るとこっぴどく叱られ、完全にアタッカー稼業を引退。今度破ったら離婚、という誓約書を、妻・沙織に書かされたが、それにも増してもう一人の妻・来未にさめざめ泣かれたのが堪えたとのこと。引退後は土いじりに目覚め、息子夫婦が里帰りしてくる度、家庭菜園で採れた野菜を振舞った。妻二人を残し、71歳で他界。最後の言葉は鉄心に向けたもので、「先行っとくぞ」だった。




 平良蝶蘭


 決戦の後、「私もカレシ欲しい」などと言い出し、実際に何人かの男性と交際に至るが、結婚まではしなかった。30代で持病が悪化、38歳でこの世を去った。




 オリビア・ケーヒル


 決戦後はアタッカーエージェント派遣業を廃業。これからの時代には無用の長物、と潔いものだった。得意の交渉術を活かして、メローディア政権下の外務大臣として活躍。しかし某大国を訪問中、凶弾に倒れる。享年は56歳だった。報復に乗り出した鉄心の怒りは凄まじく、相手国の政治家は皆殺し、下手人は生きたまま魔界の下層に放り込まれ、ウィリーと同じ死に様を晒した。遺されたオリビアの家族は鉄心がポケットマネーで養った。




 ディアナ・ゼーベント


 あの日の敗北以来、アタッカーとしての自信を失い、引退。なにを思ったのか、歌手になる。絶妙な歌唱力で、メローディアには「上手いけど、お金を出して聞くほどではない」という辛辣な評価を下された。だが英雄クリスの娘という立場と公爵の身分(後の政治改革で貴族制度も廃止されたが)と、そこそこのルックスが手伝って、それなりの生活が出来るくらいの稼ぎは得ていた。マネージャーにはグレースを据えていた。ちなみに歌手転向の際に、祖母ミーシャにグーで殴られている。享年85歳。




 ハージュ


 マルハゲドンの折、大量のハゲしメタルを得たことにより、彼自身もパワーアップ。無事に自我を取り戻した。ただ元より繭や指輪の中など、暗くて狭いところが好きなようで、現在も例の九層の穴倉に住む。時々は鉄心たちと会い、食事や遊戯に興じる。存命。




 ローズクォーツ


 決戦以来、すっかり信頼を勝ち取り、家猫の地位を不動のものとした。鉄心に剣の稽古をつけてもらい、上手くいけばご褒美のナデナデを堪能して幸せな日々を過ごしている。最近はメローディアと喧嘩しながら四層の密林を探索するのがマイブーム。想念の力で女性器を作り出し、鉄心の三番目にと目論むが、未だ実っていない。存命。




 サファイア


 決戦以降は人間たちとは改めて停戦。はぐれゲートの探知についての知見を買われ、人間のサポート相手に教室を開いてやった。その技術は人間の間で継承され続け、今日に至る。時折、サメ映画に出演している俳優でもある。メノウとは38669回目の絶交中。仲直りにあと数ヶ月はかかるだろうとは美羽の見立て。存命。




 メノウ


 決戦以降は人間たちとは改めて停戦。時折、未知なる金属や鉱物を求めて魔界の三層、鉱山に潜る。性別のない相手というのが付き合いやすいらしく、薊婦人たちとも仲が良く(サファイアは何故か鉄心と凄く仲が良い)、たまにお忍びでゴルフィールのスイーツ巡りに付き合わされていたりする。存命。




 メローディア・シャックス


 決戦後、聖王として長らく王座にあったが、200年ほどで飽きる。その後は鉄心、美羽と共に魔界へと引きこもることに。鉄心との間に五男六女をもうけるが、全員に先立たれる悲しみを思えば、もう子供を作るのは苦しいとのこと。ただ今でも鉄心とは週に2~3回ほどは体を重ねる。修行を続けた結果、光臨は小高い山くらいの大きさまで出力できるようになった。人間界に戻った際は甘い物を食べ歩くのを楽しみとしており、ゴルフィールや日本を中心にその姿が目撃される。存命。




 松原美羽


 作中年で、決戦の一年半後、自分が魔王であることを公表。世間からは、一連の救世劇は全てマッチポンプの自作自演だったのではとの疑いの目を向けられる。だが、あの決戦の日の観客を懸命に守る姿や、政治改革の成功。そして本人の真摯で飾らない人柄が好感を呼び、(大多数の国民の)信頼を勝ち得た。メローディア即位後は、鉄心と共にその補佐に努めた。鉄心との間に二男八女をもうけるも、悉く先立たれる悲しみに心を痛めた。それでも可愛いもの好きの血は止められず、もう一度妊活に励んでいる。戦闘技術はもう殆ど磨いていないが、子供がいる時には匣で迷路を作って家族全員で遊んだりする。存命。




 薊鉄心


 決戦後、世界に並び立つ者のない史上最強の存在と認定された。ゴルフィールと日本を文字通り世界の盟主にまで押し上げ、名声をほしいままにした。逆らう者、情理なき者にはおぞましき死を。心優しき者、道理弁える者には暖かな庇護を。その二面性から正邪の王と呼ばれる。魔族との融和路線を歩み、秘密裏に各国から犯罪者を輸入しては彼らのエサにする代わりに、魔族側には計画的なゲートを禁じた。美羽とメローディアの間に多くの子をもうけ、その子孫が薊家およびシャックス家を脈々と繋いでいることに充足を感じている。ただ自分を脅かすほどの漢が産まれないかと期待しているのだが、未だ兆しすらない。殺すほどではない小悪党は積極的にハゲしめるため、現在ハゲしメタルが家に入りきらず、納屋を四つ作って収納している。妻と愛し合い、友と笑い合い、悪人を殺め、善人を慈しみ……未だ生に飽きずに日々を過ごしている。存命。


これにて完結となります。

最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

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