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結末は未定  作者: 仙人
4/6

UNOって言え

席に座ったは良いものの。

相変わらずコンノさんが場を回し、イケダくんが軽快に受け答え、サクライさんと俺がそれを聞いているという構図のまま、かれこれ三十分は過ぎただろうか。

いくらコミュニケーションお化けのコンノさんでも限界があるというものだ。

「ねー、クロキもずっと黙ってないでなんか話してよー」

ちょっと前まで"君付け"だったのに呼び捨てになってる⁉︎ 流石はギャルだ…ギャルって古いか。

「というか、新幹線の中まで無理して一緒にならなくてもよかったんじゃ…」本音が本音として口から出てしまった。

「だってこのままだと互いの事ロクにわかんないまま、明日の自由行動になっちゃうじゃん!」

「クロキは話すの面倒なだけでしょ、何もしてないのに!」

失敬な!何もしてない事なんか無い。

この班が意図的に"悪意をもって"形成されたのでは、と未だに疑っていた俺は、コンノさんといつも仲の良い女子たちがこちらを見ながらコソコソ楽しんでいないだろうかと周囲の警戒にあたっていたのだ。

先程トイレに行く際に様子を窺ってみたところ、完全に自分達の世界に入り、移動の時間を楽しんでおられた。疑ってごめんなさい!


「まー、正直ずっとはキツいと思ってたからさ」

イケダくんは言いながらバッグから救世主を取り出した。

「あ、UNOじゃん!いいね〜」

これに関しては自分も全面的にコンノさんに同意できる。UNOやってれば話さなくて良いし!

サクライさんが斜め向かいにいる事で、二人でスキップラリーができるというものだ。いいものだ。

気持ち悪いことをコンマ何秒のうちに考えていた最中、サクライさんが徐ろに口を開いた。


「あの…、わたしこれ(UNO)のルール知らなくて」


スキップラリーは難しいかも知れない。

でも、確かにUNOってやる場面限られるよな。最後にやったのって…、小学校の修学旅行の行き帰り?

そもそもルールっていつ覚えたんだろ…


「サクライさんって結構そういうとこ変わってるよな〜。じゃあ最初の何回かは練習で皆んなで見せ合いながらやってく?」

ルールは簡単だしさ、とフォローし、自然にリードしていく姿は流石"イケダコウヘイ"である。

近所で仲の良かったツバサくんとの思い出に浸っていた自分とは大違いだ。



――その後、ニ回ほどゲームをこなした事でサクライさんも晴れて一人前のUNOプレイヤーとなり、対等にゲームを行えるに至った。

当初のもくろみ通り、スキップラリーも実現できた。サクライさんとのスキップラリーが、一番生を実感する!


「そーいえばサクライさんってずっと敬語だよね!  

私もさん付けだけどさ。、敬語やめない?クラスメイトなんだし」

「敬語の方が楽だから…、でも、そう、だね。がんばってみま、みるね。」

「ありがと!あと名前も…"ヨシコちゃん"でいいかな?」


女子二人の微笑ましいやり取りを眺めながら呆けていると、

「クロキも俺のことはイケダでもコウヘイでもなんとでも呼んでくれていいから」

とイケメンがイケメンムーブをかましてきた。"コウくん"って呼んでやろうかな。


「あと、UNO言ってないぞ」


しまった。無意識に最後のカードを出してしまっていた。UNO中型免許皆伝のこの俺が。

でも、サクライさんが嬉しそうにしてるのでオッケーです!

そういえばツバサくん、君にもこうやって指摘されて負けたっけ――




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