始まりの章
俺は日々に退屈していた。八月一日慶17歳。至って普通のどこにでもいる高校生だ。
中学の時に受験してここ、公立月城高校に入学した。勉強もスポーツも中の下、これといって才能もない俺が唯一誇れるのは…
「おっ、慶じゃん!ちょうど良いトコにいた!最近やってるこのゲームなんだけどさ〜、どうしても出口が見つかんねーんだけど どしたらいいん?」
「んー、どれどれっと… これ隠しスイッチになってるなー、えーと、先にこっちのフロアに回って……
これでいけるんじゃねーか?」
「さんきゅー!!やっぱおまえすげーよ!」
「おー。ちっとは自分で考えてみろよー」
そう、推理。昔から脱出ゲームとか推理ものが大好きで、そういう発想力的なものが身に付いている。それを知って毎回考えを聞いてくるやつが話しかけてきた親友、七瀬渉。小学校からの付き合いで、数少ない俺の理解者だ。ちなみに学校に来て喋るのは、こいつと由良くらいだ。
名前は弥勒由良。渉に紹介してもらったのがきっかけで、今ではすっかり仲良くなって三人でだいたい一緒に帰っている。
とりあえず俺の日常はこんな感じだ。今日も長い1日が終わり、部活がある奴以外は続々と帰っていく。