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フェイクヒーロー〜Fake Hero〜  作者: ベーコン・ライス
3/11

冒険者ライセンス


「では、ご登録の確認をしますが、セージ様でお間違いありませんね?現在のご職業は羊飼い、と」

「はいそうです」


俺が話していたのは冒険センター受付のお姉さんだった。

いやー色気があって美しい。

どっかのポンコツプリンセスとは大違いだな。

現在は素性を隠すために俺たちは今本当に羊飼いの仕事をやっている。

俺は冒険者の登録手続きを済ませ、あとは冒険者ライセンスを受け取るだけとなっていたのだが、発行するのに少し時間がかかるらしい。

ソファーで待っていたマリーの元に行く俺。


「お前は作らなくていいのか?冒険者ライセンス。」

「私はもうライセンスを持っていますから。魔導師アカデミーを卒業する時に作成しました。今は私の部屋の押し入れに眠っています」


へーそんなアカデミーがあるんだな。

いいね!異世界って感じがする。

・・でもライセンスの扱い雑すぎじゃない?


「そんなことよりセージ。お腹がすきました。もう昼の12時だというのに今日はまだ何も食べていませんよ!」

「ええい!お前が11時まで爆睡してたからだろーが。ほらこれでなんか食ってこい」

「やったー!お昼は何にしましょうかねー?」


俺はマリーに3000S渡した。

この世界では3000Sあれば俺基準で3食は食べれる。

お金を受け取ったマリーはさっさと何処かに行ってしまった。


「さて、冒険者ライセンスができるのを待っている間に情報収集でもするかな」


俺は冒険センター内にある情報交換barとやらに入ってみた。

そこでは飲食を楽しみながらいろんな人と交流ができ、情報収集にはもってこいのようだ。


「なんかようやく冒険者って感じがするなぁ。この席にするか。よっこいしょ」


俺はソーダを片手にカウンターの席に座ってみた。

・・がしかし!忘れていた!俺がぼっちだったということを!

やばい!・・人に話しかけられない。

普段マリーとしか話していないから気づかなかったけど普通の人とどう話ししたらいいんだ?すごい勢いでソーダをごくごくと飲み干す俺。


「・・あのー?かけだし冒険者さんですよね?よかったらお隣いいですか?」

「ひ・・ひゃい!そうです僕かけだし冒険者のセージです。特技はマジックです!お隣にどうぞ」


俺に声をかけてくれた女神のような薄着の紫髪の女性は見た目も女神のように美しかった。

あといい匂いがした。

やばい!緊張する!落ち着け!腹式呼吸だ・・スーハースーハー。


「ではお隣失礼します。ところで、マジックというのは魔法ですか?」

「そ、そんな感じですかねー」


おっとしまった、こっちの世界ではマジックはないみたいだな。

適当に言っておこう。


「お、お名前はなんというんですか?」

「ユリって言います。役職は村人です。セージさんの役職はなんですか?」

「俺は勇・・じゃなくって羊飼いです!」

「えーすごい!私羊の肉大好きなんですよ!毛もあったかくて最高ですよね!」


女神・・ではなくユリさんが目を輝かせながら俺の両手を握ってきた。

これは・・まさか脈ありなのか?興奮してきた。

なんだ?・・何かいい匂いがする。

俺はそのままぱたりとカウンターに突っ伏して寝てしまった。


「・・ージ! セージ! 起きてください!セージ!」


・・いつも聞いている声がする。

なんだよもう少し寝かせろよ・・今いい気分なんだ。


「・・起きませんね。こうなったら・・ショックボルト!」


その時俺の体に電流が走った。


「あでででっ!!」


俺は体の痛みで飛び起きた。


「マリーか!?何しやがる!?」

「持ち物とお金がありません!何者かに盗まれています。おそらくスリープ魔法をかけられたのでしょう」

「・・あれ?ほんとだ。ちくしょー童貞ぼっちの心を弄びやがってあの女!許せねぇ!」


怒る俺をマリーがジト目でみていた。


「セージ・・色仕掛けに引っかかってしまったというわけですか。やれやれ・・」


マリーは呆れた様子で手のひらを上に向けていた。


「ち、違う!とにかくあの女を探そう!」

「今からですか?こんな時間に?」


冒険センター内の時計を確認すると、時刻は夜の22時だった。

どうやら、俺は深い睡眠に誘われて昏睡していたようだった。


「あの女今度あったら覚えてろよ!」

「お怒りのところ大変申し訳ないんですが、今晩どうしましょうか?お金ももうありませんよ」

「・・あ」


今夜、俺とマリーの野宿が決定しました。

やばい・・ローズに殺されてしまうぞ。


「なななな、なーに1日ぐらいなんとかなるさ」

「では私は一旦お城に帰りますね。頑張ってくださいセージ」


マリーは俺を置いて、てくてくと歩いてお城に帰ってしまった。

ちくしょー!温室育ちめー!

俺はその日生まれて初めて野宿をしました。

そして気づきました、冒険なんてちっともよくない!!

ああ・・お腹すいたよ父さん、母さん、思い出すのは快適な実家のことだった。

それから翌朝のこと、俺は羊飼いのオーナーであるキクさんという男性に見事な土下座を決めていた。


「お金を貸すのはやぶさかじゃないんだけどねぇ、なんか面白いことでもやってもらおうかね」

「はいっ!ただいま!」


俺はマリーの帽子と杖を使ったマジックでポンっとハトを出して見せた。

すると職場は湧きあがり、大盛り上がりを見せたのだ。


「気に入った!お前さん魔法が使えるのかい?そっちの妹もなんかできるかい?」


そう言われるとマリーは即座に!一飲みで!どんぶりに入った食べ物を全て平らげて見せた。


「なっ!?こんな小さい子が一飲みでこれだけの量の食べ物を飲み込んだだって!?これも魔法?」


・・すみません、キクさんどっちも魔法じゃないです。

ただのマジックと大食いです。


「この兄妹にじゃんじゃん食べ物と飲み物を持ってきてやんな」


どうやらキクさんのお眼鏡に適ったようだった。

俺とマリーはキクさんにたらふくご馳走になり、ついでに100000S借りた。


「いや、一時はどうなることかと思ったな!100000Sだぜ!100000S!」

「ほんとですよ。でも、そもそもこんなことになったのはどっかの誰かが色仕掛けなんかに引っかかるからですけどね!」

「うるせー!お城のベッドでぬくぬく寝てたボンボンの穀潰しだけには言われたくねぇわ!・・しかしこのまま羊飼いを続けていてもジリ貧だな。せっかく資金を借りれたんだから冒険者らしくクエストに行ったりモンスターを倒しに行こうぜ」


我ながらナイスアイディアだ。

クエストに行かないといつまで経ってもレベル1のままだし、借りたお金の返済もしないといけないしな。


「では明日からクエストに行きましょう。今日はもう遅いので寝ます。・・寝込みを襲わないでくださいよ?」

「誰が襲うか!」


結局、今日は魔王軍の情報収集もできずじまいだったが、冒険者登録と資金調達ができた。

今までの俺たちの状況だが、宿代が2人で10000S、食費が2人で一日9000S。(このうちマリーが6000W)

羊飼いの日給が二人合わせて20000Sだから差し引きで1000Sが手元に残る。

つまり、今までの俺たちは生活するだけで手一杯だったのだが、この度のキク様マネーのおかげでクエストにいくチャンスができたというわけだ。

そして翌朝のこと。


「おそようございます。セージ」


マリーが眠そうな目をこすりながらファンシーなフード付きのパジャマを着てこちらをみておられた。


「おい・・もう朝の11時なんだけど」


今日も情報交換Barに行こうと思っていたのだがこのポンコツ女がなかなか起きやがらなかったのだ。

一人で行くことも出来たのだが、昨日みたいな目にあったらごめんだから、一応魔導師であるマリーを同行させようと思った。

いわば保険だ。

俺はマリーの支度を宿屋のロビーで待っていた。


「では行きますか」

「お前は朝の11時に目が覚める呪いでもかけられてんのか?」


そんなやりとりをしながら、まずは昨日作ったばかりの冒険者ライセンスを受け取りに、俺たちは冒険センターにやってきた。

マリーは、一度お城に帰ったタイミングで押し入れに眠っていたライセンスを取ってきていたようだ。


「こいつがあればクエストに参加できるし冒険センター内全ての施設が利用できるらしいぞ。受付のお姉さんいわく。」

「私的にはここの食事がタダになるとかなら嬉しいんですけどねぇ」

「んっ?お前のライセンスと俺のライセンスの色違うよな?俺が青色なのにお前は黒色じゃないか」

「そりゃあレベルが違いますからね。私は特別なライセンスでセージは初心者ライセンスなんですから」


マリーがドヤ顔でこっちをみてくる。

もしかしてこいつってすごいやつなのか?いや!そんなはずはない!こいつはただの食っちゃ寝モンスターのはずだ。

そんなことを考えながらも、一人の女性が俺たちに近づいてきていることに気づいた。


「久しぶりね・・異能の魔導師マリー。初級魔法しか使えないくせにそれとは別に固有の魔法を持ち、国王の娘というコネをフル活用している最低最悪の魔導師さんじゃないのよ」


話しかけてきた女性はマリーと似た格好をしており、桃色の長い髪をしてした。

随分マリーについて詳しい様子だ。

それにしても・・異能の魔導師?こいつがぁ?食脳の魔導師の間違いじゃないのか?


「私のことを知っているのは身内と魔導師アカデミーの人だけですが。あなたは何者ですか?」

「久しぶりね!マリー!あなたの永遠の同期ライバルエリカよ!アカデミーでしのぎを削りあって以来ね」


二人は俺の存在を無視して話し始めた。

どうやらマリーのお知り合いらしい。


「ああ・・補習常連のエリカですか」


ポンと手を叩きながら思い出したかのように話すマリー。


「失礼ね!あんたも似たような感じだったでしょ!?あなたは国王の娘だから補習免除でテストもなかったじゃないのよ!!」

「私は魔導師アカデミー以外に色々と用事があって忙しかったのですよ」

「どーせ会食とかいってお偉いさんとご馳走食べに行ってただけでしょ!?」

「・・うっ、なぜそれを?」

「そんなのアカデミーの人間なら皆知ってるわよ」


俺はマリーとエリカを交互に見た。


「・・なんですか?セージ?」


同級生にしてはえらい発育の差だな、などと口が裂けても言えなかった。

エリカという女の子は、出るところがしっかりと出ている体型をしていたのだ。

しかし俺は特にすることがないので、茶をすすりながら二人の会話を傍観することに決めた。


「私はあんたが日本とかいう国に行って遊んでいる間にクエストを10回行ったわ!見てみなさい!この上級者ライセンスを。黄色から赤にするのにどれだけ苦労したか・・」

「そうですかー。いやーギンザのお寿司はたいへん美味しかったです。また日本に行きたいですね」


こいつ・・実は旅行のついでに俺をこの世界に召喚したんじゃないだろうな?

エリカという女の子が取り出したライセンスは赤かった。

どうやらライセンスは青色→黄色→赤色の順番でランクが上がっていくらしい。

じゃあ黒のライセンスってなんなんだろう?国王の娘だから?

マリーの異能の魔導師という呼び名が関係あるのかもしれないな、と俺は考察する。


「とにかく!冒険者としては私の方が完全に上なんだからね!?国王の娘だからってあんまり調子に乗らないことね」

「乗ってませんけど・・。私より上とは聞き捨てならないですね!」


険悪になってきたのと話が長くなりそうなので、俺は手を叩き話を中断させた。


「はいはいそこまでな!悪いけど今から情報収集barに行って情報収集するんだよ」

「あらそうなの?悪かったわね。」


あら?案外素直ないい子なのかもしれない。

あっさりと話を止めてくれたじゃないか。


「じゃあここで待ってるから行ってきていいわよ。続きは後にしましょう」

「待たなくていいですから!エリカのことはほっといて行きましょうセージ」


うん、前言撤回!やっぱマリーの知り合いって変!


ソテツは身長175cm ギルティタウンのチンピラリーダー 歳は36歳。

ショートの茶髪にサングラスが特徴で筋肉質のゴリマッチョです。


陽気な話し方で特技はカツアゲです。


よく表通りをうろついています。

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